不動産投資には、情報収集や物件選定、購入後の物件管理など、やることが多くあります。不動産投資に関する情報もいくつも出回っているため、作業や情報に振り回されて目先の利益を追い求めてしまい、うまくいかなくなるケースも少なくありません。

重要なのは、行動を開始する前に目的を考えることです。何のために不動産投資を行っているのか、いつまでにどれくらいの資産を形成したいのかなど、具体的な目的があれば、不動産投資という「大海」にいても羅針盤のように行き先を示してくれるはずです。

目的がないと軸がぶれる不動産投資

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(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

不動産投資を続けるに際して、判断すべきポイントが多くあります。それぞれのポイントについて「こうすべきだ」「これがいい」などとアドバイスをしてくれる専門家やWebサイト、雑誌などの情報源も数多くあります。それだけに、明確な目的がないと簡単に軸がぶれてしまい、一貫性のない投資を行いがちです。

判断すべきポイントとは、例えば不動産の種類(マンション、アパート、商業施設、介護施設、駐車場など)、物件価格、立地、管理方針(自分でやるか外注するか)など、購入から運営・管理、売却に至るまで数え上げればキリがありません。こうした「作業」に追われて、つい当初の目的を忘れてしまうのが不動産投資の難しさなのです。

そのため、目的を定めることがとても重要です。副業として安定的な収入が得たいのか、不動産投資を軌道に乗せてセミリタイアを目指すのかなど、そもそも資産運用を何のために行うのか、自分の胸に問いかける必要があります。実際に不動産投資に乗り出すのは、心から納得できる目的ができてからでも遅くはありません。

不動産投資のインカムゲイン・キャピタルゲイン

投資目的を考える上で、ぜひ理解しておきたいのが「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の違いです。これは、不動産投資によって得られる2種類の利益を指しています。

インカムゲインとは、継続的な収入のことです。不動産投資の場合は、家賃収入のことを指しています。毎月振り込まれる家賃収入は、株式投資における配当金と同様、投資家にとって重要なインカムゲインとなります。

毎月の費用より家賃収入の割合が多くなると、キャッシュフローが安定化し、2件目以降の物件購入に際して銀行から融資を受けやすくなります。不動産投資において、インカムゲインを安定して得ることはとても大切なことです。

一方、キャピタルゲインとは、まとまって得られる売却益のことです。不動産投資の場合は、物件が値上がりして購入時より高く売却できたとき、その差額分がキャピタルゲインとして投資家のふところに入ります。立地のよい物件の場合、大きな差益になることもあります。インフレーション(インフレ)が起こると不動産価格も上昇しやすく、キャピタルゲインを得られる可能性が上がると考えられます。

不動産投資の目的を大きく分けると、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを中心的に狙うか、ということになります。目的によって、不動産投資の戦略も変わってくるでしょう。

減価償却と経費で節税を目指す

インカムゲインやキャピタルゲインに続くもう一つのメリットとして、不動産投資を通じた節税が挙げられます。不動産投資で利益を得ると、その分所得が増えますので所得税・住民税も上がります。しかし、利益から経費を差し引くことで、見た目の利益を圧縮し、節税につながる可能性が出てくるのです。

その際ポイントになるのが、減価償却です。減価償却とは、設備投資にかかった費用を資産計上し、資産の耐用年数によって費用を案分させる会計処理を指しています。例えば、5,000万円の建物の耐用年数が25年だとすると、毎年200万円ずつ費用として計上できます。実際は毎年200万円出費がなくても、会計上では費用として計上できるので、税額をある程度コントロールできるのです。

減価償却費を活用すると、他の所得との損益通算ができることもあります。損益通算とは、黒字と赤字を相殺することです。例えば、本業の所得(給与所得)が500万円、不動産投資の所得が100万円だったときに、減価償却費が200万円だと不動産所得がマイナス100万円になります。このマイナス100万円を本業の500万円と相殺することで、合計所得400万円として申告できるようになります。

不動産投資にかかる経費と損益通算を活用することで、合法的に税金を減らし、キャッシュフローを増やせるのです。

不動産がインフレ対策になる仕組み

不動産投資の目的として、「インフレ対策になるから」という声も多いです。現金を持っているとインフレ時には価値が下がりますが、モノである不動産に換えておけばインフレ耐性が強くなります。

言うまでもなく、インフレとは現金の価値が下がることです。結果として、より多くのお金を用意しないとモノが購入できなくなります。例えば、100円で買えていた消しゴムが150円になってしまうのがインフレです。

資産が預貯金のみの場合、インフレのときに実質的な価値が目減りして損をします。2013年以降、日本銀行は物価上昇率2%を掲げ、早期の実現を目指しています。今後の日本経済の行く末を占うことは困難ですが、日本銀行が方針として掲げている以上、インフレに負けない2%以上の資産増加率を目指して運用していく必要があります。

預貯金だけではインフレに対抗できないことを踏まえると、インフレ対策として不動産投資が選択肢の一つになるでしょう。不動産はモノであり、インフレに応じて値上がりしやすい性質を持っています。現金がインフレに応じて自動的に増えることは決してありませんが、不動産価格は上がることがあります。

さらに、現預金を抱えていても意味がないことから、インフレ時にはお金が株式や不動産へ投資先として流れていきやすいことも知られています。単純にインフレ率と同程度成長するばかりか、それ以上に価格が高騰する可能性もあるのです。

以上を踏まえると、インフレ対策を目的として不動産にお金を投じておく戦略も十分あり得ます。不動産投資の目的の一つとして、頭に入れておいてもよいでしょう。(提供:Incomepress


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