「一流店と一般店の違いとは何か」このように問われてその答えを持っているだろうか。筆者はビジネス上でお付き合いがある経営者から一流店について教わることも多く、実際に店舗へ足を運ぶ機会がある。その時に感じるのは、「一流店とその他の二流店、三流店と明らかに異なる違いがある」ということだ。一流店の経営者は、一流店という意味合いを心底理解しており、「一流店であり続ける」という確固たる意思を持っているのを感じる。

一流店の条件とは?

そもそも一流店とはどういった定義のお店なのだろうか。飲食店の売上高は「客数×客単価」で求めることができ、「売上高(知名度)」でいえばファーストフードこそが頂点だろう。しかし、「ファーストフード=一流店」と考える人がいないことから一流店は売上高・知名度という側面で語れるものでないことが納得頂けるだろう。

一流店は一流のサービスを提供している店舗のことで、素晴らしいサービスでお客の心を掴んで離さない。

一流店のサービスは何がすごいのか?

お付き合いをしているある経営者は一流店の条件として「安定的なサービス提供」を掲げている。料理だけでなく、カスタマーサービスやお店の雰囲気なども高いレベルで維持し続けているという。

ありきたりな内容だと思われた方もいるかもしれないが、スタッフやシェフ、経営者が変わることで従来の品質を保てなくなることは二流店、三流店ではよくあること。気持ちよく接客をしてくれるベテランのスタッフが辞めてしまうと、それまでカスタマーサービスが受けられなくなり客足が遠のいてしまうことは良くある話だ。客足が遠のくと、店舗の売上が低迷し、今度は料理の質が低下する悪循環にハマってしまう。どこのお店でもありえることだ。

そこへいくと、一流店はとにかく安定している。料理の質やカスタマーサービス、雰囲気は長い年月を経ても変わらない。前述した経営者の行きつけのお店では、長い期間接客してくれていたスタッフが退職をしてしまっても、顧客の料理の好みや来店時間などの情報を後任者へ引き継ぎをしていた。これにより「担当者が変更になっても、それまで対応してくれていたスタッフの生まれ変わりのように、後任者のスタッフが引き続ききめ細かいサービスを提供してくれた」と驚いていた。一流店のサービスはここまで徹底している。

だが、一流店の条件は安定的な質の高いサービス提供に留まらない。私が考える一流店のもう一つの条件とは「顧客に負担を掛けさせないさり気ないサービス」 である。筆者が実際に一流店で体験した話をしたい。