あなたは仕事のストレスを何で解消していますか?お酒の飲み方には気をつけていますか?

当たり前と思われていることを実際に実行することはなかなか難しいですが、お金持ちの人は、それをコツコツと積み重ねることができるのです。ここでは、そんなお金持ちの真似したい習慣を紹介します。

(本記事は、中桐啓貴氏の著書『日本でお金持ちになる人の思考法』=クロスメディア・パブリッシング/インプレス、2012年10月11日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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本を通して世界を広げる

お金持ちの人には読書家が多くいます。さまざまなジャンルの本がぎっしりと詰まっている本棚を何度も見せていただいたことがあります。

社会の変化を読み取るため。人生哲学を追い求めたいという探究心のため。本を読む理由はいくつでも挙げることができますが、読書によって得られる最も大きなもの、それは「気づく力」です。

限られた時間の中では、個人が経験できることも限られてしまいます。したがって自分の世界の広がりにも限界があります。本を読むことでその著者の考え方や経験を知ることができ、読者は自分の世界を広げることができます。世界が広がれば、それまでまったく気にもならなかったことに気づけるようになるのです。

明日1日だけ、「赤いもの」に注目して生活してみてください。赤いものであれば何でもかまいません。必ず「こんなところに郵便ポストがあったんだ……」とか、「あの赤い看板いつも目に入ってたけど、改めて見てみたらおもしろい広告だ」と思うことでしょう。赤いものに注目する、たったそれだけでいつも見ていた風景がまったく新しいものに見えるようになります。赤いものに注目する意識以上のものを、それも数多く、本は与えてくれるはずです。

また、広い自分の世界を築くことで、人間力にも自然と磨きがかかります。経営者のような人の上に立って利益を追い求める立場にいる方には、人間力こそ必要不可欠な要素の1つでしょうし、センスさえあれば一時的に莫大な儲けを出すことも可能ですが、長期間にわたってお金持ちであり続ける「資産家」になるためには、付け焼き刃の知識ではなく、しっかりと定着した教養が必要です。

本や新聞を読まずにインターネットだけで情報収集を済ます人も多くいますが、ネット上の情報は断片的ですし、その信頼性も疑わしいものばかりです。知識は正確、かつ体系的でなければ意味がありません。知識はネットでは得られないのです。

読書を通して実に多くのことが血となり肉となります。それを知ってか知らずか読書をしているのがお金持ちの人なのです。

過去から学ぶ

予測の難しい未来を見極めるために、お金持ちの人は歴史を学びます。歴史は繰り返されることを知っているのです。1000年前だろうと2000年前だろうと、時代は移り変わっても人間のとる行動に大きな変化はありません。お金持ちには司馬遼太郎や吉川英治などの歴史小説を好んで読まれる人が多くいますが、過去に起きた事件からどう人が動くのか学び、それを彼らが生きる今に役立てようとしています。

イギリスの政治家には、オックスフォード大学やケンブリッジ大学など、いわゆるエリート大学の歴史学部を卒業した方が多くいます。何千年と積み重ねられた歴史からその在り方を学ぶことで、それを政治に活かしているのでしょう。

経済学も過去の経済の変遷から帰納的にその本質を見出す学問です。経済に強ければ当然お金の稼ぎ方もうまくなります。

経営学修士(MBA)の学位取得課程でも過去を学ぶことが大切にされていて、週に数回、ケーススタディを行います。そこでは例えば、アメリカでAmazon.comが上場したときに世間はどう動いたか考察するなど、論理的に新たな理論をつくり出すのではなく、過去の事例から帰納的にその本質を学び、考える力、経営能力を伸ばすことに重きを置いています。

またお金持ちには、幼い頃に伝記を読んでいた人が多くいます。私自身も好んでベートーベンの伝記や野口英世の伝記を読んでいました。伝記の主人公は必ず困難な目に遭いますが、苦境に立たされてもそれに怖じ気づくことなく、一生懸命努力をして最後には歴史に名を残すほどの偉業を達成しています。そんな偉人の人生に触れてきたことで、自分も将来、大きなことを成し遂げようとするなら、それだけ多くの困難を乗り越えなければならないんだと、失敗や挫折はあるものなんだと、今になっても思えています。

過去を学ぶことで、それが自分の糧にも、未来を見極めお金をつかむ近道にもなるのです。

仕事のストレスは仕事で解消する

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(画像=PIXTA)

