前週(9/11〜9/15)の日本株は大きく反発、日経平均株価の週間引け値は前週末比634円68銭(3.3%)高の1万9909円50銭だった。引け値で1万9900円を超えたのは8月1週以来1ヶ月半ぶり。週間の上げ幅としては今年最大だった。週間高値は15日の1万9933円40銭。

9月9日の北朝鮮独立記念日を前に北朝鮮がミサイル発射の準備をしているとの報道があり、米国には8月下旬の「ハービー」に続く大型ハリケーン「イルマ」が直撃する懸念があった。2つの大きな懸念で世界金融市場ではリスクオフが進行、ピークとなった9月8日には、NYダウは1万9700ドルまで、日経平均は1万9200円まで売られ、米長期債利回りはトランプラリー以降最低となる2.01%まで下げ、ドルは対ユーロで1.2092ドルと2年8カ月ぶり、対円では107円32銭と10ヶ月ぶりの安値をつけた。

ただ、北朝鮮の独立記念日を無事に通過、イルマの威力は衰退したことで、週明けから一気にリスクオフの巻き戻しとなり、株、債券、ドルの買い戻し入った。12日の国連安保理での北朝鮮の追加制裁も市場のセンチメント改善をサポートした。原案では北朝鮮への原油の供給停止など厳しい制裁が含まれていたが、米国が妥協したことで中国、ロシアも含む全会一致で採決された。中国、ロシアも賛成したことで米朝が軍事行動に移るという見方は後退したようだ。

15日早朝には北朝鮮が日本領空を通過する弾道ミサイルを再発射したが材料視されなかった。多くの金融商品が9月8日に大きく反転しており、典型的なターンラウンド(トレンド変換)と考えられるだけに流れは止まらなかった。

15日の米国では株高、ドル高が継続、日経平均は現物換算では1万9980円どころに上げている。今週は19〜20日の米FOMCが最大のイベント。12月利上げに対してタカ派的な発言が出た場合は、日米金利差拡大への期待から、もう1段のドル高・円安が進行する可能性がある。円安が進むなら外国人の日本株売りがストップし、好調なファンダメンタルズを支えに日経平均は2万円からさらに上を目指すきっかけになる可能性が高いだろう。

前週(9/11〜9/15)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

11日の日経平均株価は大幅反発、前週末に比べ270円95銭(1.4%)高の1万9545円77銭で終えた。1万9500円を上回って引けたのは9月4日以来5営業日ぶり。

北朝鮮が9日の建国記念日に挑発行為にでなかったこと、米国のハリケーン「イルマ」の勢力が弱まったことから、リスクオフで売られた株やドルにショートカバーが入った。8日に107円31銭までつけたドル円は108円50銭前後まで大きく戻し、日本株にも買い戻しが先行した。

12日の日経平均は続伸、前日比230円85銭高の1万9776円62銭(1.4%)高の1万9776円62銭で引けた。

NYダウが259ドル高と急騰、109円半ばまで円安が進行したため、リスクオフの買い戻しが継続した。国連安全保障理事会が北朝鮮への追加制裁を決議したことも市場のセンチメントを改善させた。追加制裁に中国とロシアも賛成したことで地政学リスクは一旦落ち着くとの見方が強くなった。

13日の日経平均は3日続伸、引け値は前日比89円20銭(0.5%)高の1万9865円82銭と8月8日以来の1万9800円回復。

米国主要3指数は全て過去最高値を更新し、日本株も連日のギャップアップで始まった。米長期金利が上昇しており金融株が買われたことが買い安心感につながった。

14日の日経平均は4日ぶりに反落、引け値は前日比58円38銭(0.3%)安の1万9807円44銭だった。

朝方は円安が110円台後半まで進行し日経平均も50円を超えて続伸していたが、午後に北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁に反発する声明を発表すると下げに転じた。

15日の日経平均は反発、前日比102円06銭(0.5%)高の1万9909円50銭で引け、8月8日以来の高値となった。

朝7時頃に北朝鮮が日本領空を横切る弾道ミサイルを発射した。110円台前半だったドル円は有事の円高で一瞬109円後半まで売られたが、すぐに戻し反応は限定的だった。日本市場は連休を控えた金曜日にもかかわらず後場も一段高となり1万9900円台で引けた。

先週の海外動向を振り返る

15日のNYダウは6日続伸、64ドル高の2万2268ドルと過去最高値を更新した。トランプ大統領が移民問題や国境税問題で野党の民主党に歩み寄り、合意が近づいているとの報道があった。見返りに税制改革の協議が進展し、法人減税への期待が高まっている。

NYダウは週間では470ドル高と大幅反騰。日本株と同じく週間上げ幅では今年最大となった。

円は欧州時間で一時111円33銭まで売られ、7月28日以来の安値をつけた。英中銀やECBの高官から利上げに前向きな発言が相次ぎ、英ポンドとユーロが急騰しクロスレートで円が売られた。NY時間でも流れは止まらず、110円90銭と週末の東京市場の安値110円77銭を超えて円安が進んだ。

米株高、円安を好感して、日経平均先物の夜間取引は1万9850円と先週末に大阪の引け値比60円高で終えた。先物の12月限は9月末に配当を落とすため現在130円ほど現物に対してディスカウントになっている。12月限の1万9850円は、日経平均株価指数でいうと1万9980円程度のレベルとなる。

「9/19〜9/22」の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、1万9550円から2万200円のレンジを想定している。

米FRBが19〜20日にFOMCを開催する。今後の金融市場の方向性を決めるかもしれない重要なイベントだ。政策は据置がコンセンサス。10月から始めるとされる保有資産の圧縮や12月の追加利上げについてのコメントがポイントになる。資産圧縮、利上げに対するタカ派的な発言がでるなら、円安が進み、日本株が一段高となる可能性が高い。利上げに対してハト派的だった場合は、円高となり日本株安が再燃することもあり得る。ただ、今の市場はいいとこ取りの傾向があり、低金利継続をはやして米国株は上げる可能性もあるだろう。

テクニカルでは、9月8日をボトムに日経平均が切り返しチャートでは窓が3日連続で開く三空が出現した。三空は過去のパターンでは相場が強いときに現れている。9月14日には日経平均の5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスし、15日には75日移動平均を上回って引けた。いずれも当面は堅調な展開が予想されるサインだ。サポートは、25日移動平均線である1万9547円。レジスタンスは3〜8月までのボックス圏の動きで上限として意識された2万0200円だろう。

今週の主なイベントは、日本では19日は敬老の日で休日。20〜21日が日銀決定会合。コンセンサスは現状維持。21日には黒田総裁の記者会見。21〜24日は東京ゲームショウ2017。22日iPhone8発売開始予定となっている。

海外では19〜20日の米FOMC。コンセンサスは現状維持。20日にはイエレン議長が記者会見。19〜25日まで国連総会。19日にトランプ大統領、20日に安倍首相、21日に韓国の文大統領、22日に北朝鮮のリ・ヨンホ外相が演説予定。21日には米日韓首脳会談を予定している。22日には英メイ首相のEU離脱方針に関する演説、24日にはドイツ総選挙がある。

経済指標は、日本では20日に8月コンビニ売り上げ、8月貿易収支、8月訪日外客数、21日に8月百貨店売上、スーパー売上がある。海外では19日に米8月住宅着工、21日に米フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、8月CB景気先行総合指数、22日にユーロ圏9月製造業PMIがある。FOMC直後の米景況感を示す指標にも注目が集まりそうだ。(ZUU online編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)