日経平均株価は6月30日、一時2万円台を割り込む場面があった。株式市場の好調さを見て株式投資を始めてはみたものの、株価変動に右往左往して落ち着かない個人投資家も多そうだ。
株価が値上がりすることで利益を得るキャピタルゲインを狙う場合、株を買ったタイミングによっては高値掴みとなる場合もあり、株価の動向に一喜一憂してしまいがちだ。
ただ、インカムゲイン狙い(株主優待や配当金)で株を購入したのに、株価の乱高下に右往左往していては元も子もない。株価の動向を気にする機会をできるだけ減らして、株主優待や配当金を受け取るために必要なことを紹介していこう。
株主優待投資の注意点
インカムゲインを期待して株を購入する場合、権利確定日は1年に1回もしくは2回になる場合がほとんどだ。この権利確定日に権利を確定している株主がインカムゲインを受け取れる。株主名簿に掲載される(権利が確定する)までには3営業日かかるので、権利確定日の3営業日前(権利付き最終日)までに株を購入しなければならない。
安定収入のイメージがあるインカムゲインだが、その収入が保証されているわけではない。景気が悪くなれば配当金の引き下げ=減配を行う企業もあれば、配当金をとりやめる=無配にする企業もある。
個人投資家の人気を集める株主優待の場合、株主優待の新規導入や拡大を発表する企業に買いが集まり、株価が大幅高になる場合も多い。反対に、株主優待の改悪や廃止を発表する企業には個人投資家からの売りが殺到して、株価が大幅安になる場合も散見される。
インカムゲイン狙いで投資する絶好のタイミングとは?
株価が高くなるとさらなる株価上昇が期待され、買い注文が殺到する傾向にある。ただこれは、株価が高値圏にある場合の高値掴みになることが多い。反対に、株価が安くなると更なる株価の下落にどうしても不安になってしまい、売り注文が殺到する。株価が底値にある時に利益を確定したり、もしくは損失に耐え切れず損切りを行ってしまうのだ。
インカムゲインの獲得を考えて株を購入する場合には、株価の短期的な動きではなく、中長期的な動きを見て、株価があまり動いていないもみ合い状態が続いているタイミングや、株価が急落するようなタイミングで株を購入して権利確定日まで保有する投資スタイルがよいだろう。
例えば、個人投資家に人気の高い株主優待銘柄の一つにカゴメ <2811> がある。カゴメの権利確定日は6月と12月の一年に2回ある。最低単元の100株以上の保有(保有単元数によって内容は異なる)で、食品やジュースといった自社商品の詰め合わせ1000円相当を受け取ることができる。
カゴメの2017年1月以降の株価チャートを見ると、株価は2800円から3000円を行ったり来たりしている。株式市場の上昇とともに株価は権利確定に向けて6月7日には3715円まで上昇、20%以上も株価が上昇したのである。
株価が急騰したため、権利確定を待たずに利益確定を行う個人投資家もいるかもしれないが、仮に権利を確定したとしても、株価がもみ合い状態の時に購入していれば、利益を得ながら株主優待を得ることができたことになる。
もう少し長い視点でカゴメの株価チャートを見た場合、株価は2002年を底に、リーマンショック等を経てもなお一貫して上昇基調にある。例えば、ライブドアショックやリーマンショック、ブレグジットショック等といった株式市場が大幅に安くなるタイミングに株を買うことができれば、短期的な株価の動きは気にならなくなるだろう。加えて、株価が安い時に購入できれば、配当利回りや株主優待利回りが高くなるため、お得に購入することができる。
信用取引で優待投資の選択肢を広げることも
株式投資を始めたばかりの人の場合、信用取引を利用していない人も多いが、経験値に応じて利用も検討したい。株主優待の獲得を考えて株式を購入したが、株価が株主優待以上に値下がりする場合もある。そうした値下がりのリスクを低減する方法がつなぎ売りだ。つなぎ売りは、信用取引でその株式を売り、現物で株式を買う投資テクニックである。ただし、レバレッジを効かせた信用取引はリターンが高い反面、リスクも高いので注意が必要だ。
株式投資をはじめとした資産運用に絶対はないため、インカムゲインを狙った投資だからと言って必ず儲かるわけではない。しかし、業績が好調な銘柄は、中長期で株価が上昇基調にあるため、インカムゲインを狙った取引でも比較的好調な結果を得やすい傾向にある。短期的な株価動向に一喜一憂しないためにも、業績が好調な銘柄の安い時を狙って購入することがインカムゲインを狙った取引を行う上では重要になるのではないだろうか。
横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、
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、講演活動、株塾を行う。