昨日の海外時間には、米長期金利が一段と上昇したことから全般的にドル買いが優勢となって、ドル円は2月以来の110円台半ばまで上昇しました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

このところ、ドル高+円高、ドル安+円安という相関でレンジ取引となっていたドル円相場ですが、昨日は米長期金利が一段高となったことからドル高主導でレンジを上抜けしました。しかしながら、110.50円、111.00円など節目、節目には輸出企業など実需筋のドル売りが控えていると見られ、その付近では利食い売りが強まる見通しです。また急激に態度を軟化させていた北朝鮮が今日予定されていた韓国との閣僚級会談を突然キャンセルし、米朝首脳会談の中止を示唆するなどしていることから、楽観ムードが後退していることも円売りにやや障害となる可能性があります。一方米長期金利ですが10年債利回りは2011年以来の水準まで上昇していますが、30年債利回りが、ここ数年何度か転換点となった3.2%台に迫っていて、上昇余地が限られている、との見方があります。米長期金利が上げ渋る展開となれば、ドル高主導のドル円の上昇も止まると予想できます。

110円台維持なら押し目買い

今あげたようなリスクはあるものの、ここしばらくのドル円の108円台半ばから110円という取引レンジが上方にシフトした可能性があることから、110.10円でドル買い円売りのポジションを作りたいと考えています。損切りラインは109.80円に置いて111円付近での利食いを目指します。

海外時間からの流れ

欧州時間、序盤は特段の新規材料もない中各通貨ペアとも小動きが続きました。その後米長期金利が上昇を始めると全般的にドル買いが強まって、ドル円は110.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1870台まで、ユーロ円も130.60円付近まで下落しました。

NY時間にはいって、発表された米・5月NY連銀製造業景気指数が予想を上回ったことから米長期金利が一段高となる中ドル買いがさらに強まって、ドル円は110.30円台まで上昇し、ユーロドルは1.1820付近まで、ユーロ円は130.40円台まで下落しました。

NY時間午後にかけて米長期金利は上昇を続ける中、円売りが優勢となって、ドル円は110.40円台まで、ユーロ円は130.90円台まで上昇して、ユーロドルも11870台まで反発しました。NY時間引けにかけては北朝鮮が16日に予定していた韓国との閣僚級会談をキャンセルし、米朝首脳会談の中止を示唆したこともあって米長期金利が上げ渋る展開となり、円がやや買い戻され、ドル円は110.20円付近まで、ユーロ円は130.50円台まで反落しました。

東京時間にはいってユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1810台まで、ユーロ円は130.30円付近まで下落しています。

今日の予定

今日の海外時間には独/ユーロ圏・4月消費者物価指数(確報値)、米・4月住宅着工件数/建設許可件数、米・4月鉱工業生産/設備稼働率の発表と、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ジョルダン・スイス中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp