資産形成をするにはインデックスファンドを使って世界中の株式に投資しておけばいいのですが、悪魔の囁きがこれを邪魔しようとします。

(本記事は、吊ら男 氏の著書『 毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資 』ぱる出版(2017/7/15)の中から一部を抜粋・編集しています)

ズボラ投資家を誘惑する投資業界の「悪魔」

ボッタク投資,吊ら男
(画像=Webサイトより)

たとえチャンスを逃したとしても、投資詐欺っぽいものからは逃げるべし。ズボラ投資の期待リターンは年率5%ですが、短期的には何十%もソンするリスクもあります。だから「もっと安全で確実なやり方があります」「もっと儲かる方法があります」という甘言で誘惑してくる悪魔がいるのです。投資業界には本当にいろいろな悪魔がいて、いろいろな囁きをしてきます。

曰く、
「日本の投資信託は三流。世界にはもっと優秀なファンドがある」
「和牛オーナーになって安定的に毎年5%の利回り」
「米国の診療報酬請求債権で安定的に6〜8%の利回り」
「ワインファンドで年率17%の利回り」 etc、etc ・・・・・・

このように、真実だとしたら非常においしい話を囁いてきます。このような悪魔の声は至る所にありますが、特に投資を始めると触れる回数が増えてきます。投資に興味を持つようになるとマネー誌などを手にとるようになるかもしれませんが、このようなところにも悪魔はうじゃうじゃいます。

もし、この悪魔の話が本当だとしたら非常に魅力的な話ですし、本当においしい話である可能性もあります。悪魔どころか天使の可能性もなくはない・・・しかし、その魅力的かもしれない話を見逃すことになったとしても、このような投資話には付き合わない方が吉です。まあ、99・9%悪魔です。

まず、この手の悪魔からの怪しい魅力的な投資話には多くの投資詐欺が混ざっています。投資してソンする以前に、詐欺にあって投資金がなくなっては元も子もありません。そのようなリスクは取ってはいけません。

投資詐欺の典型は自転車操業 ポンジー・スキーム

投資詐欺の典型的なパターンは、投資先が実際には投資をしないで、どんどん次の人を勧誘して、集めたお金をそのまま配当として支払う「自転車操業」です。投資のあるべき姿は、投資家のお金で投資先が生産的な活動を行い、その利益を還元する流れです。しかし、自転車操業の詐欺は、借りたお金を回しているだけなので、借入れ先がなくなるとすぐに破綻してしまいます。

これを投資の世界では「ポンジー・スキーム」と言います。ポンジー・スキームという名前は、かつてアメリカにいたチャールズ・ポンジーという人の名前から来ており、「チャールズ・ポンジーと同じやり方」という意味になります。

マジメ系ボッタクリに気をつける 大手金融機関でも信用しない

銀行、証券会社、保険会社といった金融機関はしっかりと法令遵守を考えていますので、彼らが売っている商品に違法な詐欺商品はありません。大手の金融機関が取り扱っているたくさんの金融商品は合法的な投資商品ばかりです。しかし、合法的な金融商品だからといって彼らのオススメを買ってはいけません。

まず考えてください。金融商品を売ってくる金融機関は、どうやって儲けているのでしょう? 金融商品を売る金融機関は、慈善団体ではありません。金融商品を売って稼がないといけません。ましてや大手の「銀行」「証券会社」「保険会社」と言えば、社員の給与水準は高いことで知られています。そんな社員の給与を支払えるだけの収益を上げないといけません。

実際にはどんなボッタクリ商品があるかというと以下のような商品です。

①外貨預金
②手数料の高い投資信託
③ファンドラップ

合法的ボッタクリ投資①外貨預金

「外貨預金」は普通預金・定期預金しかしていなかった人が投資を始める際に、すぐに目につく典型的な投資商品です。日本円預金の金利がほぼ0%の超々低金利下では、外国の通貨の金利は魅力的に感じます。しかし、外貨預金は不利な金融商品です。

まず、外貨預金の場合には外貨に両替する両替手数料がかかります。これが高いことが多い。

たとえばメガバンクの窓口で米ドル預金をしようとすると、1ドルあたり1円の手数料が取られます。ネットバンキングを使うと大体25銭程度ですが、これも安くありません。ネット専業バンクの場合には1ドルあたり15銭と相対的に安くなっていますが、それでも外貨預金をする時、解約して日本円に戻す時、その両方に為替手数料がかかります。

さらに実は金利も低く設定されています。日本円での預金の金利が低いせいで相対的に外貨預金の金利が高く見えますが、大抵の場合、外国で普通に預金するよりも低い金利になっています。安くない為替手数料がかかりつつ、金利も低い外貨預金はオススメ
できません。

合法的ボッタクリ投資②手数料が高い投資信託

「手数料が高い投資信託」は、これまでに書いてきたとおり、手数料の高さが投資家のリターンを減らします。銀行にとっては収入が多い反面、投資家にとっては利益が減ることになり、利益相反の典型事例です。

金融機関が手数料の高い投資信託を買わせることは、よく行われていました。何かスゴそうな複雑な仕組みで、販売手数料が3%にもなるような投資信託を売りつけていました。

たとえばある投資信託の方針には、①日本株式の配当を狙いつつ、②高金利通貨の高い金利収入を狙いつつ、③株式の値上がり益を捨てるかわりに固定収入を得つつ、④円安になった場合の為替での利益を捨てるかわりに固定収入を得る、といった仕組みの投資信託がありました。意味不明です

この投資信託に投資していた投資家のほとんどは、自分が買っている投資信託がどういう商品か説明できなかったと思います。はっきりいって、誰がそんな商品を買いたいのかという商品でした。でも、なにかスゴそうですしケムに巻くにはピッタリな商品だ
ったのでしょう。

合法的ボッタクリ投資③ファンドラップ

しかし、ただでは転ばないのが金融機関回転売買による購入手数料稼ぎを封じられた金融機関が、次の手として「ファンドラップ」という仕組みを生み出しました。今までは投資信託を乗り換えさせるごとに3%

前後の手数料を得てきましたが、回転売買に規制がかかってしまいました。そこで「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」とばかりに「購入時の手数料を取れなければ、保有中に手数料を貰えばいいじゃない」と考えたのがファンドラップという仕組みです。

ファンドラップとは、投資家のリスク許容度や投資経験などに応じて金融機関がオススメのファンド(投資信託)の組み合わせを提案し、その組み合わせで運用するサービスです。建前としては、プロがその人に適切な配分で投資信託を組み合わせて運用してくれる、というサービスです。

しかし、実態はそんなスゴいものではありません。この手のサービスをいち早く広めようとした大手の証券会社や銀行のファンドラップの場合、信託報酬+ ファンドラップの手数料で年率2%前後になります。この手数料がプロによるアドバイスの対価として見合っているかが重要ですが、プロのアドバイスと言っても大したことはありません。

「投資するお金は使い道が決まっているお金ですか? 余裕資金ですか?」「いくらまでソンして大丈夫ですか?」など事前に決められた質問をして、あとはその答えに応じて「積極型」「中立型」「安全型」のように自動的に決まっている投資信託の組み合わせを提案するだけです。どこぞの恋愛占いのおまけについている「あなたにぴったりな相手は?」のフローチャートのようなものです。

これが1回限りで1〜2%の手数料ならまだしも、毎年かかってくる手数料となると適正な手数料とは言えないでしょう。

大手だからと信用しない

これらは具体的な問題商品の一例です。ここに挙げたものも含め、大手の金融機関の販売している合法的な金融商品でも、ボッタクリ金融商品が多数あります。銀行や大手証券会社のオススメだから…といって安易にこのような商品を買ってはいけません。

「彼らも商売だから、どこかで収益を上げないといけない」という常識的な発想を常に持つようにしてください。

吊ら男(つらお)
サラリーマンとして働きながら、『 吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)』を運営する人気の投資ブロガー。投資信託を使った低コストインデックス投資、パッシブ投資で資産形成を行っている。Twitterアカウント: @tsurao

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