アリババグループの第三方支付平台(電子決済システム)支付宝(アリペイ)では、8月1日~8月8日までを“無現金城市週”と設定し、支付宝によるモバイル決済の利用を促す。無現金社会の実現へ向けて主導権を握るためである。ニュースサイト「今日頭条」が背景を交えて伝えている。

大掛かりなキャンペーン

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(写真=PIXTA)

支付宝よるとこの期間、支付宝によるモバイル決済をすればさまざまな特典を得られる。最高で4888元のディスカウントや、3日間の公共交通運賃無料、また無現金社会への100本の優秀評論に対する100元(約1650円)のお年玉プレゼントなどである。

支付宝は今年の2月SNSを通じて、中国全土における無現金社会を今後5年で達成すると宣言している。無現金社会まであと16XX日というカウントダウンも開始した。今回の活動はその達成へ向けたデモンストレーションである。

支付宝は人心をしっかりつかみ、未来の無現金社会の市場を掌握することを目指している。モバイル決済のもう一方の巨頭、テンセントの微信支付もこの期間に合わせて、奨励金のプレゼントをなどを行う。支付宝と微信支付との“インセンティブ大戦”は、一つひとつのコンビニ決済まですべての場面において継続している。

高齢者対策を模索

モバイル決済(支付宝、微信支付)は都市から農村まで、沿海部から中西部まで拡散した。スマホ普及率は一人一台に近付いている。しかし注意を要するのは、この絶対多数は労働人口であることだ。国家統計局の2016年末のデータによると、高齢者と子供の人数は約5億人、総人口の35%を占める。

そして総人口の16.7%は高齢者である。彼らは、社会技能と知識を学習し、そして更新する頻度が非常に低い。飛躍的に発展する配車サービス、フードデリバリーサービス、シェアサイクル、モバイル決済などを使えない。2014年以降の配車アプリとタクシーの戦いでも、基本的に老年層はサービスを享受することができなかった。

この状況に対しアリババグループでは、ネット通販と実店舗を融合させた新しい小売店を提案している。これまでの技術を複合させたネット決済用のスーパーで、盒馬鮮生会員店という。ここでは高齢者たちに使用するアプリの説明をする必要もなく、スマホもいらない無現金決済への実験を重ねている。例えば子女が支付宝に家族口座を作る。すると母親は指紋認証するだけで決済できる。モバイル決済に高齢者の参加できる空間を広げようとしているのである。

中国の変化は急

記事は今後の見通しについて、支付宝と微信支付の提唱する“無現金”の概念には現金の排斥を含んでいる。銀行やクレジットカードと争うことはもはや意図していない。見据えているのは各国政府と中央銀行の管理監督の姿勢や、目に見えない利益相関者たちの動きであると述べている。

2015年、アリババ創業者の馬雲氏は現金を消滅させる必要を呼び掛けた。繰り返し語っている内容だ。

支付宝と微信支付は、かつてない新しい技術の革新者である。強大な銀行システムに挑戦し、完全な新型信用制度を完成させる。モバイル決済の使命を明らかにし、人々にその可能性を認識してもらう。人々の耳目を一新する。またこれは未来の国家への希望にもなる。発展途上国にとって決済管理は重い負担になっているからだという認識である。

また支付宝を扱うアント・フィナンシャルのCEOは、我々は世界に平等な機会を提供したい。それには一人一人がモバイル決済を選ぶ平等も含む、と述べている。

中国ではアリババとテンセントの競争によりモバイル決済が急速に普及している。アリババ創業者・馬雲のリーダーシップも健在である。2010年からのスマホ普及で時代が変わり、2015年からのモバイル決済急拡大で再び時代が変わっている。中国の動きは経済指標だけでは見通せない。また1~2年前の議論はすでに通用しない。何をさておいてもそのスピードの速さを認識しておかなければならない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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