スーツの下に着るシャツは、無難な組み合わせだとインパクトがありませんし、ちょっと冒険しようとすると、すごくセンスが問われるところです。また、基礎知識がないと、恥ずかしい選び方をしてしまう場合もあります。ここでは、スーツの下に着るシャツの基礎知識を紹介します。
・シャツの襟の形
まずは襟の形や開き方の違いからスタンダードなレギュラーカラー、レギュラーと同じ開きで襟羽根が短いショートポイントカラー、レギュラーと同じ開きで襟羽根が長いロングポイントカラー、正面に襟と襟をつなぐタブがついたタブカラー、首回りがスッキリ見えるためビジネスにおすすめのワイドカラー、フォーマルシーンにおすすめのウイングカラー、襟羽根の開きが60度以下のナロースプレッドカラー、同じく羽根開きが100~120度のワイドスプレッドカラー(ウインザーカラー)、ロングポイントカラーとワイドスプレッドカラーの中間のフレンチカラー、襟と襟台が一枚になったイタリアンカラー、襟先を丸く小さくしたラウンドチップカラー、立ち襟とも言うスタンドカラー、色柄によって上品にもカジュアルにもなるホリゾンタルカラーなどがあります。
さらにスナップで留めるタイプのスナップダウン、ボタンで襟の両側を留めるタイプのボタンダウン、襟台にボタンが2つ付いているドゥエボットーニ、襟羽根の中間に穴を開けてピンを通したピンホールカラーなど、実にさまざまな襟の形があります。
それぞれ、着用するシーンやその日の気分、また上に着るスーツのテースト、遊び心などに合わせて選びます。
・カフス型
カフス型もシャツを選ぶ際には重要です。カフス型にはシングルカフス(パレルカフス)、ダブルカフス(フレンチカフス)、コンバーチブルカフス、ターンアップカフス、テニスカフスがあります。
おすすめは、ボタンでもカフスボタンでも留めることができるコンバーチブルカフスと、折り返してカフスボタンで留めるダブルカフスです。
シングルカフスはボタンで留めるタイプで、ビジネス、カジュアルの両方に着られるため汎用性が高いとされています。ターンアップカフスはダブルの折り返しがありますが、ボタンで留めるタイプで、折り返した上側が斜めにカットされており、おしゃれな印象を受けます。フォーマルなパーティーの席などにもおすすめです。
また、テニスカフスはボタンがなく、両方にホールが空いていてカフスボタンで留めるタイプのシングルカフスです。カフスタイプのシャツの中で一番正式なものとされていますが、最近ではあまり見かけなくなっています。
カフスも着用するシーンやプレース、スーツとの相性を見極めて選びますが、襟以上にセンスが問われるところでもあります。
・生地の素材
シャツの生地の素材もたくさんの種類があります。ビジネスシーンで着るシャツは季節によってそれほど違いがありませんが、カジュアルではシャツ1枚で着ることも多いので、シャツの素材も季節によって変わってきます。
シャツの素材の一般的なものは綿、麻、ポリエステルがありますが、織り方にはたくさんの種類があります。
まずはスタンダードなブロード織りです。縦糸、横糸が同じ太さですが、縦糸を横糸の倍の密度に折った平織りと呼ばれる生地です。普通の番手のものでも光沢がありますが、高い番手になるほど上質な光沢が出てきます。また、ブロード織りは「ポプリン」とも呼ばれています。
次にスタンダードなのがオックスフォードです。これは縦糸と横糸を2本ずつ使い平織りにしたもので、厚地で光沢がある上、折り目がはっきり出ているのが特徴で、ボタンダウンシャツなどによく使われます。高い番手を使ったロイヤルオックスフォード、ピンポイントオックスフォードなどはさらに光沢があり、上品でワンランク上の着こなしにおすすめです。さらに縦糸に色糸、横糸に白糸を使用したオックスフォードシャンブレーも、しゃれた着こなしができそうな生地です。
