ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体へ行う寄付のこと。多くの自治体では寄付に対する返礼品が用意されており、寄附金控除による節税を図りつつ、各地の名産品をおトクに入手する手段となっている。ここでは、ふるさと納税の概要のほか、節税に役立てたい人が2月16日から3月15日(2018年の場合)の期間行われる所得税の「確定申告」でどのような手続きをとればいいのか。また節税だけでなくグルメや旅行を楽しみたい人がおさえておきたいサービスを紹介する。

ふるさと納税 確定申告 手続き
(写真=Olga Kashubin/Shutterstock.com)

ふるさと納税で「確定申告」するとどうおトクになる?

ふるさと納税の魅力を一言で言うなら、所得税の確定申告時に寄附金控除を受けることで、返礼品となる全国各地の名産品を格安で入手できることにある。

ふるさと納税で寄付した金額のうち2000円を超える分は、一定の限度額まで全額が控除される。つまり、税金が安くなるわけであり、その安くなる分を考えると、結果的に名産品が格安で手に入ったことになるわけだ。

たとえば、山形舟形町へ1万円のふるさと納税を行うと返礼品として「A4ランク以上 山形牛焼肉セット600g」がもらえる。1万円というと高く感じるが、確定申告でこの分の寄附金控除を受けると、約8000円が所得税と住民税から減額されるので、ほぼ2000円の自己負担だけで上質の山形牛が食べられることになる。

しかし逆に言えば、確定申告を行わなかったり、寄附金控除を受けなかったりした場合には、単に1万円でこの同じ山形牛を入手したことになってしまう。ここは重要なポイントなので、よく理解しておきたい。

ふるさと納税では、年間(1月~12月)で行ったすべての寄付の総額のうち、2000円を超える部分が所得税・住民税から減額されるが、その金額には年収や世帯構成に応じて上限がある。

たとえば、独身(または夫婦共働き)で年収400万であれば控除上限額の目安は4万1000円となる。そこで、たとえば4万円くらいまでのふるさと納税額であれば最大で約3万8000円まで税金を安くでき、実質2000円のみの出費で各地の名産品を入手できることになる。

年収や家族構成が違うと控除上限額も変わり、たとえば、夫婦と子ども1人(妻は扶養)の世帯で年収700万なら控除上限額は約6万円となる。上限額についての詳細は総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で確認できる。

会社員なら確定申告ではなく「ワンストップ特例制度」を利用する方法も

ふるさと納税で寄附金控除を受けるには、所得税の確定申告のとき「寄附金控除」の欄に所定の内容を書き込む必要がある。

では、会社員などの給与所得者で確定申告になじみのない人はどうすればいいのか? ふるさと納税のためだけに確定申告を受けるのは面倒だが、そんな人のため、より簡易にふるさと納税の寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が用意されている。

ワンストップ特例制度の適用条件は、確定申告が不要な給与所得者(会社員など)であること、そして、1年間(1月~12月)の、ふるさと納税の寄付先が5自治体以内であること……の2点だ。

確定申告により寄附金控除を受けた場合、税の減額は所得税と住民税から行われるが、ワンストップ特例制度を利用した場合は住民税のみの減額となる。ただし、トータルの控除額は変わらないので、会社員などはワンストップ特例制度を利用したほうが、多くの場合、手間を省けることになる。

ワンストップ特例制度申請の流れを次に紹介しよう。

1 寄付の際に制度利用を申し出る

ふるさと納税を行う自治体にワンストップ特例制度の利用を申し出る。ネットから寄付を行う場合、必要事項の入力フォームで「ワンストップ特例制度を利用する」といった項目にチェックを入れるなどする。これがないとワンストップ特例制度を利用できない。

2 特例申請書などの書類を準備する

寄付を行った自治体から届く特例申請書は大切に保管しておき、また各種の必要書類も準備しておく。特例申請書以外の必要書類は、マイナンバーカードのコピーや運転免許証のコピーなど身元を証明するものとなる。提出書類に不備があると寄附金控除が受けられないので注意したい。

