昨日の海外時間には、イタリア次期政権がユーロ圏離脱を唱えるエコノミストを財務相に起用する可能性が報じられてユーロ売りが強まりました。またトルコの中央銀行の独立性に対する懸念が強まっていることからトルコ・リラは急落しています。
今後の見通し
6月24日にトルコでは大統領選挙が実施されます。現職のエルドアン大統領が再選される見通しですが、同大統領は選挙の勝利した場合は、金利政策により多くの責任を負う、としていることから、格付け機関は中央銀行の独立性に対する懸念を強めています。昨日大手格付け会社の1社フィッチが格下げの可能性を示唆したこともあって、このところ軟調となっていたトルコ・リラの下げが加速しました。海外時間にトルコ円が23円台後半まで下落していたこともあって、東京時間早朝にはFX取引の損切りを巻き込む形で薄商いの中トルコ円は22円台まで大きく値を崩しました。その影響で東京時間にはいってからも全般的にポジション調整と見られる円買いが強まっています。ドル円は上方にシフトしたレンジ下限の110円付近までの下落が予想されます。
110円付近までの下落を見込む
昨日は111.25円付近でドル売り円買いのポジションを作りたいと考えていましたが、欧州時間に111.20円手前から反落を開始したことから111.00円でドル売りポジションを作りました。引き続き110円付近までの下落あると予想していますので、損切りラインを持ち値の111.00円に置いて一段の下落を待ちます。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、米長期金利が上昇したことからドル買いが優勢となって、ドル円は111.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1750台まで下落しました。米長期金利が伸び悩む展開に移行する中、イタリア国債利回りがやや低下を始めたことからユーロ買いが優勢となって、ユーロドルは1.1830付近まで、ユーロ円は131.30円台まで上昇し、ドル円は110.90円付近まで反落しました。その後米長期金利がやや低下すると円買いが優勢となって、ドル円は110.80円付近まで、ユーロ円は130.80円台まで下落しました。
NY時間にはいって、イタリア財務相候補にサボナ氏浮上と報じられ、同氏がユーロ離脱に備えプランB策定を主張している、とされたことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1760台まで、ユーロ円は130.60円付近まで下落しました。一方ドル円は米長期金利が反発したことから 111.00円台まで上昇しました。
昨日、大手格付け会社がトルコのエルドアン大統領が金融政策への影響力を強めることを示唆したことに警戒感を示したことからトルコ円は23円台後半まで下落していました。今朝方個人投資家の証拠金取引に絡んだストップ・ロスを巻き込んで22円台前半まで急落しました。
東京時間にはいってから、仲値決めまではドル円は堅調に推移しましたが、その後クロス円を含めて全般的に円買いが強まっています。
今日の予定
今日の海外時間には独/ユーロ圏・製造業/サービス業PMI(速報値)、英・4 月生産者/消費者/小売物価指数、米・4月新築住宅販売件数の発表があるほか、米FOMC議事録公表の公表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp