東京株式市場は高値圏でのもみ合いになっています。NYダウが最高値を更新し、外為市場では一時に比べ円安・ドル高が進むなど追い風が目立ち、好調な企業業績が評価されやすい場面となっています。反面、主要先進国では緩和的な金融政策が「出口」に進み始め、株式市場への資金流入が細る懸念も出始めています。

そうした中、国内新興市場が堅調な動きとなっています。年初来の株価上昇率は、日経平均株価の5%に対し、ジャスダック平均が20%、東証マザーズ指数が25%となっており、特にマザーズ銘柄の好パフォーマンスが目立っています。そこで今回の「日本株投資戦略」では、東証マザーズ銘柄にスポットを当て、市場が高成長を期待している銘柄をご紹介していきたいと考えています。

市場が期待する好業績マザーズ銘柄はコレ!?

マザーズ銘柄が堅調な動きとなっています。年初来の株価上昇率は、日経平均株価の5%に対し、ジャスダック平均が20%、東証マザーズ指数が25%となっており、特にマザーズ銘柄の好パフォーマンスが目立っています。

東証マザーズ市場の特徴としては、指数に占める特定銘柄のウェイトが高いことがあげられます。7/13(木)現在、東証マザーズ指数のウェイト上位はミクシィが13.2%、そーせいが8.0%、サイバーダインが6.1%で上位3銘柄が全体の27.3%を占めています。また、構成銘柄の営業利益(前期)合計に占めるミクシィの比率は64%に達します。このため、東証マザーズ市場のことを語ろうとすると、株価面でも業績面でもミクシィを避けることは難しいのが現状です。

そのミクシィですが今期(2018年3月期)の予想営業利益は会社予想で21.4%減益の見込みです。このため、会社予想のある企業だけで集計すると東証マザーズの今期予想営業利益は全体で1.6%増の見込みにとどまっています。しかし、同社を除いた集計では今期は42%増益の計算です。また、市場コンセンサスのある銘柄だけで集計すると来期は6割超の増益が見込まれます。実際には東証マザーズ銘柄は今後、大幅増益が続く予想の銘柄が少なくないと考えられます。

今回の「日本株投資戦略」では、市場コンセンサスをベースに大幅増益が続きそうな東証マザーズ銘柄を抽出してみました。具体的なスクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証マザーズ上場銘柄であること
(2)2人以上のアナリストが業績予想を公表していること
(3)今期予想営業利益(会社予想)が10%超の増益見込みであること
(4)今期予想営業利益(市場予想)が会社予想を上回っていること
(5)来期予想営業利益(市場予想)が10%超の増益見込みであること
(6)今期予想EPS(市場予想)が過去4週間で下がっていないこと

上記のすべての条件を満たしている銘柄を今期予想営業利益(市場予想)の高い順に並べたものが表1となります。なお、注意点としては、東証1部銘柄と比較して、アナリストのカバレッジが少ないことです。表1の銘柄について、業績予想を公表しているアナリスト数は平均で2.6社にとどまります。このため、実際の業績がアナリストの期待通りに向上しないリスクも大きめであるとみられます。

市場が期待する好業績マザーズ銘柄はコレ

掲載銘柄の投資ポイント

ここでは、表1に掲載した銘柄の一部について、投資ポイントをご説明したいと思います。

図1:フリークアウト・ホールディングス(6094)・日足チャート
図1:フリークアウト・ホールディングス(6094)・日足チャート

フリークアウト・ホールディングス <6094> はインターネット広告のリアルタイム取引を実現している会社です。当社のシステムは、安く、大量に発信したい広告主と、広告枠を高く売りたい媒体の双方のニーズを満たすことを可能としています。

2017年9月期・上半期は営業利益が前年同期比73.7%増と好調で、会社側は上半期決算発表とともに通期の業績見通しを上方修正しましたが、市場ではさらなる利益の上積みが可能と予想しているようです。株価は上半期決算発表前日の5/8(月)から一時4割超も値上がりしましたが、その後は調整に転じました。現在は下落一巡後のもみ合い場面となっているようです。

うるる <3979> は在宅ワーカーが官公庁など6,600機関から入札情報を集め、利用する企業がそれに対して対価を払うビジネスを展開しています。これまでに掲載した入札情報は900万件を超えています。また、在宅ワーカーと企業を結び付ける役割も担っています。7/12(水)にはダイレクトメールサービスを展開するディーエムソリューションズ <6549> と業務提携を発表。ディーエムソリューションズが提供するダイレクトメールサービスにおいて、アフターコールとして当社が提供する在宅ワーカーを活用したサービス「フレックスコール」を活用する方針です。

2018年3月期・第1四半期の営業利益は前年同期から5.29億円改善し、2.41億円となりました。3/16(木)に新規上場し、株価は初値3,330円から6/1(木)の高値5,600円まで68%上昇しましたが、その後は一服となっています。

メドピア <6095> は、患者やコメディカル(医師・看護師以外の医療従事者)向けのコミュニティサイトを展開しています。コンテンツの充実で利用者が増加し、製薬会社や医療機器メーカー、人材紹介会社からの広告収入が増えているようです。子会社で展開するオンライン健康サービスで、チャットやTV電話を使っていつでも医師に相談できるサービスを開始しています。

図2:PR TIMES(3922)・日足チャート
図2:PR TIMES(3922)・日足チャート

今期(2017年9月期)の営業利益は1億円と、前期の0.57億円から増える見込み(会社予想)です。

PR TIMES <3922> は、月間最大783万PVを誇るプレスリリース掲載サイトを運営しています。また企業のプレスリリースを月間1億PV超有する9サイトを含むメディアに転載しています。利用企業数が17,650社に達し、また国内上場企業の利用率は32%となっています。

7/13(木)に2018年2月期・第1四半期の決算が発表されました。売上高は3.86億円(前年同期比21.6%増)、営業利益は0.71億円(同33.3%増)となりました。前年第1四半期の一過性の取引を除くと、実質的には44%の増益となった計算で、年度最初の四半期は順調なスタートとなったようです。

図3:Orchestra Holdings(6533)・日足チャート ※図1~図3は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成 図3:Orchestra Holdings(6533)・日足チャート
※図1~図3は当社チャートツールを用いてSBI証券が作成

Orchestra Holdings <6533> は7/3(月)をもって持株会社へ移行し、社名も変更(旧社名・デジタルアイデンティティ)されました。顧客属性に合わせた効率的な広告配信が事業の中心となっています。

今期(2017年12月期)は営業利益で3.6億円(前年同期比19.0%増)を予想(会社予想)していますが、市場では4億円程度を見込んでいます。第1四半期の営業利益は1.05億円で、市場予想に沿ったペースと言えそうです。株価は足元でもみ合い商状となっています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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