そしてサテンですが、縦糸、横糸のどちらかを緻密に浮かせ、並ばせて織った「繻子(しゅす)織り」の生地です。独特の光沢があって滑らかで、肉厚です。ダンス用やパーティー用の生地、カマーベルトの生地など、フォーマルウエアなどの生地に使われていることが多いです。サテンの仲間には、絹を使用した本繻子(シルクサテン)、綿を使用した綿繻子(綿サテン)、毛繻子などがあります。
また、夏用素材に向いているのは「ボイル」です。聞きなれない名前かもしれませんが、夏には必ず見る素材です。細手の強撚糸を使っており、シャリ感があります。
・シャツの柄
ビジネスシーンで着るシャツは、無地を基本に、ストライプなどの柄が圧倒的に多いです。ただ、カジュアルシーンで着るシャツは、いろいろなチェックなどの柄を遊びたいところです。
ビジネスシーンで着るストライプには以下のものがあります。
まず、ロンドン・ストライプで、英語圏ではブロックス・ストライプと言います。同じ太さのストライプが等間隔に並んでいます。インパクトのあるストライプで、出来るビジネスマンという印象を与えます。ペンシル・ストライプはロンドン・ストライプよりインパクトは薄れますが、鉛筆の線のような細いストライプで、無難かつおしゃれな印象を与えます。チョーク・ストライプは紺、黒、グレーなどの濃い色の生地に、白いチョークで線を引いたような模様です。ペンシル・ストライプよりは線が太く、インパクトも強いです。さらに髪の毛のように細いヘアライン・ストライプもあります。一見、無地に見えますがよく見るとストライプで、おしゃれな印象を与えます。
2本の線が一組になっているダブル・ストライプ、さらに3本1組のトリプル・ストライプもあります。また、セルフ・ストライプは1種類の糸を使い、織り方だけで作られたストライプです。
・シャツの形状
シャツの形状もオシャレのポイントです。今日では、形状記憶とか形状安定シャツというものがあり、どちらもあまりアイロンをかけなくてもいいように作られています。ノンアイロンと呼ばれるシャツもその一種です。
これらのシャツは生地を特殊な薬品に浸したり、スチームを当てたり、主にポリエステルと綿の混紡の生地を使ったりすることで、洗濯後もしわにならないように加工されています。
その歴史は意外に古く、ブルックスブラザーズでは1953年からノーアイロンタイプのシャツを作り続けています。
日本では「はるやま」や「洋服の青山」をはじめとする紳士服メーカーだけでなく、カジュアルブランドのユニクロなどもこのタイプのシャツを作っています。
このようなノーアイロンタイプのシャツは日本製であれば「W&W(ウオッシュ&ウエア)性」という、耐洗濯性実験における形状安定性能表示を目安に購入するとよいでしょう。
また、海外製にはこのような表示をしているメーカーは少ないので、気になるシャツがあればブランドのHPなどをチェックしてみることをおすすめします。
自分に合ったシャツを選ぶポイント
自分にあったシャツを選ぶポイントは、どんなところでしょうか。
まず、自分にジャストサイズのシャツを選ぶことが基本です。特に首回りは指2本分のゆとりをもたせたサイズ、裄丈は洗濯で若干の縮むことを考慮して2~3センチ長めのものを選びましょう。スーツの袖から1センチくらい出るくらいが丁度いいサイズです。
また、自分に合ったシャツを選ぶことは、自分の好きなシャツを選ぶのとはちょっとニュアンスが違います。例えば、首が長いとレギュラーカラーからスナップダウン、ボタンダウン、トレボットーニ、ワイドカラーなど襟の形も選び放題ですが、首の短い方にはトレボットーニやワイドカラーは合わないように、首と襟の形の相性があります。また、ネクタイをするときにはトレボットーニやドゥエボットーニは合わないなど、組み合わせによって生じる相性もあります。
スーツに合わせるシャツの着こなし
・色別の着こなし
