私があらゆるダイエット法の中で猛プッシュするマクロ管理法。これは、あなたの性別・身長・体重・年齢、そして3段階に分けて活動量から算出した1日に摂取すべき総カロリーと、そこから導かれたマクロバランスに沿って食べるだけという超シンプルな食事法だ。要は、あなたに必要なマクロ栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)を指定されただけ食べていけばいい。これを粛々と実行していくだけで、自然と身体は変わっていく。

(本記事は、Testosterone氏の著書『 筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方 』KADOKAWA 2017/6/30 の中から一部を抜粋・編集しています)

マクロ管理法は簡単 知っておきたい「マクロ栄養素」

筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方
(画像=Webサイトより)

いきなり「マクロ管理法」と言われても難しそうと思うかもしれないが、心配は無用だ。マクロ管理法をマスターすることは簡単である。実際に私は、数多くのダイエット法を試してきたが、マクロ管理法が最もわかりやすく、習慣化しやすいと感じている。というか、マクロ管理法と出会って以降、新しいダイエットは何も試していない。これ以上何も必要ないし、よいダイエットはすべてこのマクロ管理法が基盤になっているからだ。ダイエットでたった一つだけ守るべき鉄則があるとすれば、このマクロ管理法と言ってもいい。他のルールなど、マクロ管理ができるようになってから覚えればいいというレベルだ。

このマクロ管理法を実践するうえで「マクロ栄養素」を知っておくことは大前提である。

マクロ栄養素(3大栄養素)とは

タンパク質(P) 1g=4kcal
筋肉、内臓、肌、髪、爪、身体のありとあらゆるパーツの材料になる最も重要な栄養素。肉類や魚類、卵や乳製品に多く含まれる。英語では「プロテイン」。日本人に一番不足している栄養素と言っていいだろう。不足すると筋肉量の減少、肌や髪にハリやツヤがなくなる、爪が弱くなるなどのさまざまなトラブルが起きる。

脂質(F) 1g=9kcal。
関節の健康や脳の働き、ホルモン分泌や脂肪燃焼においても必須の栄養素。オリーブオイルやゴマ油などの油類はもちろん、アーモンドや落花生、チーズなどにも含まれる。ダイエットを始めるとむやみやたらと脂質の摂取をやめてしまう人が多いが、おすすめしない。しっかり脂質を摂取しないと身体がきちんと機能せず、脂肪燃焼の妨げになったり、筋肉を作るうえで有効に働くテストステロンの減少につながったりするからだ。ダイエット中でも、良質な脂質の確保をすることが大切である。

炭水化物(C) 1g=4kcal
主に人間が活動するために使用され、身体や脳を動かすエネルギーとなる。穀類や麺類、果物などに多く含まれる。

糖質制限ダイエットなどの影響によって炭水化物は「悪」と捉えられがち。過剰摂取はもちろんNGだが、決して悪ではない。摂取するタイミングが大切で、主に活発な活動前(朝食、昼食、運動前)と運動後(グリコーゲン補充)に摂ることがベストなタイミングとされている。

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必要なのはたった5つのステップだけ

マクロ管理法を行ううえで必要なステップを簡単に説明すると次の通りだ。ちなみに、今回は一般の人向けに、最もシンプルで簡単な設定法を紹介する。

  1. 性別・身長・体重・年齢をもとに基礎代謝を割り出す
  2. 1日の活動量を考慮し、1をもとに1日の消費カロリーを割り出す
  3. 2をもとに、あなたの目的(減量or維持or増量)に合わせて1日で摂取すべき総カロリーを割り出す
  4. 1日の総カロリーから、各マクロ栄養素を毎日何gずつ摂取すればいいかを割り出す
  5. あとは4のとおりに食事をしていくだけ

