日経平均予想レンジ19,900~20,318円

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(写真=PIXTA)

今週は、米国株式が史上最高値を更新したものの、為替がドル安、円高で推移するなど外部環境は強弱材料が混在する中、日経平均は2万円を支えにもみ合う展開となった。一方、TOPIXは年初来高値を更新した。

海外の焦点

米経済指標では、6月CPIは前月比横ばい、コア指数は0.1%上昇にとどまった。又、6月小売売上高は0.2%減といずれの指標も市場予想を下回り、年内の追加利上げ観測が後退した。利上げペースが緩やかになるとの安心感に支えられ、米国株式は市場最高値を更新。

一方、低調な米経済指標を受けて米長期金利は低下、ドルが売られ円相場は111円台後半に上昇した。ただ、米追加利上げペース(加速)観測が薄れる中、米株価が上昇する局面ではリスク回避目的の円買いになる可能性は少ないと考えられる。

そのほか、トランプ政権の政策運営を巡る不透明感が危惧される。米上院共和党の執行部が提出したオバマケア代替案の修正案の不成立が確実になったことで、市場が期待する減税や規制緩和の実現実効性が懸念され、米長期金利の低下を受けた円高懸念が日本株全体の重荷となりそうだ。

国内の焦点

東京都議会議員選挙での自民党大敗をきっかけに内閣支持率の低下基調が続いている。円安、株高をもたらしたアベノミクスを推進してきた安倍政権の勢力後退は株安・円高要因との思惑に繋がりかねない。

大手新聞社の7-10日調査では支持率は33~36%に低下した。通信社が10日に実施した7月世論調査では6月より15.2pt減の29.9%と報じた。3割を切るのは2012年の第二次安倍内閣政権発足以来初めてとなる。

内閣支持率と株式相場の間には明確な関係は見れないものの、内閣不信任案が出てくる可能性には警戒しておきたい。これまで支持率が外国人の売買に影響を及ぼすケースが多かっただけに、今回も何か悪材料が出現すれば、外国人売りに注意を要する。

テクニカル面では、上値圧迫の25日線(20,093円)を上抜け、新たな上昇トレンド入りへの期待が高まった。今週は、2万円を下回っても挽回するなど下値に対する抵抗感も見られる。加えて、もち合い相場にも煮詰まり感が出ており、上方への水準訂正の動きを期待したい。

来週の株式相場

以上、来週は本格化する決算発表が焦点となる。外部環境を睨み、好業績が確認された銘柄や値動きの良い個別材料株に関心が集まりやすい。日経平均のレンジは上値は6/20高値20,318円が意識され、下値は、節目の19,900円が目処となろう。

株式見通し7-21

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト