この世には、ありとあらゆるダイエットが存在している。「最強の食べ方」という本を手に取るくらいだ。あなたもさまざまなダイエットを実践してきたことだろう。本当に効果のあるダイエットから科学的根拠がないものまで、いつの時代にも多くのダイエットが存在するが、ダイエットをするうえで絶対に忘れてはいけない大原則がある。

それは、カロリーという概念だ。

「摂取カロリー<消費カロリー」であれば痩せ、
「摂取カロリー>消費カロリー」であれば太り、
「摂取カロリー=消費カロリー」であれば維持。

という非常にシンプルな原則である。

(本記事は、Testosterone氏の著『 筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方 』KADOKAWA 2017/6/30 の中から一部を抜粋・編集しています)

ダイエットをする上で忘れてはいけない大原則

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方
(画像=Webサイトより)

単純な話で、食べ物から摂取したカロリーを消費できなければ太る。反対に、摂取カロリー以上の消費をすれば痩せる。どんなトリックを使おうとも、この原理原則をひっくり返すことはほぼ不可能だ。

そんなの当たり前? いやいや、1日に摂取すべき総カロリー数について触れていないダイエットは意外と多い。「○○なら、いくらでも食べてOK!」といった触れ込みを見たことがある人は少なくないはずだ。

そして、ダイエットでは総カロリーだけでなく栄養価も大切な要素となる。春雨スープとサラダだけ食べていればたしかに痩せてはいくが、栄養価が圧倒的に足りない。詳しくは後ほど説明するが、栄養価が足りなければ筋肉が減り、「代謝」という人間が生きていくために消費するエネルギーの量が落ちてしまう。つまり、カロリーだけ気にしていては「健康的に」痩せることができないのだ。

だからこそ、1日の総カロリー数と3大栄養素の割合(タンパク質・脂質・炭水化物をどのような割合で摂取して1日の総カロリーを満たすか、ということ。この本の中では「マクロバランス」と呼ぶ)について触れていないダイエットは基本的にウソだと思っていい︒厳密に言えば「すべて」とは言い切れないが、一般の人がインチキダイエットに騙されないための一番の指針にはなる。楽に痩せるダイエットばかりが流行するが、そんなダイエットなど存在しないと思ってほしい。

ダイエットに限らず、人生において本当に価値のあるものは簡単に手に入らない。「努力は一切必要ない!」とか「誰にでもできますよ~」なんていうのは詐欺の決まり文句だ。等価交換がこの世の原則である。楽して価値のあるリターンを得ようという態度がそもそもよくない。

だが、この本で紹介するメソッドとノウハウは、実践しやすいものになっている。ダイエットの原理原則を愚直に落とし込んだので、複雑ではない。食べ合わせがどうとか食べる順番を気にする人も多いが、そんな細かなことをいちいち気にしていたら脳がフリーズしてしまう。やらないといけないことが多いと途端にやる気がなくなってしまうだろう? そんなことでは元も子もないので、細かなメソッドはいったん横に置いておき、超シンプルなものにこだわった。

マクロ管理法とは、あなたの性別・身長・体重・年齢・活動量から1日に摂取すべき総カロリーとマクロバランスを導き出し、それに沿って食べるだけ。超シンプルな食事法だ。

シンプルさにこだわったのには、理由がある。それは、決して一時的なメソッドにしてほしくないからだ。ダイエットや正しい食事は一生モノである。過激なダイエットをすれば、たしかに短期間で痩せるかもしれない。

筋トレがやっぱりすごい根本的理由

ここで少し、身体の仕組みについて紹介しておきたい。

当然だが、人間は生きているだけでエネルギーを消費している。呼吸をしたり、体温を維持したりといった、生きているだけで使われるエネルギーを「基礎代謝」※と呼ぶ。

この基礎代謝、脂肪を減らすうえで重要である。なぜなら、基礎代謝が上がれば、運動をしなくても生きているだけでより多くのカロリーが消費されるからだ。

たとえば、同じ量の食事を摂っていても消費するカロリーが多いから太りにくくなる。当然、痩せやすくもなる。

ここまで取り上げてきたような「食事を制限する系のダイエット」がおすすめできないのは、その基礎代謝を減らしているからだ。

※正確には基礎代謝+活動代謝と言ったほうがいいかもしれないが、話がややこしくなるので「基礎代謝=1日の生活において消費されるカロリー」という定義で話を進めていく

では、基礎代謝を上げるには何が有効か。

それは、「筋トレ」である。

実は、筋トレ単体の消費カロリーはそれほど大したことはない。筋トレのすごいところは、筋トレ「後」にもカロリーを消費してくれる点にある。

運動には「強度」という概念が存在していて、簡単に言えば「その運動をどれくらいの時間続けられるか」という指標だ。徒歩やジョギングのように長時間続けられる運動の強度は低く、筋トレや100m走のように短時間で全力を投入するような運動の強度は高くなる。

