11月上旬から12月下旬の日経平均は2万2000円〜2万3000円のレンジでもみ合う展開が続いた。その直接的な要因は海外投資家の動きが鈍ったことだ。東京証券取引所及び大阪取引所が発表する投資部門別株式売買動向(週間ベース)によると、海外投資家は現物と先物の合計で9月第2週から11月第1週まで日本株を8週連続で買い越したが、11月第2週から12月第2週まで6週連続で売り越した。ただし、8週累計の買越金額が5兆4000億円を超えた一方、6週累計の売越金額は1兆4000億円を超えた程度だ。海外投資家の大部分は9月以降に買った日本株を保有し続けていると考えられるが、その背景には日本株の先高感があると考えられる。

後段で述べるように、米国では企業業績と経済環境からみて株高基調が続く可能性が高く、米国株高にキャッチアップする形で、日経平均は年明けからは徐々に上昇基調に転じるとみている。

日経平均が11月上旬に一時2万3000円を上回った原動力が、10月末から本格的にスタートした上場企業の4〜9月期決算で通期の業績予想を上方修正する企業が目立った点であることを考えると、1月末から本格的にスタートする4〜12月期決算が注目されることになろう。

米国では税制改革法が成立

11月上旬から12月下旬の日経平均が2万2000円~2万3000円のレンジでもみ合いを続ける一方、米国市場では11月下旬から株高が加速したが、その原動力は税制改革期待だった。

米議会下院が税制改革法案を11月中旬に可決した時点では、その後に本格化する上院での審議に対する不透明感があった。下院に比べると上院では与党と野党の議席数の差が小さく、可決が微妙と見られていたことに加えて、仮に可決されても上院と下院の法案の内容には隔たりが多く、最終的な法案一本化が難航すると予想されていたからだ。しかし、11月下旬に米上院予算委員会が、上院共和党が提出した税制改革案を可決すると上院での可決期待が高まり、株高が加速した。実際に、上院は12月2日に税制改革法案を可決し、その後の上下両院による法案一本化は予想されたほど難航せず、最終的に米国の税制改革法は20日に成立した。

米国市場では低金利・株高の「適温相場」が続く可能性