4月15日、東京ディズニーランドが開業35年を迎えた。記念日を祝うため、「ハッピエスト・セレブレーション」コンサートツアーが、ディズニーリゾートを皮切りに大阪・福岡など全国11か所で開催される。

4月16日には都庁をミッキーとミニーが表敬訪問、小池都知事が出迎えた(ちなみに都知事は、ウォルトディズニーを敬愛している)。ミッキーとミニーは35周年PRのため全国を回り、お祭りムードを盛り上げる。

一方、経営母体のオリエンタルランドは、浮かれ気分ではいられない。園内の混雑問題、ますます激しくなる競合との闘いなど課題は山積だ。

ディズニー,USJ
(画像=jum ruji/Shutterstock.com)

混雑が「夢の国」を現実に引き戻す

83年の開園以来、80年代の入場者数は1500万人を下回る水準だった。現在は4年連続で3千万人を超えている。3千万人は、2014年度の長期ビジョン「2023ありたい姿」の達成目標だ。前倒しで達成した結果、施設のキャパオーバーを招き、慢性的な混雑状態が続く。

最近では、ファストパスも開園後すぐに締め切られ、長蛇の列に並ばなければならない。「お目当てのアトラクションがあまりの待ち時間で諦めた」と、悲嘆にくれる声が聴かれる。抜本的な解決策が講じられない中で、かつては1位を誇った満足度も、13位まで低下した(日本生産性本部調査より)。

オリエンタルランドは、は3月から年間パスポートの価格を9.3万円から8.9万円へ値下げ(大人料金・両パーク利用可)、その代わり夏休みなど繁忙期の利用に制限を設け、混雑の平準化を促す。それでも、所詮は一時的な弥縫策に過ぎない。訪問客の満足度を維持しつつ、今まで以上の集客を確保するには、エリアを拡げアトラクションを充実させるしかない。

パーク面積を一挙に3割拡張

オリエンタルランドは4月15日、ディズニーランド・シーの3割をプレスリリースした。1983年のオープン当時はディズニーランドのみの46ヘクタールだったが、現在はディズニーシーを含め100ヘクタールを超えている。これをさらに3000億円をかけて広げようということだ。用地は、駐車場を立体化することで捻り出す。

拡張エリアには「アナと雪の女王」など新しいコンセプトのアトラクションを増設する。一方で、かねてより噂されていた「第3のパーク」「テーマは空」に関しては否定した。エリア拡張の狙いは混雑緩和だけではない。国内テーマパークのほとんどが苦境に陥り、東京ディズニーが一人勝ちしていたのは昔の話だ。現在、競争は激化している。

一時経営危機に陥っていたユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、プロクター&ギャンブル出身敏腕マーケターの森岡毅CMOによるてこ入れ策によりV字回復した。入場者数は4年連続で増加し、1500万人前後に達している。

ディズニーのライバルは「ディズニー」

ライバルは競合パークだけではない。上海・香港、さらには本家のディズニーランドとも戦っていかなければならない。

2016年にアジア3番目のディズニーランドが上海にオープンした。当初は「東京の敵ではない」と侮る声もあったが、問題視されていた従業員サービスも大幅に改善、最新アトラクションを前面に押し出し、開園2年目には入場者数1100万人を達成した。

運営サイドは強気の見通しを崩していない。今年6月には、33%もの値上げを予定している。これを原資として、6月には「トイストーリー」をテーマとしたパークをオープン、さらに今後も拡張を予定している。中国共産党も、相当の力の入れようだ。アメリカディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者が訪中した際には、習近平氏がわざわざ会見に応じている。

オリエンタルランドは、拡張計画の詳細を今後詰めるとしている。「これまでの35年とは別次元の体験価値を提供する(加賀見俊夫会長コメント)」ことができるかに、成否はかかっている。(ZUU online 編集部)