きょう7月23日、過去の同じ日に何が起こったのか。今回取り上げるのは2008年。ヨーロッパの共通通貨ユーロが対円で史上最高値をつけた日である。

当時のレートは1ユーロ116円程度

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(写真=PIXTA)

ユーロが欧州の共通現金通貨となった2002年1月1日、当時の円換算レートは1ユーロ116.51円だった。ちなみに本原稿執筆時点(2017年7月17日)の換算レートは1ユーロ129.3円である。

ところが今から9年前の2008年7月23日、ユーロは169.91円という最高値をつけていた。この値は、現在に至っても超えられてはいない。なぜこの時期、ユーロは対円でこのような最高値をつけることができたのだろうか。

当時の国際的な経済情勢を振り返り、その理由を探ってみよう。

実はそれまで当時のヨーロッパ全体の景気は、比較的順調に推移していた。2007年の欧州の経済成長率は2.6%。2008年の成長率も2%程度を推移し、当時の潜在成長率を上回る健全な成長を示していた。またこうした好景気を背景に、欧州の政策金利も4%台と高く、このため強いユーロへの期待が集まり、ユーロの最高値が準備されたのである。

当時の経済状況は

前年の2007年ごろから、アメリカでいわゆるサブプライムローン問題(サブプライム住宅ローン危機)が顕在化していた。住宅バブルが崩壊し、連鎖的にリーマンショックなどアメリカ経済を揺るがす金融危機が勃発した。

この危機により、ニューヨーク証券取引市場のダウ平均株価は史上最大の777ドルも暴落し、ドルも急落した。

しかし動揺し急降下するアリメカ経済を尻目に、当初は“安全資産”としてのユーロに注目が集まる。行き場を失っていた世界中の資金がヨーロッパに集まり、そしてついに2008年7月23日、ユーロは対円で史上最安値をつけたのである。

しかしユーロだから安心という日々は、そう長くは続かなかった。はやくも翌年の2009年にはサブプライムローン問題もヨーロッパに波及し、経済も金融も一気に急降下する。アメリカでドル売りが加速する中で、ユーロ売り、ユーロ安にも拍車がかかる。

さらにヨーロッパでは2010年のギリシャ金融危機に端を発してユーロが大幅に下落、その後の世界同時株安を経て、長いユーロ低迷の時代が続いたのである。

一方で最後の安全通貨として円に注目が集まり、まさにそうした金融的な理由のみにより、対ドル、対ユーロ両面で円高が続く。それが結果として日本の輸出企業に打撃を与え、日本株価も下落、デフレ時代をさらに長引かせたのは皮肉といえるだろう。

その他、7月23日の出来事

過去の7月23日には、その他どのような出来事があったのだろうか。

少々歴史を遡るが、1918(大正7)年の7月23日、富山県魚津で米騒動が起きている。この騒動は瞬く間に全国に広がり、軍隊が出動し死者も出るなど、当時の政治まで揺るがす大きな経済事件となった。

ヨーロッパでは1952年の7月23日、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が発足する。また2002年の同日には、ECSCの機能を引き継ぎいで欧州共同体(EC)が誕生した。ECはまさにEUの前身であり、その意味で7月23日はユーロ最高値を含めて、ヨーロッパ経済にとって因縁の深い日といえるだろう。

1997年の7月23日には、ミャンマーとラオスが東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟。国際経済におけるアジアの存在感が増した。

そして昨年の2016年7月23日、中国で開催されたG20では、イギリスのEU離脱が主要な議題となった。国際経済への影響など、まだまだその動向は不透明だが、ヨーロッパはつねに経済の中心として、ユーロの趨勢は今後とも注目され続けるだろう。(ZUU online編集部)