年間を通して温暖な気候に、澄み渡った青い海を見下ろす山々がそびえ立つハワイは、観光地として不動の人気を誇る。自然豊かな南国の地で、バカンスを過ごしたり、リタイアをしてからの人生をゆっくりと過ごしたりするのは誰にとっても憧れだ。

その夢を実現するのに重要な現地での不動産選びだが、異国の地での手続きは、取引習慣の違いや言葉の壁など、何かとハードルが高い。しかし、エスクロー(Escrow)と呼ばれるサービスを活用すれば、ハワイの地での拠点を手にすることも現実味を帯びる。日本ではまだ馴染みのないエスクローとは一体どのようなサービスか。

憧れのハワイ不動産 異国の取引をサポートしてくれるエスクローとは?
(画像=リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ)

安定した上昇基調が続く魅力的な不動産市場

まず、不動産の取引サービスについて知る前に、ハワイの不動産市場の状況を確認しておきたいところだ。1990年代のバブル崩壊後、「失われた20年」を経験した日本では、不動産価格の下落基調に歯止めがかからない状態が続いた一方、ハワイの不動産市場は、1980年代終盤からの30年間、細かい騰落はあるものの、基本的にずっと価格上昇が続いている。この間、世界経済を震撼させたリーマンショックが発生し、一時、不動産価格の上昇ペースも停滞したが、その後はいち早く回復傾向に乗っている。

安定した上昇基調を不動産価格がたどるには、小さな島国という立地条件で、住宅の供給に限りがあることが要因として挙げられる。その限られた供給に反して、現地在住者や渡航者の数は年々増加しており、力強い需要が不動産価格を支える構造だ。ハワイ州観光局によると、2017年にハワイを訪れた観光客数は前年比5%増の約938万人と過去最高を記録した。このうち日本からは150万人以上が訪れ、ハワイは旅行関連の雑誌やウェブサイトだけでなく、ファッション誌から週刊誌、情報番組などまで幅広く取り上げ、人気に拍車がかかる。              

憧れの不動産所有を現実にしてくれるエスクロー

ハワイに一度でも足を踏み入れたことがある人ならば、その地に拠点を構えることを夢見るだろう。あるいは、根強い人気を捉え、マイナス金利が続く日本から、有望な投資先を求めて、安定した成長が続くハワイの不動産市場に目を向ける動きもある。

しかし、いざ居住あるいは投資向けに物件に目星がついたところで直面するのが、決済や物件の引き渡しまでトラブルが発生せずにスムーズに手続きができるかどうかという問題だ。無事に不動産の受け渡しが完了するまで常に不安を抱えなければいけないことは回避したい。特に、活況を呈する市場においては、事情に精通しない買い手にとって不利な取引を強いられることが発生する恐れがある。取引の公平性を保つために設けられた制度が「エスクロー」で、第三者が売主と買主の間に入り、手続きを代行するというものだ。特にハワイでの不動産取引では、政府から認可を得たエスクロー会社を介して取引することになっている。

さらに具体的なエスクローのサービスについて紹介すると、購入物件に修繕の必要がないかどうかの検査、売主のローン残高の支払い、固定資産税や管理費の清算を請け負う。こうしたプロセスを無事に経て、いざ不動産の購入段階になれば、エスクローを担う会社が売買代金を買主から預かり、売買の際に必要な経費を計算し、売主への支払いを実施する。

中立的な第三者(エスクロー)が介することで、物件の決済、引き渡しの安全性が担保され、安心して異国の地での不動産購入にも踏み切れるようにサポートしてくれるというわけだ。日本では銀行などの金融機関でエスクローサービスを提供しているケースもあるが、エスクローに関する法整備が進んでおらず、馴染みが薄い一方、ハワイを含め米国ではエスクローの利用が一般的である。

エスクローを通じて夢のハワイ不動産オーナーへ

堅調な不動産市場、場合によっては節税効果も見込めるハワイ不動産の購入は、投資先の1つとして検討に値するだろう。さらに、安心して取引を支えてくれるパートナーともなりうるエスクローというサービスの充実も、南国ハワイでの不動産オーナーの夢を現実に近づけてくれるに違いない。