ITで生産性を高める「スマート農業」が有力な投資テーマに浮上した。IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、ロボットの農業への活用推進へ向け、このほど自民党が初の勉強会を開催した。座長を務めるのは、将来の首相候補の呼び声も高い小泉進次郎筆頭副幹事長。ドローン(小型無人飛行機)や農機の自動運転といった農業IT化の関連銘柄に注目したい。

スマート農業
(画像=PIXTA)

政府は来年の農林水産物の輸出目標1兆円(昨年は8073億円)を掲げ、横断的に農業の活性化に取り組んでいる。その中で、深刻な高齢化と後継者不足の問題の解決策として、スマート農業の普及に本腰を入れる。

小泉筆頭副幹事長はこれまでも自民党農林部会長(昨年退任)として農業改革に取り組み、IT導入にも積極的な姿勢を示してきている。国民からの人気が高い同氏を座長に据えたことから、与党の本気度がうかがえる。勉強会が月内にもまとめる提言は、政府が6月に打ち出すとみられる成長戦略に反映される可能性もある。

スマート農業の中でも大きな注目を集めるのが、トラクターなど農機の自動運転だ。クボタ(6326)は21年の完全実用化を目指す。GPS(全地球測位システム)の技術で無人で走行し、人手不足に対応する。GPSを土質や土壌の良しあしといったデータと結び付け、収穫量や品質を予測して農作物を効率的に収穫するシステムも将来投入する。井関農機(6310)も、自動運転作業ができる「ロボットトラクター」を開発した。

農業の効率化で大きな役割を果たすとみられるのが、ドローンだ。従来は農薬散布などで活用されていたが、農地管理のデータ取得にも用途が広がり始めた。オプティム(3694)はAI(人工知能)搭載のドローンを展開。佐賀大学と組んで飛行試験を行っている。農薬の散布場所を限定し、使用量を十分の一以下に減らした大豆の生産に成功するなど成果も出始めている。株価は1月の高値2795円を目指す動きとなっており、ここを上回ると一段高も期待できそうだ。

このほか、ITソリューションのセラク(6199)も独自の農地管理システムを手掛ける。IoTサービスの導入件数は1150件(2月末時点)に達した。測量システムのトプコン(7732)や、クボタのドローンの設計に携わった丸山製作所(6316)も押さえておきたい。このほか、日本ユニシス(8056)は米の生産と加工販売を手掛けるアグリホールディングス(東京・港区)と資本・業務提携し、ITを活用した生産管理や生産者のネットワーク化に乗り出した。(5月11日株式新聞掲載記事)

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