減速したとはいえ中国経済は成長を続け、中国人はますます豊かになったはずだ。中国人の貯蓄率は高いとされているが、実際にどのくらいもっていて、それは何に貢献しているのだろうか。このほど中国人の貯蓄に関する研究レポートが発表された。官製メディアの「人民網」がその内容を伝えている。

所得上位者の高い貯蓄率

中国経済,所得格差,所得移転,人民網
(写真=PIXTA)

西南財経大学(四川省・成都市)の中国家庭金融調査研究センターでは、2011年から大掛かりなサンプル調査を行っている。2015年のそれは、サンプル家庭4万戸、全国29の省、特別市、自治区に及んだ。

調査によると全国の家庭のうち60%は貯蓄を持っていたが、40%は何も持っていなかった。そして家庭貯蓄の主要部分は高所得層によるものだ。収入上位5%の家庭平均貯蓄率は72.2%で、総貯蓄の50.6%を占めている。同様に上位10%では、平均貯蓄率45.2%で、総貯蓄の62.4%、上位25%になると、平均貯蓄率42.9%、総貯蓄の77.1%までを占める。さらにGDPに占める貯蓄の割合は上昇し、2015年では31.8%に及ぶ。

これに対し米国の家庭貯蓄率統計では、収入上位5%の貯蓄率は37.2%、上位10%では27.5%、上位25%では21.3%である。中国人の貯蓄性向ははるかに高い。

所得移転政策が急務