あなたも「お宝保険」を持っているかも

「お宝保険」という言葉を聞いたことがありませんか。これは、予定利率が高かったころに加入した保険のことです。予定利率の違いによる保険料の違いは先ほどの例で一目瞭然ですね。保障を低い保険料で得られているため「お宝」なのです。

これが、古き良き時代に加入した保険は、安易に解約しない方がいいといわれるゆえんです。一度、保険契約をいつ契約したのか確認しておくとよいでしょう。平成8年(1996年)ですら、予定利率は2.75%です。現在の1%に比べれば違いは大きいですよね。

一方、保険会社は、昨今のような資金の運用環境が芳しくない状況(ここ1年ほど株式運用は好調ですが)でも、契約者が解約してくれない限り「お宝保険」の契約を打ち切ることができません。高い予定利率を下回るような運用環境で生じるのが「逆ざや」です。予定利率に見合う運用結果が得られなくても、保障内容が変わるわけではないため、保険会社の負担が大きくなることを指しています。

この先の予定利率は・・・

現在の1%という予定利率も十分低く感じますが、残念ながらこの予定利率がさらに下がっても不思議ではない状況です。ここ2年ほど標準利率のベースである期間10年の国債の利回りは1%を割り続けているからです。

昨年、標準利率を引き下げて1%にしたばかりですので、ものすごく近い将来に再引き下げするということは考えにくいですが、そんなことがあっても不思議ではないという認識を持っていた方がよいでしょう。

予定利率が下がることは、新たに契約する保険料の上昇を意味します。予定利率が変わるような場合はたいてい新聞等でニュースになりますので、今後は「予定利率」という言葉に少し敏感になっておくとよいでしょう。

予定利率が低い時代の生命保険との付き合い方

予定利率が高い時代の保険契約は、結果的には貯蓄の要素がかなりありました。仮に途中で解約しても解約返戻金が払い込み保険料を上回るケースが多々あったからです。しかし、予定利率が1%の現在では、保険に貯蓄性を求めるのは大げさに言うとナンセンスです。加えて、保険金請求に必要な手続きと保険金を得られるまでの時間軸を考慮すると、預貯金の方が機動力に優れる場合が少なくありません。

節税や相続、事業承継対策といったはっきりした目的がある場合は別ですが、保障以外のものを求めて保険契約を新たに締結するのは得策ではないでしょう。

一方、現加入契約が「お宝保険」なのかどうかは知っておくべきです。予定利率1%の時代に3%程度の予定利率ならば、契約を継続する価値が大きいことは言うまでもありませんね。