トランプ大統領が導入を試みている医療保険制度改革が、お金持ちをさらに裕福にするシステムであると、米シンクタンク、タックス・ポリシー・センターのアナリストが指摘した。

法案では7000億ドル (約79兆90億円)の減税収が見込まれているが、そのうち45%は所得が最も多い1%の超富裕層、67%は所得が最も多い20%から減税されるという。

「お金持ちによるお金持ちのための減税案」

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

この情報は米著名ジャーナリスト、ロバート・フランク氏 がCNBCへの寄稿で明かしたもので、相次ぐ批判に上院での採決延期が決まった共和党の医療保険制度改革代替法案が、「お金持ちによるお金持ちのための減税案」である実態を挙げている。

トランプ大統領は選挙運動中から公約の一つとして唱えてきたオバマケアの廃止について、「保険料や年間自己負担額を下げる」意図があると主張して来た。

しかし例えば「3.8%の純投資所得税」「0.9%の医療保険給与税」を廃止するという法案は、年間所得20万ドル(約2257万円)以上の層のみに適用されるなど偏りが目立つ。

表向きは「一世帯につき年間平均670ドル(約7万5623円)の節税が期待できる」とされているが、減税率から実際の額を算出してみると最大の恩恵を受けるのが最高所得層であるのことは一目瞭然だ。

タックス・ポリシー・センターの分析によると、最低所得層の20%には税引き後1%(約180ドル/約2万円)、年間所得5万5000ドルから9万3000ドル(約621万円から1050万円)の中間所得層は0.4%(約280ドル/約3万1000円)の減税率が適用される。これに対し87万5000ドル(約9876万円)以上の高所得の減税率は2%で、年間4万5000ドル(約508万円)少ない税金を納めることになる。

バフェット氏「1000万ドル以上減税できる超富裕層もいる」

さらに0.1%の最高所得層の減税率は2.5%と、平均25万ドル(約2822万円)もの減税が見込まれている。世界長者番付の常連、ウォーレン・バフェット氏は米公共放送サービス「PBS」の取材 で、この法案を「お金持ちのための救済制度」と皮肉っている。

「新法案の通過によって減税額が1000万ドル(約11億2860万円)を超える」超富裕層の友人もいるそうだ。

トランプ大統領の主張通り、代替案がこれまでオバマケアによる「医療費負担適正化法(ACA)」の保障を受けていなかった、あるいは保障額が低かった人々を含む、一部の層に恩恵をもたらすのは嘘ではない。

「全米国民を医療保険に加入させる」というスローガンを掲げ、2014年に導入されたオバマケアだが、労働者が失業者や低所得者の保険料まで負担することが義務化された上に、保障内容の規定や健康状態による加入拒否の禁止といった規制強化が加わり、必然的に保険料が引き上げられる結果となった。

またより広範囲な層の保障を提供する上で欠かせない財源確保のために、富裕層には増税という形で負担が課された。

トランプ大統領の法案が可決・成立した場合、ACAの撤廃がこうした「富裕層の負担」を取り除くだけではなく、所得格差をさらに拡大することになるだろう。無保険者は2026年までに2200万人増え、4900万人に達すると言われている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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