日本でも食文化に浸透し、日常的な飲み物となっている「ワイン」。そのワインをおいしく飲むだけではなく投資の対象とする「ワイン投資」をご存知でしょうか。日本ではまだなじみが薄い投資方法ですが、ヨーロッパでは伝統的な投資の一つで、富裕層を中心に広がりつつあります。
ワイン投資とは
投資には株式や債券などの伝統的資産を対象とした投資と、不動産投資やスワップ、オプション取引のような伝統的資産以外を対象としたオルタナティブ投資があります。
また、オルタナティブ投資の中でも商品先物市場で取引されている金やプラチナ、トウモロコシや大豆など、商品に投資するコモディティ(商品)投資があります。ワインを投資対象とすることは珍しく感じるかもしれませんが、商品に投資するのは資産保全のためによく使われる方法です。
株式や債券では、一国の金融危機や不測の事態が引き金になって世界的な不況に見舞われた際には、資産価値が大きく下落してしまうリスクがあります。一般的な金融資産とは違う値動きをするものに「分散投資」することでリスクヘッジするのは有効な方法です。
ワイン投資は単体で一獲千金を狙うのには向きませんが、金融市場の影響を受けづらく、分散投資の一つとして富裕層を中心に注目されています。
ワイン投資方法
ワインは生産過剰による品質低下を防ぐため、国によっては生産量を制限しています。年々消費されて供給量が減ると希少価値が上がり、数年間かけて熟成するとさらに価値が上がるため、それに伴って価格も上昇します。
また、ワインは毎年出来が異なります。当たり年のワインは価格が上がりやすく、生産年が入ったヴィンテージものは時間の経過とともにその価値が高まります。これに着目し、ワイン投資ではまだ値段が安い若いワインを購入して投資し、熟成させて価値を高めてから売却をすることで利益を得る投資スタイルとなっています。
ワイン投資のメリット
ワイン投資には以下の3つのメリットがあります。
メリット1:現物資産であること
ワインは金融市場の影響を受けにくいことや、倒産した企業の株式のように資産価値がゼロになることはありません。ワインという「現物」があることで、価格の変動はあるものの資産価値がなくならないことがメリットです。
メリット2:インフレに強い
現物があるコモディティ投資であるため、インフレに強い側面があります。
メリット3:分散投資向き
先述の通り、分散投資はリスクヘッジの側面から考えても重要な要素であり、ワイン投資は分散投資に向いている投資方法です。
ワイン投資のリスク
ワイン投資は「投資」である以上リスクもあります。リスクを把握した上で注意しながら運用することが重要です。
リスク1:天候に左右される
天候などの要因によって投資したいワインが確保できない可能性があります。
リスク2:短期目的の投資には向かない
ワインは生産してから熟成や保存の年数を置くことで価値を高める、どうしても長期的な投資となります。そのため、短期ではワインの価値があまり変動せず、短期的投資には向いていません。
リスク3:為替リスク
ワイン投資で取引されるワインは、大半が海外のワインです。そのため、購入や売却の際に為替変動リスクも生じることになり、利益に大きく影響します。
信用できるアドバイザー選びが重要
ワイン投資を行うには、ワインを自ら買う方法とファンドを利用する方法があります。
自ら生産者と直接取引を行うには英語やフランス語などが堪能で、なおかつ十分なワインの知識が必要です。また、ワインは樽単位で買い付けるため、一般的には個人には難しいでしょう。生産者から直接買うのではなく、ワイン商から購入する方法であれば取引単位を小さくすることが可能になります。日本語での注文ができるワイン商であれば、初心者にとっても投資に向けた障壁は下がるでしょう。
ワイン投資にはワインに対する深い知識が求められます。偽物が流通することもあるため、本物かどうかを見抜く「目」も重要です。アドバイザーとして信頼できるワイン商を選ぶことが何よりも重要です。
ファンドを利用してワイン投資を行う場合、自分でワインを売買する必要がなく、手軽に投資を始めることができます。ただ、詐欺まがいのファンド会社が存在することや、会社の破産などによって出資した分が償還されないケースもあるので注意しましょう。
まとめ
ワイン投資は分散投資し、リスクヘッジできる有効な資産運用方法の一つです。収穫の年ごとにワインの出来が違うことや、年数を重ねて価値を高める必要があるため長期投資に向いています。
ワイン投資は、ワインを自ら楽しみながら投資の要素を取り入れ、じっくり値上がりを待つのが一番良い投資の楽しみ方でしょう。(提供:プレミアサロン)