昨日の海外時間は、米国がレーバーデーで祝日ということで非常にボラティリティの低い動きとなりました。ただ、週末に北朝鮮発で注目されている地政学的リスクについては、韓国・聯合ニュースが15時過ぎに、新たな弾道ミサイル発射の準備を確認したと報じました。こうなってくると、9日の北朝鮮の建国記念日の前後に、大陸間弾道ミサイルが発射される可能性があるため、リスク回避の動きが加速するかもしれません。

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

日米韓英仏の要請で、国連安保理の緊急会合が開かれましたが、結論としては先行き不透明な展開になりました。米国が最強の制裁措置を求めましたが、中国は朝鮮半島の戦争・混乱を容認しないとのスタンスを変えず、ロシアも外交的手段を訴えるなど、足並みが揃っていません。新たな追加制裁決議案は11日に採決される見通しですが、注目の石油禁輸を巡る動きが不確かな状態であれば、更にリスク回避の動きが強まるかもしれません。 即ち、1トロイオンス1,300ドルがサポートラインになっているNY金先物相場が更に上値を拡大し、現在1341.0ドル付近での推移ではあるものの2016年7月-9月に何度もチャレンジした1,400ドルを試す動きになるのではないでしょうか。

経済指標としては、英・8月建設業PMIが発表され、前月比から更に0.8ポイント悪化の56.1と、2016年8月以来の低水準を2ヶ月連続で更新したものの、特段材料視されず反応は限定的となりました。

ユーロについては、「ECBのテーパリング開始が遅れる可能性」が一部で報じられたことを受けて前週末に一時ユーロ売りが強まったものの、7日の欧州中央銀行(ECB)会合後のドラギ総裁会見で、ユーロ高に対する牽制は行われないとの見方が一部で浮上しており、1.1920ドル台に買い戻される場面がありました。地政学的リスクが意識されている最中ですが、やはり注目通貨はユーロだと考えられます。

注目のユーロドルですが、1.20ドル台で上値が一旦抑えられたかっこうになりましたが、このレジスタンスラインは2014年年末から2015年年始にかけて割り込んで水準であり、非常に意識されているポイントです。逆に考えれば、このラインを上抜ければ長期的には1.25ドルを目指すかもしれません。短期的には、1.20ドル手前での売り戦略を中心に、1.20ドルを上抜ければ追随買いなどの戦略に妙味がありそうです。

本日の東京時間では、米10年債利回りが前営業日比0.0244%低い2.1412%前後に低下、更には前日比25.13円高の19,533.38円で寄り付いた日経平均株価がマイナス圏へ下落するなどが要因となり、円買いが主導しています。

本日の海外時間には、英・8月サービス業PMI、米・7月耐久財受注(確報値)などが予定されています。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ確率は約42%に若干低下、一回目の利上げの確率が50%を超えるのは2018年6月に再度変更になっています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)