総合指標の点検

◆「景気評価点」は景気の減速を示唆

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まず、景気が上向きか下向きかを見極める上で有効な「景気評価点(2)」を確認する。これは第2章で概観した景気10指標を、それぞれ3ヵ月前と比べて上向きであれば“○=1点”、下向きであれば“×=0点”として集計した指標である(分岐点は○×同数の5点)。8月の景気評価点は4点となった。図表-15に示した景気評価点-5点の推移を見ると、17年3月以降はマイナスになることが多くなってきており、景気が減速し始めたことを示唆している(図表-15)。

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2)景気評価点に関しては「 景気の動向を簡単に把握できないか? 」年金ストラテジー (Vol.219) September 2014を参照。
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◆「李克強指数」は高水準で横ばい

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次に、15年夏の株価急落時に注目を集めた「李克強指数(修正後)(3)」を確認する。これは電力消費量(工業)、道路貨物輸送量、銀行貸出残高(中長期)の3つを用いた簡単な推計値だ。前述のとおり電力消費量(工業)の伸びは鈍化したものの、道路貨物輸送量と銀行貸出残高(中長期)は高水準の伸びを維持しており、李克強指数(道路輸送への修正後)は高水準で横ばい圏内の推移となっている(図表-16)。

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3)李克強指数は、李克強首相が遼寧省党委員会書記だった2007年、景気実態を表す統計として、電力消費量(工業)、鉄道貨物輸送量、銀行貸出残高(中長期)の3つを重視したことに由来する。しかし、中国経済の構造的変化を勘案して、ここでは鉄道貨物を道路貨物に入れ替えた李克強指数(修正後)を掲載している。なお、3指標の加重割合は均等として計算した。
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◆実質成長率に換算すれば6.7%へ減速!

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最後に、GDPに与える影響の大きい景気指標を用いて成長率を推計して見る。ここでは工業生産、製造業PMI、非製造業PMIの3つを説明変数としたニッセイ基礎研究所で開発した回帰モデルを用いた。その推計結果を見ると、10月19日に公表される7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比6.7%増と、4-6月期の同6.9%増を0.2ポイント下回る推計結果となった(図表-17)。

なお、中国共産党は8月31日に中央政治局会議を開催、10月11日に7中全会を開催するとともに、10月18日から第19回全国代表大会(十九大)を開催する方針であることを示した。そこで、十九大に向けて政治的緊張が高まるプロセスを山に例えた上で、財政金融面で景気支援策が打たれたタイミングや引き締めに転じたタイミング、そして中共十九大の注目点を整理したイメージ図を作成いたしましたので御参考として添付いたします。

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三尾幸吉郎(みお こうきちろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 上席研究員

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