3 そろえた書類などを寄付先の自治体に郵送する

必要事項記入済の特例申請書と各種書類を、寄付をした自治体へ郵送する。締め切りは寄付の翌年1月10日(必着)。

このワンストップ特例制度では、寄付した回数だけ申請が必要となるので、寄付先が複数ある場合、確定申告したほうがかえって手間がかからないということもある。ワンストップ特例制度を使うか確定申告をするかは、ケースバイケースで考えよう。

ふるさと納税の手順

改めてふるさと納税の手順を見ておこう。

1 ふるさと納税を行う自治体と返礼品を決める

まず、ふるさと納税を行う自治体ともらいたい返礼品を決める。最近では、全国各地の自治体の返礼品をまとめて見ることのできる、ふるさと納税ポータルサイトがいくつかあるので、それらを利用すると便利だ。クレジットカード(Yahoo!公金支払い)での寄付金支払いに対応している自治体なら申し込みと寄付を同時に行えるため、さらに、ふるさと納税が簡便となる。

2 自治体への寄付の申し込み

自治体に寄付の申し込みを行う。自治体へ直接連絡する方法もあるが、ふるさと納税ポータルサイトの「寄付申し込みフォーム」などから申し込みができるので、こちらのほうが簡便だろう。ワンストップ特例制度を受けたい人は、申し込み時に「ワンストップ特例制度を利用する」などの項目へチェックを入れ忘れないよう注意。

3 返礼品・寄附金受領証明書が届く

自治体から、ふるさと納税の返礼品が届く。自治体や返礼品によって到着まで時間がかかることもあるので注意したい。このとき、寄付の証明となる「寄附金受領証明書」が同封されてくることがあるので、なくさないよう大切に保管する。自治体によって、この「寄附金受領証明書」が返礼品とは別に送られてくるところもある。

ふるさと納税の「寄附金受領証明書」は大切に保管を

自治体から返礼品に同封されるか、あるいは別送されてくる「寄附金受領証明書」は、確定申告でふるさと納税の寄附金控除を受ける際に必要なので大切に保管する。

万が一、紛失してしまった場合は、ふるさと納税を行った自治体へ電話などで再発行を依頼することになるが、各自治体で対応が違うので確実に再発行してもらえるかどうかは分からない。

再発行されない、あるいは、確定申告の締め切り日までに再発行されなかった場合は、居住地の所轄税務署に相談することになる。しかし、その場合もどういう対応になるか分からないので、「寄附金受領証明書」をなくさないよう大切に保管するのが第一だ。

確定申告を忘れても、ふるさと納税の寄附金控除は受けられる?

ふるさと納税で寄付した金額のうち、2000円を超える分については全額控除となる。つまり、その分だけ税金が安くなるわけだが、確定申告を忘れてしまうとその控除を受けられない。

確定申告の期間は2018年の場合、2月16日から3月15日までとなるが、この期限を過ぎたとしても、5年以内であれば「還付申告書」により寄附金控除を申請できる場合があるので、もし確定申告を忘れたとしても諦めず、まずは居住地の所轄税務署に問い合わせよう。住民税については居住の市町村に問い合わせることになる。

なお、会社員など給与所得者は会社で税の年末調整を受けていると思うが、年末調整を受けていても、それだけで、ふるさと納税の寄附金控除を受けられるわけではないという点には留意したい。

会社員がふるさと納税の寄附金控除を受けるには、前述の通り、ワンストップ特例制度を利用することになる。ただし、年末調整の前に必要書類(保険料の領収書など)を会社へ提出し忘れた人や、住宅ローンでマイホームを購入した人、家族の医療費が1年間で10万円を超えた人などは確定申告により還付金をもらえる可能性があるので、ワンストップ特例制度を利用せず、確定申告をして寄附金控除を受けるといいだろう。

確定申告はそう難しくない

初めて確定申告を行う人のために、確定申告の申告方法について簡単に記しておこう。

申告書は居住地の所轄税務署で直接入手するか、郵送してもらう。また、国税庁の確定申告サイトの「確定申告書等作成コーナー」では、画面上で必要項目を入力することで記入済の確定申告書を作成できる。作成した確定申告書はプリンターで印刷して、そのまま税務署へ提出できるので便利だ。

