春節という言葉自体、日本人にはあまりなじみがないものかもしれないが、要するに旧暦の正月のことを意味している。かつては日本も「年越し」というと、旧正月のことを指していた。ところが明治維新以降に政府が太陰暦を太陽暦に変えてからは、元旦に正月を迎えるようになったのだという。

2018年の春節休日は2月15日から21日までの7日間だったが、この間には多くの中国人が世界中を訪れている。ここではそうした中国人観光客の動向を追ってみることにしたい。

中国,春節
(画像= testing / shutterstock.com)

人気だったのは「タイ」と「日本」

中国の有力新聞によると、春節連休の海外旅行で最も人気を集めたのはタイと日本だった。中国国家旅遊局のデータによると、今年の春節期間に中国人観光客が訪れた国・地域は68に上り、過去最多の650万人が出国したと予測されている。その中で「タイと日本が最も人気を集めた目的地」だと報じているわけだ。

同紙の記事によると、大手のオンライン旅行各社が発表した「人気の目的地ランキング」で、タイと日本は1位と2位をほぼ独占する形となった。大手の1社であるシートリップが組織した海外旅行の参加者は、タイが最多の23%で、それに次ぐ2番手には13%の日本が続いた。3位はシンガポール(10%)だったという。

またこの記事によると、中国人観光客の多くは以前にも日本旅行の経験をもっているという。データとして、日本メディアが実施した調査でも、回答者の3分の2が「訪日は2回目あるいはそれ以上」と答えていたことが引用されている。

興味の対象は「モノ」から「コト」へ

記事の中で注目されるのは、中国人観光客の関心が以前の「爆買い」から「体験」へと顕著な変化を見せているとの指摘だ。興味の対象が「モノ」から「コト」へと変化しているというわけだ。日本ならではの体験を楽しむ「コト消費」が、旅の企画の目玉になってきたのだ。

中国人観光客の人気を集めている一例として、富士山二合目にある遊園地の「ぐりんぱ」は、外国人専用のゲレンデを設けている。初めて雪を見る人も多く、そりに乗って雪遊びを楽しむなど、子どもから大人までが大はしゃぎだという。「ぐりんぱ」では、中国で普及しているスマートフォンによる決済サービスも利用できるようになっている。

また、「筑前の小京都」と呼ばれている福岡県の観光地「秋月」も、中国人観光客の人気が急上昇中だという。鎌倉時代から江戸時代に栄えた城下町の景観が守られてきた端正な街並みで、いわゆる「観光地」とは全く違った雰囲気なのだが、「秋月・黒門茶屋」では、地元の郷土料理が味わえたり、ひな飾りを楽しめたりと、日本の伝統文化に触れることができるという口コミが人気のもとになっている。

インバウンド向けに展開される様々な企画

山形県の西置賜郡にある飯豊町では、観光協会が運営管理する「どんでん平スノーパーク」が、スノーモービルの体験受入を行っている。巨大すべり台やスノーモービル、バナナボードなどの体験を、「日本スノーモービル安全普及協会(JSSA)」 の認定を受けたインストラクターが指導するという。

また、三重県の伊勢志摩では、「もんど岬シーカヤック・カフェツアー」や「海賊の城と城下町の夜歩きツアー」、「海女の国のスピリチュアルツアー」など、季節に応じた30前後の旅行商品が用意されている。

岐阜県の飛騨市古川町で開催されている「里山サイクリング」や「酒蔵体験」も人気を呼んでいる「コト消費」の好例だ。同町で企画やガイドを担っている観光人材は、ほぼ全員が1年以上の海外経験を持っているのだという。(ZUU online 編集部)