現代自動車、起亜自動車、韓国GMの韓国自動車メーカー3社の労働組合が、「合法的ストライキ」の要件を整えた。
雇用労働部中央労働委員会から「調停中止」の決定を受けた金属労組現代自動車支部(現代自動車労組)は、同月14日の組合員投票で、ストライキの実施を賛成68.4%で可決した。
起亜自動車労組も同月13日に中央労働委員会から「調停中止」の決定を受けており、全組合員の72.1%にあたる2万375人がストライキに賛成している。韓国GM労組は1万5000人の組合員のうち約110人が7月17日に労働組合の「組合員教育時間」を利用して勤務から離脱する事実上の部分ストを行なっている。
賃上げで業績悪化に拍車
現代自動車の2016年の賃金交渉が妥結したのは10月中旬だった。14回のストライキを経た同年8月末、労使代表が導き出した合意案に78%の組合員が反対、10月の妥結まで10回の追加ストを繰り返している。現代自動車の労組のストライキによる損失は3兆1000億ウォンに達し、下請け企業が被った損失も1次ベンダー348社が1兆4000億ウォン、2、3次ベンダーは約5000社で4兆ウォンと推定されている。
現代自動車は業績が低下しており、労組組合員に平均5.1%の賃上げをする一方で、現代自動車グループ51社の役員1000人強が給与の1割を返納している。
強硬な労組は自動車だけではない。労組に手を焼いている日系企業もある。
韓国に進出する日本企業のなかで、代理店等の取引先を買収するM&Aが目立ってきているが、業績が悪化した取引先を買収して間もない日系企業が資金繰りを理由に賞与の削減を提示したところ、会社が倒産しても構わないから賞与を払うよう要求されたという。