社員寮は、従業員への福利厚生の一環として運用している会社も多いでしょう。しかし、長年の利用による老朽化から、従業員も古さを感じて退寮してしまうということがあるようです。このように、稼働率が下がってしまった社員寮について、経理上はどのように処理するのでしょうか。減損処理の対象になるのでしょうか。

減損会計とは

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(写真=g-stockstudio/Shutterstock.com)

減損処理は、会計上の処理の一つを指します。減損処理とは、企業が行った固定資産への投資額が回収できないような一定の条件がある場合に、固定資産の帳簿価額を減額させることです。そしてその減額した損失を、減損損失といいます。これらの処理を減損会計と呼びます。

この減損会計については、2005年4月1日以降に開始する事業年度から適用されました。減損損失を認識する場面としては、資産が生み出す損益が3期連続でマイナスになる場合や、使用範囲や方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合、資産の市場価格が帳簿価額から50%程度を超えて下落したような場合などです。

社員寮については、稼働率が低くなったために、回収可能価額を著しく低下させるような状態が当てはまります。また、もともとの社員寮を会社が購入したときの不動産価格よりも市場の価値が下落することによって、手に入れた価格よりも現在の価格が半減したような場合も、この減損処理の条件に該当すると考えられます。

社員寮は減損対象

社員寮としてマンション1棟や1室など所有している場合は、企業にとっては固定資産となります。さらに、このような社員寮を福利厚生の一環として従業員に提供している場合、稼働率がよければ従業員の満足度も高まり、有効に利用しているといえるでしょう。

しかし、従業員の利用が進まずあまり稼働していないような場合は、メンテナンス費用の分だけ損失が出てしまいます。マンションなどの不動産を有していると、毎年固定資産税などを支払う必要があるため、会社としては手放すことも検討するでしょう。

固定資産として不動産を所有するよりも、個々の従業員が賃貸借契約をしているマンションなどについて、一部もしくは全部の賃料を会社が負担する、いわゆる借り上げ社宅の方がコスト面から有利な場合があります。

損金経理について

社員寮の売却、いわゆる譲渡などによって、損失が発生した場合、損金経理を行うことになりますが、税務上は損金不算入となります。法人税申告書別表4で加算調整することになるのです。災害などによって固定資産がなくなってしまった場合など特別な場合には評価損の損金算入が認められています。

この減損損失は、評価損の金額に含まれることになるだけでなく、その他の損金経理をしたものも含まれます。例えば、もともと社員寮を手に入れる場合に付随費用が発生したような場合で、これについて原価外処理をした金額なども含まれることになります。

社員寮の会計上の処理方法を見直す

このように、社員寮について稼働率が下がり、維持やメンテナンスコストばかりが掛かるようになってしまう場合には、譲渡するなど一定の対策が必要となります。

ただ、稼働率が低いままにしたり譲渡したりするのではなく、有効活用する方法も検討してみるといいでしょう。企業、従業員両方にとっていい活用方法を見つけましょう。(提供: フクリ!

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