亡くなった親族らの遺骨を日本郵便の「ゆうパック」で寺や霊園に送る送骨が広がってきた。インターネットで簡単な手続きをするだけで納骨できるのが特徴で、受け入れを始める宗教法人が次々に登場、ちょっとしたブームの様相だ。

家族関係の希薄化や貧困層の拡大、過疎地域での人口減少の加速などから、身寄りのない無縁仏だけでなく、墓じまいのために遺骨を送るケースも見られる。弔いの軽視と批判する声もあるが、葬儀を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。

ゆうパックで届いた遺骨を合葬墓で永代供養

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(写真=PIXTA)

大阪府河内長野市滝畑の河内長野中央霊園は2014年から送られてきた遺骨を供養している。受け付け開始からこれまでに受け取った遺骨は約250人分。霊園内に設けられた合葬墓で永代供養している。

申し込みは、お布施として3万円を支払ったうえ、専用の梱包キットに遺骨の入った骨壺と、納骨許可証、火葬証明書など必要書類を同封するだけ。納骨が終われば埋葬証明書が送られてくる仕組みだ。

送り主は大阪府内など関西が多いが、手軽さが受けたのか、九州、中国、四国など西日本各地からも送骨されている。送り手は都市部だと新たに墓を持つことが経済的に困難な人や、放棄された骨壺の処分に困った自治体、賃貸住宅の管理会社などが目立つ。

地方で多いのは墓じまいで、人口減少と住民の高齢化で先祖代々の墓を維持できなくなったケースが増えている。地元の寺に相談するのが億劫だとして、このサービスを利用する人もいるという。

合葬を好まない人向けには、遺骨をカプセルに入れてクリスタルと御影石の墓石を備える新サービスを始めた。河内長野中央霊園の田村一央代表は「都市部では火葬後の遺骨を自宅に置きっぱなしにしている人が増えている。家族制度と地方が崩壊しようとしている今の社会状況が表れている」と語った。

寺院の一覧表を載せたWebサイトも登場