地銀から海運業、繊維 幅広い顔触れの明治創業の企業
東京商工リサーチのまとめでは、創業100年以上の歴史を持つ上場企業は564社という。この中には、松井建設 <1810> のように400年以上の歴史を誇り、明治以前に創業した会社や大正時代にビジネスを開始した会社も含まれるが、明治時代だけに区切っても数百社に上るとみられる。明治創業の企業の一部を紹介しよう。
(1)第四銀行 <8324> 1873年(明治6年)創業
新潟市が拠点の地銀。政府の国立銀行条例に基づき設立され、当時は番号が各銀行の名前割り当てられ、第一銀行は現在のみずほ銀行。第四銀行は、創立時の商号のまま営業を続ける最古の銀行だ。
(2)商船三井 <9104> 1884年(明治17年)創業
1942年創業の三井船舶と合併した大阪商船が1884年に創業を開始。航空機が登場する前の時代だった明治では、海運による物流で近代化への足固めに貢献した。
(3)東京ガス <9531> 1885年(明治18年)創業
明治時代はインフラにも大変革をもたらした。西洋式のガス灯が造幣局(大阪市)で導入されたのを皮切りに、横浜市でもガス灯の利用が進む時代において、東京ガスは創業を開始した。
(4)帝国ホテル <9708> 1887年(明治20年)創業
鹿鳴館など西洋建築が取り入れられ始めた明治時代に、外務大臣を務めた井上馨は、渋沢栄一らにホテルの建設を依頼し、1887年に有限責任東京ホテルを設立。3年後に、ドイツ・ネオ・ルネッサンス式木骨煉瓦造りの帝国ホテルが開業した。
(5)神栄 <3004> 1887年(明治20年)創業
姫路第三十八国立銀行の幹部が中心となって有限責任神栄会社を設立。国策に沿って、生糸問屋として神戸を中心とした生糸市場の形成に役割を果たした。
(6)クラボウ <3106> 1888年(明治21年)創業
1888年に有限会社倉敷紡績所を設立し、89年には倉敷本社工場が竣工。工場は、現在倉敷アイビースクエアとしてホテルを含む複合施設として、レトロな雰囲気を残しながら、歴史を伝えている。
(7)IHI <7013> 1889年(明治22年)創業
幕末のペリー来航を受け、江戸幕府が水戸藩に造船所設立を指示し、1853年に石川島造船所が創設され、1889年に有限責任石川島造船所となった。明治以降も、ターボエンジンなど時代をリードする開発を手掛けてきた。
(8)若築建設 <1888> 1890年(明治23年)創業
明治の産業革命を支えた石炭の中心生産地だった九州で、若松港を石炭の積出港として設立する計画に合わせて会社が設立された。
技術革新により、個人でも事業が簡単に立ち上げられるようになり、スタートアップが奨励されるビジネス環境にあるが、国策とともに日本の発展に貢献してきた歴史ある企業の価値は、時代が遷移しても色あせることなく、今なおその存在感を見せつける。明治から150周年を前に、そうした企業の功績から学ぶことも、これからのビジネスで役立つかもしれない。(ZUU online 編集部)