東京エレクトロン <8035> という会社をご存知だろうか。株式市場では「半導体関連」を代表する銘柄の一つで、日経平均で採用される銘柄の中で特に寄与度が大きいことでも知られている。そんな同社の株価は、世界的な半導体市場の好調で年初から約2倍に上昇するなど順調に水準を切り上げてきたが、先月下旬にかけて情勢に変化、10%以上の急落に見舞われるなどそれまでの上昇トレンドに陰りが見られ始めている。東京エレクトロンに何が起きたのだろうか?

東京エレクトロンは「外国人持株比率」が高い

東京エレクトロン,株価
(画像=Thinkstock/Getty Images)

東京エレクトロンは「半導体製造装置」の世界シェア4位で、外国人持株比率は39%に達している。欧米やアジアなどグローバルベースで事業を展開する企業であり、株式市場でも世界の機関投資家が「半導体関連」を代表する銘柄の一つとして注目する企業だ。

ちなみに、半導体製造装置とは文字通り「半導体を造るための装置」でグローバルな半導体サプライチェーンではとても重要な役割を果たしている。インテルであれ、サムソンであれ製造装置がないと半導体は造れないのだ。

半導体といえば、まずコンピュータやモバイルを思い浮かべるかも知れないが、自動車などの産業用機器向けにおいても需要の裾野を大きく広げており、関連業界は活況に沸いている。たとえば、WSTS(世界半導体市場統計)は2017年の半導体販売額が世界全体で20%増になると予想しているほか、同じくSEMI(半導体製造装置統計)も半導体製造装置が20%増とITバブル以来の過去最高に達する見通しを示している。

こうした半導体市場の活況を背景に、東京エレクトロンの2018年3月期の業績予想は売上が41%増の1兆1300億円、営業利益が74%増の2710億円と過去最高益を大幅に更新する見通しである。

サムスン株が急落、世界の「半導体関連」に異変

半導体関連銘柄は日本はもちろん、世界各国の株式市場の「中心的な銘柄」として重要な役割を果たしてきた。米国ではマイクロン、エヌビディア、アプライド・マテリアルなど半導体関連の主力株が人気で商いも活況を呈してきた。半導体は「グローバルな商品」であり、世界の関連銘柄は業績・株価ともにシンクロして動く傾向が強い。東京エレクトロン株が年初から2倍に上昇したのもそのためだ。

そうした半導体関連の活況に「急ブレーキ」がかかったのは、先月下旬のことである。口火を切ったのは韓国半導体大手のサムスン株の急落だった。モルガン・スタンレーのアナリストが週末にリリースしたレポートでサムスンの格付けを「オーバーウェイト」から「中立」に格下げし、ターゲット株価も290万ウォンから280万ウォンに引き下げたのである。2017年7〜9月期に過去最高益を更新したサムスンであるが、同社のメモリー部門が頭打ちになるとの見方が格下げの理由となった。この影響でサムスン株は11月27日に5%以上の急落に見舞われた。

米国や台湾でも「半導体関連」の格下げ相次ぐ

サムスンの格下げはモルガン・スタンレーの「世界的な半導体の見直し」によるものだった。これまで半導体といえばDRAMもNANDも活況を呈していたが「これからはNAND価格が下落する可能性がある」との見立てが格下げの前提にある。台湾セミコンダクターや米ウェスタン・デジタルを格下げしたのも同様の見立てによるものだ。

台湾セミコンダクターについては「仮想通貨のマイニング用半導体が競争激化で伸び悩む」との見通しも示され、その影響から仮想通貨用半導体で強い米エヌビディア株も売られる結果となったようだ。

今回の格下げの影響で米国のSOX指数(半導体株指数)は11月27日に1.3%の下落となった。さらに翌28日にはWSTSが2018年の半導体販売額の7.0%増となる見通しを発表、2017年の20%増からの「大幅な減速見通し」が警戒要因となった。

ベテラン投資家が熟知する「特性」とは?

世界的な半導体関連株の急落は、東京エレクトロン株にも飛び火した。先週27日は1.8%安、28日2.8%安、29日には5.8%安と日を追って下げ幅を拡大させた。

東京エレクトロンは日経平均採用銘柄の中でも「値嵩株(ねがさかぶ:値段の高い株)」で、日経平均株価への寄与度が大きいことで知られている。11月29日は東京エレクトロン株の下げだけで日経平均株価を47ポイントも押し下げたのだ。

半導体製造装置業界は、利益の変動幅の大きいことでも知られる。たとえば、東京エレクトロンは2001年3月期にITバブルで過去最高営業益をだしたが、翌年には営業利益は赤字転落している。2008年3月期もリーマンショック前の好景気で過去最高の営業益を示したが、翌2009年3月には大幅減益となり、2010年3月期には営業赤字に転落している。このように業績が極端に変動する「特性」をベテラン投資家は熟知しており、だからこそ先の「格下げ」等のレポートにも敏感に反応してしまうのだろう。

相場観は人それぞれであり、先の「格下げ」についても様々な意見があるだろう。しかし、世界の「半導体関連株」はこれまで以上にシンクロ性が増しており、機関投資家の見直しのきっかけとなったことは確か。株式投資の初心者、あるいはこれから始めようと考えている人は、グローバルベースの変化によって大きく変動する業種・業界もあることを覚えていて欲しい。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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