不動産投資を成功させるために、まず行うべきステップがあります。「知っていれば防げた」というリスクが何なのかをしっかりと認識し、時間をかけてでも事前に処理することで、投資成功率を高めましょう。

(本記事は、加藤隆氏の著書『 不動産投資家なら必ず体験する!本当にあった怖い話 』ぱる出版(2017年1月10日)の中から一部を抜粋・編集しています)

目標の家賃収入から逆算して「やらないこと」を決める

不動産投資,大家
(画像=Webサイトより)

不動産投資を始める際に一番大切なのは、目的を明確にし、それにあわせて投資手法を選ぶことです。ただ単に、「老後が不安だから副収入を増やしたい」というような考えだと、選択肢が広すぎて、前に進めません。もしくは、うまい話に目がくらみ、必要以上にリスクをとってしまうことになります。ですから、最初にまずは、「月に○万円」という目標を設けることをおすすめします。

また、スムーズに進むには、最初に「やらないこと」を決める事も大切です。たとえば、「週末がつぶれるようなやり方はしない(そのために、修理・リフォーム、入居付け・家賃回収、建物・賃貸管理は管理会社に任せる)」「妻に心配をかけるようなことはやらない(そのために、返済比率は半分以下にする)」など、やらないことを決めると、やることが決まってくるのです。

また、やることが決まると、余分な動きが減り、時間の余裕ができます。通常、不動産経営には、時間がかかります。お金を稼ぐことはできても、失った時間は取り返すことはできません。言うまでもなく、時間というものは、非常に大切なものです。
不動産経営も経済的自由を確立し、引いては、時間的自由、そして、精神的自由へつなげていこうというのが、究極の目的だと思います。

つまり、不動産経営は、ひとつの手段・目標であって、目的そのものではありません。それなのに、不動産経営にあまりに時間を取られ過ぎては、本末転倒となってしまいます。よく、家賃回収・滞納督促、清掃、修繕修理、リフォーム、入居者確保、契約まで、何から何まで自分で行っている人がいますが、こういった業務が好きで、他に仕事もなく、時間がふんだんにある人以外は、おすすめしません。もちろん、不動産経営そのものが好きであれば、別ですが…(私もそうです。)最初の頃、勉強に時間をかけたり、物件を多く見たりすることは大事です。しかし、ある程度、軌道に乗った後は、他の人でもできることは、他の人に任せ、自分は自分しかできないことに専念する方が、有限である「時間」を効率よく使えると思います。何のために不動産投資をやるのか?そのことを突き詰めておくと、迷った時、問題にぶつかった時に、進むべき方向が見えやすくなるでしょう。

配偶者の説得は骨が折れても必ず行う

不動産経営は、その目的を明確にし、家族、特に配偶者の理解を得ておくことが重要です。夫婦間でもめる人の争点になるのが、時間とお金です。不動産経営では(特に最初の頃は)物件を見に行ったり、不動産会社に営業に行ったりして、休日の時間をとられるので、その分、家族との時間が少なくなります。お子さんが小さくて手がかかったりすると、奥さんから不満が出ることがあります。

それだけではなく、当然、お金もかかります。貯金も使いますし、大きな借金までします。
それらの事情を配偶者や自分の両親などに理解してもらうことができず、欲しい物件が見つかっても、購入の段階で、断念する場合も多いようです。「家族サービスはするし、お金も独身時代に貯めたへそくりを利用するから大丈夫」という人でも、それだけでは十分ではありません。金融機関によっては、借入時に、配偶者の確認書、連帯保証を要求することがあるからです。ここが、不動産投資における一つのハードルになります。

私の知り合いでも、配偶者を説得するのに、一番骨が折れたという人が多くいます。配偶者に理解をしてもらうためには、家族にも不動産投資関連の本や雑誌、DVDを見せたり、セミナーや不動産の勉強会に一緒に行ったりして、徐々に慣れてもらうのが効果的です。不動産投資業界の人たちが決して怪しい人ではなく、自分たちと同じようなサラリーマンで成功している人も多いということがわかれば、安心してくれるようです。

