10月4日、アサヒグループホールディングス <2502> 傘下のアサヒビールは業務用を中心にビール系飲料を値上げすると発表した。値上げ幅は10%前後になる見通しで、対象は2018年3月1日出荷分からとなる。2008年以来10年ぶりの値上げとなり、採算改善を図る。他メーカーの動きも気になるところだ。

安売り規制が値上げに影響 物流コストの上昇も重荷に

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(写真=PIXTA)

アサヒビールが値上げを行うのは、瓶詰めや樽詰めのビール系飲料等、主に業務用の商品だ。缶ビールについては、値上げの対象となっていない。値上げ幅は10%前後となる見通しだ。

10年ぶりとなる値上げに踏み切るのは、6月に強化された酒類の安売り規制が主な要因であると同社は説明する。安売り規制では、正当な理由無しに原価を下回る価格で販売を続けた場合、社名の公表から酒類免許の取り消しまで厳しい処分が待ち受ける。同社では一部商品は既に原価割れをしており、法令順守の観点からも値上げに踏み切らざるを得なくなったようだ。

ビール系飲料が原価割れに追い込まれる背景には、酒離れによる消費量の減少に加え、物流等のコスト負担の増加もあるようだ。車両やドライバー不足による物流費の上昇は物価に影響を与えている。業務用の商品は缶ビールと異なり、瓶や樽の空容器の回収が必要となる。多くの物流コストに洗浄や保管の費用等も加わり、採算が悪化しているという。

アサヒビールが値上げを行うのは、同社の卸価格であり、最終的な販売価格は各店舗が決めている。ただ、卸価格の上昇は販売価格の上昇につながる可能性も高い。6月に強化された安売り規制の影響で、消費者はスーパー等の小売店での値上げに直面しており、居酒屋等の飲食店での値上げも加われば、家計への影響が大きくなる。