クレームはチャンスだと思え。しばしば耳にする言葉です。ミスや考えの至らなかった点を直接指摘してくれているからです。誤りが明らかにされてしまったのなら、そこを改善すれば良いのです。

ただ口でそう言うのは簡単ですが、クレームには怒りの感情が込められていることが多いため、そう簡単にポジティブに捉えることはできないでしょう。一生懸命取り組んだ上で起こしてしまった些細なミスを責め立てられれば、愚痴を言ってしまうのが当然だと言えなくもありません。気持ちは十分に理解できます。

しかし、お金持ちの人は決して愚痴を言いません。仕事中に限らず、プライベートでも言いません。もしかしたらバーでお酒を飲みながら管を巻いているのかもしれませんが、少なくとも私は耳にしたことがありません。

愚痴を言っても何も生み出さないことを彼らは知っているからです。愚痴を言っている暇があったら、今後同じ過ちを繰り返さないように変えなければならないこと、やらなければならないことがあると考えるのです。彼らは常にものごとを前向きに捉えることのできる謙虚な姿勢で仕事、ひいては人生に臨んでいます。

やけ酒をする、欲しいものを衝動買いする、趣味にふける。仕事で抱えてしまったストレスを発散する方法は人それぞれですが、これらの例はストレス解消ではありません。

「ストレス一時忘却」です。

仕事で抱えたストレスは仕事で成果を上げることでしか解消できません。お金持ちの人はそう考え、仕事に食らいついているように思います。

それからもう1つ、彼らが愚痴を言わない理由があります。彼らが恐れていること、それは人が離れていってしまうことです。愚痴を言ってばかりの人についていこうとは思いません。会社の上司に、愚痴るようにくどくどと怒る人はいませんか。リーダーがそんな人ではチームもまとまりのないものになってしまいます。人とのつながりがあってこそ、そこにお金がついてくるのです。

気配りに気を配る

お金持ちの人は手紙をよく書きます。

旅行土産、お歳暮、お中元、栄転、昇進、会社設立。

人と付き合っている限り、祝電やお礼状を書くべきタイミングはあらゆるところに転がっています。タイミングを逃さず、その度にきっちり手紙を書いている人が今どのくらいいるでしょうか。

お金持ちの方はその機会を逃しません。私も資産家の方がお客様となることもありますが、お金持ちの方ほど仕事の成果に対するお礼状を書いていただけることが多くあります。しかも中には、手書きで書かれている方もいます。今の時代、メールというツールがあるわけですし、タイミングを逃さなければメールで十分に気持ちは伝わるものとも思いますが、実際手書きで書かれた手紙をいただくと、書いた人の「心」を感じられるようでうれしく思うものです。手紙は感謝を伝えるとともに、相手に気持ちよくなってもらおうという気配りの1つです。

お金持ちの方ほど、私の会社にいらっしゃるときに手土産を持ってきます。しかもその手土産に十二分の気遣いが込められています。

例えば、ケーキとおかき。どちらの方が会社に喜ばれる手土産だと思いますか。

ケーキは基本的に好まれません。いちいちお皿とフォークを用意しなければなりませんし、洗い物をしなければなりません。日持ちもしませんし、一片だけ残ったときの手の出しにくさったらありません。

一方、おかきは喜ばれやすい差し入れです。おやつ時や夜遅くまで働いているとき、空いた小腹を満たすのにおかきは最適です。それに大きい箱や袋に、小分けにされている場合が多いので、パッと手にとってパッと食べることができて、仕事中に食べやすくなっています。

手土産をただ渡すだけではなく、渡す相手のことをよくよく考えた上で選ぶ、その心遣いが大事です。

お金持ちの人は皆、細やかな気遣いができます。

時間を丁寧に扱う

かつては昼頃とか、遅い時間に出社すれば「社長出勤だな」と、皮肉を言われたものです。しかし、今「社長出勤」の時間帯と言えば朝6時や7時の早い時間です。

お金持ちの人の多くは朝型です。夜切り上げるのも多少早いので、普通の人の仕事時間を数時間早めにそのままずらしているイメージです。

朝型の人になぜ朝型にしているのか聞くと、朝の方が仕事の効率が良い、と答えることが多いです。朝は静かだから集中できるとか、朝早く起きた方がやろうという気持ちになれると言います。

朝型ではない人は出勤時間にギリギリ間に合う時間まで寝ていて、仕事に行き、残業して仕事を片付けたら帰ってすぐ寝る。そんな生活が想像できますが、朝型であれば早めに仕事を切り上げて、夜をゆっくりする時間にあてることができます。朝型の方がゆとりをもって生活できるのではないでしょうか。

ビジネスマンとして当然ですが、お金持ちの人で時間にルーズな人はいません。時間に緩い人ほど、お金を失ってしまっている感があります。待ち合わせの時間に相手が遅れてきても、お金持ちの人は温厚な性格であることが多いので特に何も言いはしませんが、自分が遅れる側になると途端に並外れた気遣いを示します。

ある経営者の方が私のオフィスに時に来ることになっていたのですが、時前に電話がかかってきて、「3分遅れます」とわざわざ伝えてくれました。

その経営者の方がお客様であり、当然立場はお客様の方が上です。3分程度の遅れを私が気にしようはずもないのに、ご丁寧にも連絡をしていただいたのです。

時間は何にも換えることのできないものです。「3分遅刻すれば相手の時間を3分奪うことになる、取り返しのつかないことをしてしまった」という罪悪感を感じ、誠意を見せてくれるのです。

いいかげんなことをしていれば、それは信頼を損なうことにつながります。時間に普通以上に気を遣うのがお金持ちの人です。

心安い行きつけの店をもつ

お金持ちの人は、行きつけの店を必ず何カ所かもっています。そしてその店は高級であるだけでなく、ホスピタリティの行き届いた、グレードの高い店である場合がほとんどです。飲みに行こうと誘われて、連れられて行った店が場末の居酒屋だった、なんてことはありません。

私が証券会社に勤めていたとき、当時の副社長に銀座に連れて行っていただきました。一晩のうちに、ふぐ料理屋、クラブ、寿司屋と高級な店を3軒も回ったのですが、どこの店に行っても、店長、マスターと副社長が親しげに挨拶を交わしていましたし、「いつもご贔屓にしていただいております」と、私に対しても丁寧に挨拶をしていただきました。

様々な店に連れて行っていただいたことで、私は副社長をいっそう信頼するようになりました。一店主と一顧客でしかない二人が親しげに会話をする様子から、深い人間関係を形成することのできる副社長の人間性をうかがい知ることができましたし、一流が集う街、銀座の店の常連客として認められている副社長を、かっこいいと思えたからです。

その副社長だけでなく、多くのお金持ちの方に行きつけの店に連れて行ってもらう中で影響を受け、私自身も銀座などよく足を運ぶ街に行きつけの店をもっています。お客様との距離を縮めようと思ったときに利用します。

お客様を連れて行くのに勝手知ったる店の方が良い理由に、もう1つ、お客様に安心してくつろいでいただく、というものがあります。

見栄を張って行ったこともない高級な店に入ってしまえば、勝手がわからずあたふたしてしまうでしょう。連れて行った側がそんな状況では、連れて行かれた方も落ち着けません。

お客様と親しくなるためのお酒の場。ともに心安く時間を過ごすためには、やはり行きつけの店をもっておくことは重要です。

酒に呑まれない

金曜日の夜、繁華街は、休日に入る喜びから居酒屋に向かうビジネスマンでごった返しています。夜通し飲んで朝に帰宅し、次の日、日中はずーっと寝ているなんてことも、特に若い人にはよくあるのではないでしょうか。2次会に行くのも、惰性で行ってしまっている場合がほとんどでしょう。

お金持ちは平日、休日問わず、夜遅くまで飲むことは決してありませんし、大量に飲みまくって酔いつぶれるようなこともありません。

私のお客様に、現在代で商社に勤めている方がいます。商社と言えば、飲み会ばかり、というイメージがありますが、実際そのお客様も若い頃は飲み会も仕事の一部という感じで、ひたすら飲んでばかりという生活を送っていたそうです。

しかし、30代半ばから飲み会は行くにしても1次会まで、夜9時か時頃には自宅に帰るようになったそうです。年で体がついていかなくなったのもあるかもしれませんが、飲み会に対する考え方が変わったことが大きな理由だそうです。

それは、飲み会の場を「憂さを晴らす場」から「情報交換の場」である、と考えるようになったことです。

お金持ちの人は普段の仕事ではなかなか話をする機会のない人、例えば同業他社の人や、同じ会社に務めている別の部署の人と話をして、情報を仕入れることを目的に飲み会に足を運びます。情報収集を目的とすれば、話し相手も決まってきますし、話す話題も決まってくるので、飲み会に無駄に時間を割く必要もありません。

時間を有効に使おうと彼らが思っているのも、深酒をしない理由の1つです。

夜遅くまでだらだらと飲んでしまったり、飲み過ぎてしまったりすれば、眠いとか体調が悪いなどの理由から次の日を1日無駄にする可能性もある、それでは時間がもったいないと彼らは考えています。

お酒は嗜む程度に。それがお金持ちらしい、かっこいい飲み方でもありますよね。

体を動かすことの利点を理解する

お金持ちは体を動かす時間を大切にします。

朝の散歩であったり、週末の草野球であったりと形はさまざまですが、運動の大切さを、身をもって理解しているからでしょう。働く人にとって運動の利点は大きく3つあります。

第一に健康。健康であることが、体にとって良いだけではなく、精神衛生上にも非常に良い効果をもたらします。運動するとスッキリするとも聞きます。体の調子が悪いとやる気も集中力もそがれてしまいますよね。

第二にオンとオフの切り替えです。仕事に没頭する時間と仕事から完全に切り離される時間。お金持ちはこれらの時間をきっちりと分けていて、時間の使い方にメリハリがあります。仕事をするときは仕事をし、遊ぶときは遊び、休むときは休みます。それらを切り替えるスイッチに運動を利用します。体を動かせば、仕事から完全に頭を切り替えることができますし、運動後はゆっくり休もうと思うものです。

もう1つ大切なのが、運動中はアイディアが浮かびやすい、まとまりやすいということです。お金持ちの人は皆口を揃えてそう言います。

デスクに向かっているばかりでは、たとえ集中できていても、いや、集中しているからこそ、さまざまな思考と思考、アイディアとアイディアが絡まり合い、ゴールまでの道筋がはっきりしないのでしょう。アイディアを創り出すための材料は世の中に無限に存在します。それらの中から本当に必要なことだけピックアップするのは非常に難しいのです。

体を動かしている間、人は基本的に何も考えていません。考えてはいられません。無意識がアイディアの材料の中から必要なものだけを選び取って、真っ白になっている頭のノートの上に並べ、それを元に明確な地図を描いてくれるのでしょう。

お金を生み出すアイディアはこういった過程を経てこそ生まれやすいものです。

運動がビジネスを含めた生活全般に及ぼす好ましい影響を活用しない手はありませんし、お金持ちになるためには必要な習慣です。

ワインから投資を学ぶ

ワインもゴルフ同様、お金持ちの人の多くに共通する趣味です。ワインの知識があればお金持ちの輪に入りやすくなるでしょう。ワインを飲む習慣の利点はそれに尽きません。ワインには資産運用と通じる点があるのです。

まず、株式投資をする際にはワインの醸造と同じぐらい大きい時間軸で考えなければなりません。

ボジョレーヌーウ゛ォーのような早飲みタイプのワインはさておき、通常赤ワインであれば外の空気から遮断された地下室の中で、5年から10年程度は熟成させなければなりません。30年、40年寝かせる高級ワインもあります。時間をかけることでしか良いワインをつくることはできないのです。

株式投資も半年や1年程度の時間軸を設定していては利益は見込めませんし、1日の株価の推移に惑わされてはいけません。株を購入したら、ワインのように情報という外の刺激から少し遠ざけて、数十年という長い時間を待たなければ利益を得ることはできません。

また、ワインのことを知れば知るほど、自然とワイン畑のつくり手について知りたくなってきます。同じ品種のワインでも道を1本隔てた別の畑でつくられたというだけで、味にも値段にも大きな差が生じます。ワインの良し悪しはつくり手の良し悪しが大きな要因となっています。

会社もそのつくり手、すなわち経営者の手腕によって大きく変わります。同じような商品を出していたり、同じような規模の会社を比べてみても、一方は順調なのにもう一方は倒産する、ということもあります。ビジネスモデルの違いも原因の1つとして考えられますが、それも結局は経営者の差です。投資をする会社を選ぶ際にも、ワイン同様、そのつくり手に目を向けなければならないのです。

ワインを知ることで自然とビジネスに必要なもの、知るべきものが身につくのではないでしょうか。

中桐啓貴(なかぎり・ひろき)
ガイア株式会社代表取締役。山一證券株式会社を経て、メリルリンチ日本証券大手町支店にて個人富裕層へのコンサルタントとなる。退社まで常に1500人中トップ10の成績を残し、最年少でシニア・ファイナンシャル・コンサルタントに昇進。留学のため退社し、アメリカ、ブランダイズ大学院にてMBA取得。帰国後、独立系FP会社、ガイア株式会社を設立。