マクロ管理法に必要な5ステップ

【マクロ管理法の5ステップ①】1日の基礎代謝を計算する

1日に必要な基礎代謝の計算方法

では早速、順を追って見ていこう。

先ほど紹介したステップの1にもあったように、マクロ管理法では、まず1日の基礎代謝を割り出す。基礎代謝とは、人間が何もしなくても消費するカロリーの値だ。

今回の計算には、1990年に発表されたMD Mifflin(※注1)の式を使う。この数式は、アメリカで最もポピュラーな計算式の一つだ。1990年というと古く感じるかもしれないが、30年近くも使われ続けているのは、それだけこの計算式が優秀かつ、正確である証拠なので安心してほしい。

なお計算をより簡単にするため、「 DIET GENIUS 」のホームページ上に、1日に摂取すべき総カロリーやマクロバランスを簡単に算出できるページを作成した。超シンプルなので、ぜひアクセスしてみてほしい。

(※注1)Mifflin, M. D., St Jeor, S. T., Hill, L. A., Scott, B. J., Daugherty, S. A., & Koh, Y. O. (1990). A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy in-dividuals. The American Journal of Clinical Nutrition, 51 (2), 241-247.から引用し計算式を使用

先ほどの計算で算出した基礎代謝は「何もせずじっとしていても自動的に消費される」カロリーだ。だが、働いている人が1日中ずっと寝ているなんてことはあり得ない。

そこで、基礎代謝をもとに、活動量も考慮に入れた1日の消費カロリーを割り出す。

とはいっても、活動量は人によって異なるので、活動量を3段階の「アクティブ度」に分けて計算する。

  1. アクティブ度が低い人(基礎代謝×1・2)
  2. アクティブ度がまあまあ高い人(基礎代謝×1・55)
  3. アクティブ度が高い人(基礎代謝×1・725)

活動代謝のめやす

【1日の消費カロリーの例】

試しに170㎝、60㎏、35歳の男性を例にとってみよう。

計算式は図5のとおりだ。仕事の内容や体を動かす習慣があるかどうかによって、消費カロリーにはけっこう差が出る。

1日の消費カロリーの例

【マクロ管理法の5ステップ③】目的ごとに1日で摂取すべき総カロリーを計算する

先ほどステップ②で算出した1日の消費カロリーをもとに、今度は目的に合わせて摂取すべきカロリー設定を行う。

ここで一つ注意してほしいことがある。より大きな効果を得たいと思う人は、このカロリー設定を極端に上下させ、過激なものにしようとするかもしれない。しかし、それはおすすめできない。なぜなら、増量希望の場合、設定値である20%を超えるカロリーを摂取すると、体脂肪の増加につながりやすくなるからである。反対に、カロリーを減らしすぎても筋肉が減ってしまう。だからこそ、±20%が理想であることを覚えておいてほしい。「170㎝、60㎏、35歳、男性、アクティブ度高め」の場合、1日の消費カロリーは2574・5kcal。小数点以下を切り捨てて計算すると、摂取すべきカロリーは以下のようになる。

目的に合わせたカロリー設定

【マクロ管理法の5ステップ④】目的ごとに各マクロの摂取量を割り出す

マクロ栄養素を算出するために覚えることは次の3つだけだ。

1 タンパク質は体重の数値の2倍
2 脂質は総カロリーの25%
3 炭水化物は総カロリーからタンパク質と脂質のカロリー数を引いたもの

先ほどの「170㎝、60㎏、35歳、男性、アクティブ度高め、1日の消費カロリーが2574kcalの人」の場合、減量を目的としたとき、1日の総カロリーは2059kcalになる。この2059kcalをベースに、1日に摂取すべきマクロ栄養素を考えてみよう。

1日に摂取すべきマクロ栄養素の計算

以上が、「170㎝、60㎏、35歳、男性、アクティブ度高め、1日の消費カロリーは2574kcalの人」が1日に摂取すべきマクロ栄養素となる。計算をより効率よく行いたい人は、先ほどご紹介した「DIET GENIUS」の中にあるマクロバランス計算ページにアクセスしてみてほしい。

【マクロ管理法の5ステップ⑤】あとは食事をするだけ

ここまで紹介した計算式で1日に摂取すべきマクロ栄養素を算出したら、あとはそれに沿って食べていくだけだ。

逆に言えば、このマクロ栄養素が守られている限り、食べる順番や食べる回数、食材やその他一切は特に気にする必要はない。極端な話、1日の総摂取カロリーを夜寝る直前に食べたとしても、1日に摂取すべき総カロリーとマクロバランスさえ守っていけば痩せていく。

