中国の基金公司(投資信託運用会社)では今年8月末までに65社で、会長、社長など最高幹部74人離職していた。経済ニュースサイト「界面」が伝えた。中国の投資信託業界はどのようなところなのだろうか。

安価で低リスクイメージの投資信託

中国経済,投資信託,界面,流動性
(写真=PIXTA)

某主婦に銀行口座、証券口座について聞いてみた。銀行口座は、工商銀行、中国農業銀行、中信銀行の3つ持っているという。工商と農業は国有四大銀行で、中信はそれに次ぐ規模の全国区の銀行である。これまで農業と中信を主力として使用し、工商は新たに口座を作った。モバイル決済“微信支付”用である。友人たちと商品の売買をする言わば個人事業用だ。証券口座は中信証券のものが1つ。ときどきスマホで株や投資信託を売買している。

投資信託のイメージは?と聞いてみると、安く買える、株よりリスクが小さい、という答えだった。安く買えるという意味をさらに尋ねると、株式は価格が、5元または10元以上するものがたくさんある。対して投資信託はほとんど1元~2元の間である。そのため購入最低単位に関わりなく、安いというイメージを持っているという。中信証券サイトの投資信託の画面を操作すると、運用会社と扱い投信が出てくる。15社400本ほどあったが、なぜか取引停止となっているものが多かった。

とにかく一般人の間でも投資信託は、値動きの小さい、低リスクというイメージは定着しているようだ。

働くには高いリスクの投資信託会社

ところが運用する側のリスクは、思いほか大きいらしい。今年1月から8月の間、65社の投資信託会社から122回の人事公告が公布され、74人の最高幹部が離職していたのだ。

方正富邦、華潤元大など5社は、5回も人事公告を出している。嘉合など3社は4回である。

74人の職位の内訳は、副総経理(副社長)25人、総経理(社長)17人、董事長(会長)16人、督察長(基金公司に置く法定管理職ポスト)12人、首席風険官(リスク管理官)2名、財務部長1人、総経理助理(社長秘書)1人。

離職の理由は、一身上の都合50%、ポスト調整37.8%、任期満了5.4%、定年退職5.4%、罷免1.4%だった。

頻繁な離職のワケ

「嘉合基金」という会社の場合、3年間で延べ11人の最高幹部が交代している。総経理3人、副総経理3人、督察長5人である。この間、同ファンドの資産管理規模は、2015年末、121億2300万元、2016年末、30億8700万元、2017年6月末、104億6900万元と、まるでジェットコースターののように上下している。「華潤元大」も2015年末の39億7600万元から、2017年6月末には19億9600億元に半減した。ここも今年、董事長、総経理、督察長の3名が交代した。わかりやすい業績連動である。

その他には、当局の管理強化も挙げられる。方正証券グループの「方正富邦」では、今年4月、多項目の法令違反により、12カ月にわたり投資信託の申請不可という処分を受けた。これにより5月~7月にかけて、董事長、総経理、督察長が交代している。

また買収されたケースもある。「国聯安基金」は保険会社、中国太保の資産管理子会社に51%の株式を譲渡した。そして新しい総経理が送り込まれている。

どうも大衆の持つ安全イメージとは違い、中国の投資信託とは、相当にリスクが高いようである。取引停止ファンドの多さもここらに原因があるのかも知れない。こんなありさまで業界の健全な発展は達成できるのだろうか。少なくとも就職するのはやめておきたい業界である。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)