スマホの登場によって通信が便利になったが、世の中のあらゆる「モノ」が「インターネット」に接続される「IoT(Internet of Things)」によって暮らしそのものが大きく変わりそうだ。身近な例を出せば、冷蔵庫をインターネットに接続させることで、出先のスマホから冷蔵庫の中にあるモノの数量などが把握できるようになり、買い忘れが防げるようになったりして暮らしが便利になる。

大容量通信を必要とするIoTの普及に欠かせない技術が「5G」だ。5Gは「5th Generation」の略語で、第5世代移動通信システムのこと。移動体通信はほぼ10年ごとに新しいシステムが開発されてきており、5Gは2010年頃から普及し始めた4Gの「LTE」を後継するシステムとして研究開発が始まったものだ。その通信速度はLTEの1000倍にあたる毎秒10ギガビット超と言われている。ここでは5Gに関連する銘柄について、最近の動向を整理していこう。

(1)ネクストジェン <3842>

同社はNGN(Next generation network)と呼ばれる、インターネットなどで使われているIP技術を利用した次世代の通信網に関する、制御システムの開発を行っている。NGNには、IPネットワークの利便性と経済性に加え、電話網の信頼性と安全性が加味されているという。

5G通信の開発に積極的なNTTドコモ <9437> に対しても通話管理システムを導入しているなど、今後も5G分野では見逃せない存在だと言えるだろう。

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(2)サイバーコム <3852>

富士ソフトの子会社である同社は、通信分野を中心としたソフトウェア開発を主力にしている。成長分野として医療向けシステムに注力しているほか、カーナビなどの車載関連システムでも幅広く支持を得ている。

とりわけ5Gが必須となる自動運転の分野においては、次世代ネットワーク制御・監視システム開発で同社の実力は高く評価されており、今後の展開が期待できる。

(3)JIG-SAW <3914>

クラウドやサーバーを対象にした自動監視システムを展開するJIG-SAW Gは、イスラエルのAltair Semiconductor, LTD.(アルティア社)との間で同社製通信チップセットの技術ライセンス契約を結び、IoT-LTE分野における先駆者としての役割を果たしてきた。

2016年2月にSONY <6758> がアルティア社を傘下に置いたことから、同社製チップの信頼性・認知度が飛躍的に向上、国外における拡大にも弾みがついている。JIG-SAW Gとアルティア社との間の包括的な技術ライセンスにかかる関係は従来通りで、LTEから5Gに向けて、一層の展開が期待される。

(4)構造計画研究所 <4748>

独立系のSIである同社は、構造設計から創業し、独自の防災コンサル展開している。現在の業務の柱は、建設・防災分野に加え、モバイルテクノロジーなどの情報・通信分野、製造・物流や製品設計のソリューションを提供する製造分野、意思決定・合意形成支援分野の4本立てになっている。

同社は5Gモバイル推進フォーラムにも参加するなど、5Gに関する研究や一般への周知など、積極的に5G実用化に取り組んでいる。

(5)アンリツ <6754>

通信系計測器の大手である同社は、携帯電話や基地局に関連する事業を展開しており、5G関連銘柄として有力視されている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての5G関連開発にも注力しており、国内はもとより海外展開についても積極的だ。

2017年7月、同社は5Gをはじめとする次世代高速無線通信用のインターフェースの販売を開始したが、この新製品により従来のインターフェースでは約40秒要していた転送時間を大幅に短縮、5G無線通信機器の開発効率を向上させ、2020年ごろまでに予定されている商用サービスの実現に貢献できるという。

(6)アルチザネットワークス <6778>

通信計測器の開発業者である同社は、携帯電話の基地局や交換機向けの計測器を主力に置いている。無線アクセスネットワークの中核をなすC-RAN技術において、同社は世界の大手通信キャリアや大手ベンダーに対し、C-RAN基地局の限界性能を測定するテスターを提供しているなど、こうしたテスター市場では世界シェアトップを誇っている。

LTE-Advancedに至る全機能を既存製品で対応している上、次世代携帯電話計測器でも世界をリード。すでにLTE Advanced Pro.や5Gへの準備もスタートしているという。

(7)ヨコオ <6800>

同社は半導体デバイスや車載通信用アンテナをはじめ、スマホ用の回路検査機器や社会インフラ用システムの開発製造を行う電気機器メーカーで、医療用カテーテルなども手掛けている。

自動運転関連など5G対応機器の開発を行っており、関連銘柄として注目しておきたい。

(8)アイレックス <6944>

同社は本来通信系コア技術に強いシステム開発会社で、NEC <6701> やパナソニック <6752> などを主たる顧客としてきた。

IoTや自動車関連のシステムにも注力しており、5G対応スマホの試作にも取り掛かるなど、新たに5G関連銘柄としての注目を集めている。

(9)PALTEK <7587>

独立系半導体商社である同社の主力は、FPGAなどの外国製半導体の販売だが、設計の受託や生産、自社製品の開発にも積極的に取り組んでいる。

半導体の自社製品開発など、5G通信機器分野においても今後の活躍が期待される銘柄だ。

(10)理経 <8226>

IT機器を輸入販売する技術商社である同社は、新しい技術の取り込みや衛星通信技術などに強みを発揮しており、大学や官庁向けに強い。

5Gでは送信用、受信用で各8本のアンテナを使う「8×8 MIMO」が規定となっているが、同社はスペインのEMITE社と無線通信のネットウエル社と共同で、「EMITE社8×8 MIMOアナライザー」のサービスやメンテナンスを事業化すると発表している。5Gの実用化に先駆けて、今後の主流と目される分野に着手したものとして注目される。(ZUU online 編集部)

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