正確に言うと、食べる順番や回数を気にする必要がないわけではない。もちろん、5~6食に分けて食べるほうが理想的である。だが、他のどんなことを無視してでも守る価値があるくらいマクロ管理法を守るメリットは計り知れない。だからこそ、最優先で守ってほしい。

ちなみに、1gの誤差もなく完璧に行おうとするとストレスになってしまい、長続きしづらい。そのため、タンパク質と炭水化物は±10g、脂質は±5gぐらいの誤差に収めるつもりでOKだ。

いちいち栄養素を確認するのが難しそう?いやいや、試しにコンビニの商品を手に取ってみてほしい。商品の裏側にタンパク質・脂質・炭水化物がそれぞれ何g入っているか書いてある。また、自炊するときだって、今では「 カロリーSlism 」などのウェブサービスを使えば、各食材の栄養素を簡単に調べることができる。

何かを食べるときは、その都度マクロ栄養素を見て徐々に慣れていくといいだろう。

マクロ栄養素を満たす食事例

さて、1日に摂取すべき総カロリーやマクロバランスを把握できたら、次に重要となるのが実際に管理していくこと。ここで役立つのが、先ほども紹介した「カロリーSlism」である。カロリーSlismは各食品の栄養価を調べる以外にも、自分が食べた食品のカロリーや栄養素をまとめて計算できるのだ。

せっかくだ、今ここでカロリーSlismにアクセスし、今日食べた食品や食材。まだ十分な食事をしていない人は昨日食べたメニュー。を検索してみてほしい。各食品のページにアクセスすると「カロリー・栄養計算機へ」というボタンがあり、これをクリックすると食事をリストに追加できる。リスト化後、「全ての栄養素詳細へ」というボタンをクリックすれば、総カロリーとともにマクロ栄養素も表示されるのだ。これを見れば、一目でマクロ栄養素を把握できる。

実際に計算してみると、脂質が多かったりタンパク質が足りない、あるいは摂取すべき1日の総カロリーをはるかに超えているなど、意外と栄養のバランスが取れていないと感じる人が多いのではないだろうか。

ただし、ここで絶望する必要はない。脂質が多いなら減らせばいいし、タンパク質が足りないなら意識して摂ればいい。また、リストへの追加や削除は簡単にできるので、食事のメニューを決める前にこのカロリーSlismを上手く使ってマクロ管理法を実践してみてほしい!

一度自分のマクロバランスを満たせる食事を作ってしまえば、マクロ管理法はグッと楽になる。ベースができたら、後はおかずを変えたり炭水化物の種類を変えたりと細かな調整をするだけで毎日飽きることなく違う食事を続けられるのだ。もう一度言おう。一度作ってしまえば楽になるから、ぜひ今ここで作ってこれからの自分の食生活を具体的にイメージしてみてくれ!

【「ビジネスエリートの最強の食べ方シリーズ」はこちら】
(1)学歴より大事な「食事の知識」 筋トレがやっぱりすごい根本的理由
(2)筋トレビジネスエリートの「マクロ管理法」 ダイエットに必要なたった5つのステップ
(3)「スイーツ食べちゃった……」焦るな、まだ間に合う 長続きするダイエットのコツ
(4)ご存知マッチョ御用達のアイテム 皮なし鶏むね肉は「神食材」
(5)「肥満ホルモン」と筋トレの関係 ハイパフォーマーへのカギは「低GI」

Testosterone
1988年生まれ。学生時代は110キロに達する肥満児だったが、米国留学中に筋トレと出会い、40キロ近いダイエットに成功する。大学時代に打ち込んだ総合格闘技ではトッププロ選手と生活をともにし、最先端のトレーニング理論とスポーツ栄養学を学ぶ。現在はとあるアジアの大都市で社長として働きつつ、筋トレと正しい栄養学の知識を日本に普及させることをライフワークとしている。Twitterアカウント: @badassceo

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