昨日の海外時間には、米財務長官らがドル高を歓迎するような発言を行いましたが、市場はほとんど反応せず、米長期金利が低下したことからむしろドル売りが優勢となりました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

昨日もご紹介したように、4月後半からのドル円の上昇は、基本的には米長期金利の上昇に沿ったドル高主導で進んできました。しかし東京時間18日午前に3.26%台まで上昇した米30年債利回りは、その後反落して現在は3.19%前後となっています。一方昨日のドル円の上昇の要因は、米中貿易戦争懸念の後退と、週末の世論調査で安倍首相の支持率が40%台を回復したことと見られますが、これらの材料に関しては、追加的な材料は出てきていません。したがって、今後も米長期金利の低下傾向が続けば、ドル円も新たなレンジの下限と見られる110.00円程度まで下落すると予想できます。

戻り売りを待つ

昨日は111.45円付近でドル売り円買いのポジションを作りたいと考えましたが、残念ながら5銭あまり届かず、現在ポジションはありません。引き続きレンジ下限付近までの調整があると予想して111.25円付近で戻り売りをしたいと考えています。損切りラインは111.55円です。

海外時間からの流れ

欧州時間、序盤からイタリアを始めとする欧州周辺国国債が売られたことからユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1710台まで、ユーロ円は130.40円台まで下落しました。この間ドル円は111.40円近くまで上昇したあと111.30円を中心としたもみ合いとなっています。その後イタリア国債が一旦下げ止まるとユーロの買戻しが優勢となって、ユーロドルは1.1760台まで、ユーロ円は130.90円付近まで反発しました。

NY時間にはいって、ムニューシン米財務長官が「長期的に強いドルは米国にとって良いこと」と述べましたが、市場はほぼ無反応でした。その後米長期金利が低下を始めると、円買いが優勢となって、ドル円は111.10円付近まで、ユーロ円は130.70円まで下落しました。この間ユーロドルは1.1770台まで上昇しています。東京時間23時過ぎに、クドローNEC委員長が「強くて安定したドルは投資を呼び込む」と述べたことからややドル買いが強まって、ドル円は111.20円台まで反発し、ユーロドルは1.1740台まで下落しました。この間ユーロ円は130.50円台まで下落しています。

今日の予定

今日の海外時間にはリイカネン・フィンランド中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp