はじめに
日本と中国の間には、領土・領海や歴史認識をめぐる多くのあつれきが横たわっているが、一方で経済や観光での結びつきは年々強まっている。
中国の目から日本はどのように映っているのだろうか。そして、中国は日本に何を望んでいるのか。中国での報道をもとに、中国と日本の関係を考えてみたい。
春節に650万人が出国 中国人に人気の国は
春節という言葉自体、日本人にはあまりなじみがないものかもしれないが、要するに旧暦の正月のことを意味している。かつては日本も旧暦を採用していたので、「年越し」というと、現在の旧正月の時期だった。ところが明治に入り、政府が太陰暦を太陽暦に変えたため、正月は1カ月ほど早まり、日本では旧正月を祝うことはほとんどなくなった。
だが、アジアでは今でも、旧正月を祝う国が多く、中国や韓国、シンガポールなど祝日となっている国もある。
中国の場合、2018年の春節休日は2月15日から21日までの7日間で、この間には多くの中国人が世界中を訪れてた。そうした中国人観光客の動向を追ってみることにしたい。
人気だったのは「タイ」と「日本」
中国の有力新聞によると、春節連休の海外旅行で最も人気を集めたのはタイと日本だった。中国国家旅遊局のデータによると、今年の春節期間に中国人観光客が訪れた国・地域は68に上り、過去最多の650万人が出国したと予測されている。その中で「タイと日本が最も人気を集めた目的地」だったというわけだ。
同紙の記事によると、大手のオンライン旅行各社が「人気の目的地ランキング」を発表しているが、どの調査でもタイと日本は1位か2位のいずれかだった。大手の1社であるシートリップが企画した海外旅行の参加者は、タイが最多の23%で、それに次ぐ2番手には13%の日本が続いた。3位はシンガポール(10%)だったという。
またこの記事によると、中国人観光客の多くは以前にも日本を旅行した経験があるという。データとして、日本メディアが実施した調査でも、回答者の3分の2が「訪日は2回目あるいはそれ以上」と答えていたことが引用されている。