韓国の百貨店・デパート各社が「食品館」、いわゆるデパ地下に注目している。

新世界百貨店は、2017年上半期の食品売り上げが、稼ぎ頭のブランド品と肩を並べるまでに成長した。現代百貨店も2013年には13.1%だった食品館の売上比率が、16%まで増えている。

現代百貨店がカード顧客を分析したところ、新規顧客が会員登録から1カ月以内に最も多く利用するカテゴリーは食品館で、VIP顧客の割合も2014年の28.3%から継続的に上昇し、2016年には30%を超えていた。

韓国の百貨店にとって、食品館は「品ぞろえ」の性格が強かった。ブランド品やファッションなどの主力カテゴリーと比べて売り上げが低く、集客効果に焦点が当てられていたが、売上増加で重要度が高まってきている。

デザートへの関心の高まりがきっかけ

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ロッテ百貨店本店食品館(写真=筆者)

百貨店が食品館に注目し始めたのは2010年以降のことだ。消費者のデザートに対する関心が高まりはじめた時期である。

新世界百貨店江南店に2012年にオープンした木槌で突いて食べる菓子「シュネーバレン(Schneeballen)」は1日の平均売り上げが1000万ウォンを超えて話題になり、続いてモンシュシュのロールケーキやルタオ・チーズケーキ、ロイズのチョコレート、ベイクのタルトなど、高級デザート店を相次いでオープン。デザートを求める人々を中心に新たな客層を取り込んだ。

デザートの成功を受けて各デパートは、食品への投資を増やしはじめた。新世界百貨店は、2014年の本店を皮切りに、セントラルシティ(2015年)、永登浦店(2016年)、京畿店(2017年)など、多くの店舗で食品館に大規模な投資を伴うリニューアルを進めている。

現代百貨店も2015年に開業した板橋店(パンギョ)店に国内最大規模となる4200坪の食品館を設けている。売場の半分をデザートで構成し、イータリー(Eataly)、マグノリア(MAGNOLIA BAKERY)、ジョー & ザ ジュース(JOE & THE JUICE)など海外の有名ブランドやサムソンベーカリー、サムヂンオモクといった国産グルメ店が口コミで広がり、遠くからも消費者が集まるようになった。現代百貨店のデザート売り上げは年20%を超える伸び率を示している。

スーパーより安い輸入品も並ぶ

有名なグルメ店も食品売り上げを後押しする。

新世界百貨店は「平壌麺屋(ピョンヤンミョンオク)」や「乙密台(ウルミルテ)」など、これまで百貨店に店舗を出すことがなかった有名店が入店し、ロッテ百貨店は仁川チャイナタウンの中華レストラン「萬多福(マンダボク)」や神奈川県の熟成とんかつ「大地」といった老舗レストランが蚕室店に入店。パブコンセプトの「オープンダイニングゾーン」も人気を博している。

輸入食品にも力を入れている。現代百貨店やロッテ百貨店など、日本や中国をはじめとする菓子や調味料、加工食品等などの品目を増やしている。東日本大震災で急激に落ち込んだ日本食品は、ナショナルブランドに加え、震災前には目にすることがなかった地方の食品も目にするようになった。輸入食品の専門店や大手スーパーより安い価格で販売している商品も多い。

韓国の百貨店はテナント方式が多い。家賃は売り上げに対する一定割合で、人件費はテナントが負担する。夕方になると各テナントは商品を売りさばくため、通常5000〜7000ウォンの惣菜を3〜4パック1万ウォンで販売するなど、毎日のようにセールを行っている。スーパーより高品質な百貨店の食品を安く買えるとあって、連日のように仕事帰りの客でにぎわっている。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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