実は高強度の運動は、運動終了後にもエネルギーを消費している。これを「EPOC」。運動後過剰酸素消費量。と言い、ランニングやウォーキングといった低強度の有酸素運動だと、この効果があまり得られない。

加えて、筋トレによって分泌される成長ホルモンは脂肪の分解を促進する働きも持っている。

また、筋トレによって身体に筋肉がつくと、仕事をしたり歩いたりといった普段の生活で使うエネルギーである「活動代謝」も増える。

しかも、筋トレをすると、基礎代謝が上がることに加えて、テストステロンやエンドルフィン※、アドレナリンなどの分泌も促してくれる。つまり、やる気アップやリラックス効果まであるのだ。

筋トレで、「非モテ」も「うつ気味」も「仕事」もすべて解決すると公言している私だが、大まじめに説明するなら、ここで述べたことが、私が筋トレをいつもおすすめしている理由なのである。

「食事の知識」はビジネスマン最強の教養である

バリバリ仕事をしようと思っても、健康でなければベストは尽くせない。そもそも、毎日を楽しく生きていくためにも健康な身体はマストだ。そして、その健康な身体づくりを司るのは、他でもない「食事」である。筋トレをはじめとする運動ももちろん大事だが、やはり一番は食事だ。

にもかかわらず、多くの人が食事に関する知識が乏しいというのは、どう考えてもおかしい。多くの人が、学生時代に家庭科の勉強で何となく聞いていた程度だと思うし、あとは、テレビや雑誌、最近ではネット記事から得た上辺の知識ばかりといったところだろう。目先の利益に飛びつくダイエット業界やメディアももちろん悪い。もちろん悪いのだが、感覚や勘に頼りすぎてわけのわからないダイエットに踊らされる消費者側の意識も低すぎる。

断言しよう、食事に関する知識は学歴より大事だ。学歴がいくら高くても、仕事が完璧だったとしても、身体を壊してしまっては、人生は台無しになってしまう。

よくスポーツ選手に対して「身体が資本」なんて言うが、ビジネスマンだって主婦だって、誰だって身体が資本だ。

もし日々のダルさや眠気を感じているなら、もしかしたら食事が問題かもしれない。身体が必要とする栄養をきちんと摂取すれば、仕事や日々の活動のパフォーマンスは上がっていくだろう。

また、ダイエットに成功して身体の調子もよくなれば、間違いなく気分もよくなる。日々の生活に潤いも出てきて、今まで悩んでいたことが、ウソのように感じられるようになる。自分のことも好きになる。気分がよくなると、精神的にも余裕が生まれるし、周りの人にも気を配れるようになる。不足していたタンパク質を補ってやれば肌にツヤも生まれ、生活にハリも出てくるだろう。

すべてが上手く回り出して、人生そのものが驚くほど楽しくなっていく。

うさんくさい宗教みたいだって?何とでも言ってくれ。でも信じる者は本当に救われるぞ(笑)。人生が上手くいくかいかないかを抜きにしても、ダイエットや食事に関する正しい知識は絶対に持っていたほうがいい。

そして、マクロ管理法は、人生において知っておくべき最低限かつ最強の知識だ。はっきり言って、そんなに難しくない。本当は政府が国を挙げて取り組むべき内容だ。

【「ビジネスエリートの最強の食べ方シリーズ」はこちら】
(1)学歴より大事な「食事の知識」 筋トレがやっぱりすごい根本的理由
(2)筋トレビジネスエリートの「マクロ管理法」 ダイエットに必要なたった5つのステップ
(3)「スイーツ食べちゃった……」焦るな、まだ間に合う 長続きするダイエットのコツ
(4)ご存知マッチョ御用達のアイテム 皮なし鶏むね肉は「神食材」
(5)「肥満ホルモン」と筋トレの関係 ハイパフォーマーへのカギは「低GI」

Testosterone
1988年生まれ。学生時代は110キロに達する肥満児だったが、米国留学中に筋トレと出会い、40キロ近いダイエットに成功する。大学時代に打ち込んだ総合格闘技ではトッププロ選手と生活をともにし、最先端のトレーニング理論とスポーツ栄養学を学ぶ。現在はとあるアジアの大都市で社長として働きつつ、筋トレと正しい栄養学の知識を日本に普及させることをライフワークとしている。Twitterアカウント: @badassceo