シャツの色別の着こなしでは、まず基本の白には単色の無地ネクタイや、ドットや小紋といった柄ネクタイで個性を出しましょう。また、スーツも黒っぽい色のものを着用してメリハリをつけるのがおすすめです。
また、青シャツはビジネス向けスーツに合わせると、清潔感や好印象を与えます。ネイビー色のスーツには同系色の青色のシャツがよく合います。白シャツだと少々幼い印象で学生のようなイメージになってしまいますが、青シャツの中でも個性のあるロンドン・ストライプやチョーク・ストライプなどと合わせると、精悍な感じも出せます。
また、グレーのスーツにもブルーシャツがおすすめです。ネイビーのスーツ同様に、白のシャツだと時として浮いてしまうことがありますが、青シャツにすることでこなれた感じも演出できます。グレーのチェックのスーツに無地の青シャツ、そしてレジメンタルのタイなどで個性を出してみましょう。
・シーン別の着こなし
TPOに合わせてスーツやシャツを変えるのも、出来るビジネスマンの実力のうちです。
新社会人の場合、初年度は白シャツで通し、次年度から青シャツを着たり、スーツもちょっと遊びのあるチェックなどを選んだりすることで、スーツを着慣れてきた印象を与えます。
無地のシャツの場合は同系色で濃い色のネクタイでまとめ、チェックのシャツの場合はネクタイに同系色ではなく違う色を持ってくるなど、メリハリをつけるのがおすすめです。
また、カジュアルが推奨されているオフィスではさらにセンスの見せ所です。なかなか着る機会がない、クレリックやピンホール、ボタンダウンのシャツはどうでしょうか。また、素材もコットンだけではなく、オックスフォードやポプリンなど、高級な生地も試してみましょう。
シャツの手入れのポイント
せっかく手に入れたお気に入りのシャツも、ちゃんと手入れがされていないと台無しになってしまいます。シャツの手入れの仕方のポイントを紹介します。
まず、自宅で洗濯する場合は、いくつかボタンを留めて裏返しておきます。そして必ず洗濯ネットに入れましょう。こうすることでボタンが取れるのを防ぎ、洗いジワも防止します。襟を立てて、カフスボタンを外し、ポケットの中身の点検も忘れないようにしましょう。また、色物と一緒に洗う時には、色が移らないよう注意が必要です。
そして、折りたたんだ状態でネットに入れますが、汚れやすい襟と袖口は外側に出すようにしましょう。入れるネットは、折りたたんだワイシャツと同じくらいの大きさが良いでしょう。ネットの目が荒すぎても細かすぎても、生地を傷めたり、洗剤が行き渡らなかったりするためNGです。
袖口や襟がひどく汚れている場合は、あらかじめ部分用洗剤か普通の洗剤を歯ブラシにつけて汚れ部分をこすり、それからネットに入れて洗濯します。ただ、あまりに汚れが落ちない時は、クリーニングをおすすめします。
クリーニングから帰ってきたらすぐにビニールをはずし、ワイヤーでなく、スーツと同じような木製ハンガーにかけておきましょう。
干す時は直射日光を避けて陰干しで、まだ濡れている状態うちにシワを伸ばしながら干すと、乾いてからアイロンがいらない状態になります。
スーツとシャツの組み合わせは着る人の数だけある
ビジネスシーンを中心に、スーツに合わせるシャツの基礎知識を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
日本よりもスーツやシャツの歴史が長い欧米などは、もっと細かい暗黙のルールがあるといいますが、日本においても知らないと恥ずかしいスーツとシャツの着こなし方がたくさんあります。
最低限のルールをふまえつつ、自分の個性も出せればベストドレッサーと言えるのではないでしょうか。ぜひ、参考にしてみて下さい。(ZUU online編集部)
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