また、不動産経営の目的を明確に伝えることはとても大切です。不動産経営のメリット・リターンには色々なものがありますが、安定的な毎月の家賃収入、万一の際の生命保険代わり、老後の年金代わり等といったことが強力な説得材料となります。一般的に、女性と言うのは心配性で、安定的な生活を望みます。「それでなくても、住宅ローンを抱えて苦しいのに、不動産投資用物件のローンまで抱えて、あなたが死んだらどうやって払うのよ」となってしまうのです。しかしながら、不動産には、通常、団体信用生命保険(団信)が付いており、借主に万一の事態(死亡、重度障害)が発生した場合には、生命保険会社が残債を支払ってくれます。つまり、持ち主に万一のことがあっても、遺族には、残債のない不動産が残されるのです。ローン返済がない分、受取家賃はほとんど丸々、残ります。資産は食い潰さず、受取家賃で生活できれば、将来への不安は小さくなるはずです。お金を残したとしても、そのお金は使った分、どんどん減っていきます。資産運用ノウハウの少ない人なら、なおさらです。

不動産投資なら、「鶏は残して、卵を食べて生きていく」という生き方ができます。鶏は食べてしまえばそれっきりですが、卵を食べていく分には、ずっと困ることはありません。まずは、この仕組みを理解してもらうことです。そして可能ならは、徐々に、不動産経営のノウハウを伝授していくといいでしょう。「魚を残すのではなく、魚の釣り方を伝授する」です。魚を残しても、食べてしまえばそれっきりですし、食べなくても、腐ってしまいます。一方、魚の釣り方を知っていれば、ずっと困ることはありません。それが、「家族のため」であると伝われば、伴侶も応援してくれるでしょう。

知識も経験もなしに大きな勝負に出てはいけない

不動産投資は、低資金から始められる他の資産運用・投資(預貯金、貴金属、株式等)と比べ、最初から投資金額が大きくなる傾向があります。借入を活用して始める場合は、本業の年収の何倍もの物件をいきなり購入することも珍しくありません。これは、不動産投資の最大の魅力であり、怖さです。なぜ怖さなのかというと、借入が大きいほど、失敗した場合のダメージが大きくなるからです。

空室が埋まらないことが困るのも、滞納が発生して困るのも、つきつめればそれが、「借金を返せなくなる」というリスクにつながるからです。ボロ物件投資などで、安い戸建てを現金で購入して、貸家にしている人たちは、資産が増えるスピードは遅いものの、「借金を返せなくなる」という心配からは開放されています。現金で不動産投資をする人に対して、「現金で不動産投資をするくらいなら、株の方がいい」などという人もいますが、株では毎月のキャッシュフローは得られません。ですから、現金での不動産投資というのは、私は「アリ」だと思っています。

話を戻しますが、不動産投資で作った借金を返せなければ、貯金や毎月の給料から持ち出すことになります。それで間に合わなければ、自己破産コースです。借金のレバレッジは確かに魅力的であり、不動産投資をする以上、活用すべきです。しかし、そこには大きなリスクがあることを忘れないようにしましょう。最近は、知識も経験もないまま、数億円を借り入れる初心者も増えているようです。ところが、厳しい話ですが、今のような売り手市場で、初心者にはほとんどの場合、優良物件はまわってきません。そのため、思ったような利益が出ずに、苦労している人も多いとききます。

急がば回れ。欲をかき過ぎると、不動産業者に足元を見られます。最初は小さく始めて、ノウハウを積んでから大きな借金をするという方が、リスクは抑えられるように思います。

加藤隆
バブル崩壊を生き抜いた現役最古参のサラリーマン大家さん。所有物件50を誇る、実践的・総合コンサルティング系マルチタイプ投資家。行政書士、宅地建物取引主任者、甲種防火管理者、管理業務主任者、マンション管理士、AFP、2級FP技能士、システム監査技術者等保有

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