「ナポレオンは睡眠を3時間しかとらず、寝る間を惜しんで奔走したからこそ、短期間で偉業を成し遂げることができた」という訓話は、日本のビジネスマンであれば一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。

しかし、この訓話にも昨今、疑問符がつき始めている。名だたる現代の名経営者たちが、次々に「長時間睡眠」を宣言しているのだ。

「クリエイティブな発想をするためには、十分な睡眠が必要」

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(写真=VGstockstudio/Shutterstock.com)

ハフィントンポスト創設者のアリアナ・ハフィントンが先ごろ、「短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言」という記事を発表した。

彼女は、ニュースサイトの創業者として睡眠時間を削って事業にまい進するうちに、睡眠不足が生産性と幸福感の低下をもたらすことに気づき、生活スタイルを改めたとのことだ。

「クリエイティブな発想をするためには、十分な睡眠をとる必要がある」と提唱し、現在は1日7~8時間の睡眠をとっているという。また、Amazon創業者のジェフ・ベゾスもロング・スリーパーとしても有名で、通常8時間は睡眠をとるとのことだ。

イーロン・マスクは6時間眠り、100時間働く

アリアナ・ハフィントンと同様に、起業時は十分な睡眠が取れなかったが、そうした生活スタイルを改めて今では十分な睡眠時間をとるようにしているという経営者も増えている。IT業界の巨人、マイクロソフトのビル・ゲイツや、若き天才起業家として注目を集める、テスラモーターズのイーロン・マスクなどだ。

イーロン・マスクは「週100時間働く」と言われるが、意外にも睡眠時間は6時間程度確保しているという。起業時には寝る間も惜しんで働いたが、「生産性を上げるためには睡眠が必要」と話しており、睡眠の重要性に気づいたようだ。

一方、睡眠時間を確保しつつ、週100時間という驚異的な仕事時間を確保するために欠かせないのは「マルチタスク」だという。会議中に電話で仕事を片付ける、請求書を確認しながらメールを送信するなど、コンピューター用語で言うなら「バッチ処理」といい、常に同時進行で業務を片付けている。

とくに使いこなしているのはメールやテキストメッセージで、時間をとられる電話は最低限とし、スケジュール消化に専念しているという。

これからの経営者に求められるのは、力技ではなくクリエイティビティ

イーロン・マスクの例を見てもわかるように、これからの経営者には「マルチタスク」が求められるのは間違いない。

「24時間戦えますか」のフレーズが流行した昭和のバブル期には、ITやインターネットもまだ普及しておらず、時間をかけて力技で押し切るようなビジネスがもてはやされたかもしれない。しかし、ネットワーク環境がどこでも整い、モバイル端末さえあれば「どこでもいつでも」仕事ができる現代では、他社に差をつけるにはこうした力技よりもクリエイティブな発想が求められる。

睡眠時間を削れば業務時間を確保できるかもしれないが、アリアナ・ハフィントンが言うように、生産性や幸福度が低下する。常にマルチタスクで効率的に業務を遂行し、生産性を上げて十分な睡眠と休養をとることで、クリエイティブな発想は生まれてくるのだ。

「勤務間インターバル」の導入も一助に

ドイツでは、フォルクスワーゲンやBMWなどの大手企業を中心に、従業員のシフト終了30分後に会社からのメール送信を止めるという措置がとられ始めている。オンオフを切り替えて、十分な休養をとることで、生産性を高めようというものだ。

日本でも、政府が主導する働き方改革の中で、勤務終了後、一定時間以上の「休息期間」を設ける「勤務間インターバル」の導入が議論されている。

勤務間インターバルが導入されれば、今まで以上に休息時間の重要性が意識され、「長時間労働=短時間睡眠=美徳」とされてきた日本の労働文化にも大きな変化が訪れる可能性がある。(提供: 百計オンライン

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