申告書の書き方は、申告書に付属する説明書を読めば分かるだろう。確定申告期間中に税務署が設置する確定申告会場では書き方の相談などもできるので上手に活用したい。

確定申告にはこの申告書のほか、各種控除の証明書(ふるさと納税の寄付受領証明書や医療費の領収書など)や、会社員の場合、会社からもらえる源泉徴収票などが必要となるので、何が必要か事前に税務署へ確認しておこう。

なお、確定申告でふるさと納税の寄附金控除を受けるには、申告書の「寄附金控除」の欄に寄付金の総額から2,000円を引いた金額を記入し、「寄附金受領証明書」を添付して提出する。例外もあるので、詳しくは確定申告書の記入説明をよく確認してほしい。

e-taxは便利だが事前準備が必要

確定申告書と必要書類は所轄税務署へ持参するか郵送することになるが、e-Taxという仕組みを使うと、国税庁のウェブサイトから直接申告を済ませることもできる。

e-Taxなら必要書類の提出が省略できるほか、ほかの申告方法に先がけて1月から申告でき、申告から還付金が降りるまでの期間もより短くなるというメリットがある。

ただし、e-Taxを利用するには、あらかじめ開始届出書を提出して利用者識別番号などを取得しなければならない。また、電子証明書が組み込まれているマイナンバーカードや、パソコンにつないでマイナンバーカードを読み取るICカードリーダライタも必要となるなど、何かと手間のかかる印象もある。

そこで、e-Taxについては、毎年、確定申告を行う人なら検討してもいい、というくらいに考えておこう。

確定申告後、税金はいつどうなる?

納め過ぎた税金がある場合は、確定申告後1ヵ月ほどで還付金として指定した口座に振り込まれる。e-Taxで申告した場合、2〜3週間後に振り込まれるようだ。

なお、ふるさと納税による住民税の控除は、寄付翌年の6月以降に税の減額という形で控除されることになる。

「ふるなび」でふるさと納税がもっと楽しくなる

最後にふるさと納税に便利なサービス・サイトを紹介しておこう。

ふるさと納税を便利に行えるポータルサイトはいくつかあり、いずれも返礼品のランキングなどで寄付先を選びやすい工夫がされ、サイトから各自治体への寄付を申し込めるようになっている。

それらポータルサイトのなかでも特におすすめなのは、独自のポイント制度が充実している「ふるなび」だ。ふるさと納税専門際とで、この分野では老舗のポータルサイト。

ふるなび」には寄付金の1%分のAmazonギフトコードがプレゼントされる仕組みがあるほか、2万円以上の寄付をすると、寄付先の自治体ゆかりの飲食店で支払いに使える「グルメポイント」をもらえたり、提携自治体の旅行プランの支払いに使える「トラベルポイント」をもらえたりする。この「グルメポイント」と「トラベルポイント」は、ふるさと納税をさらに楽しいものにしてくれるだろう。

この「グルメポイント」は、「グルメポイント提携自治体」へ寄付するともらえるポイントだ。たとえば2万円の納税をすると6000ポイントが付与される。即日発行され有効期限がなく、最短でポイント取得翌日には食事を楽しむことができる。登録自治体には山口県山口市(ふぐ)、三重県明和町(松坂牛)、岐阜県池田町(飛騨牛)、茨城県古河市(常陸牛)などがある。

また「グルメよりも旅行が好き」という人は「ふるなびトラベル」を考えてはどうだろうか。ふるなびと大手旅行会社・日本旅行が提供するサービス。こちらも納税額に応じてトラベルポイントが付与され、旅行に使うことができる。

こうした手続きが面倒だという人には、「ふるなびプレミアム」がピッタリ。年収2000万円以上の高額所得者限定のサービスであるが、手数料無料で専任コンシェルジュがつき、ふるさと納税先の提案から寄付申請まで一括して代行してくれる。

この「ふるなび」など、ふるさと納税ポータルサイトを上手に活用し、全国各地の名産品を楽しみながら節税を図ってみてはいかがだろうか。