(本記事は、安井元康氏の著書『会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン』すばる舎、2018年5月28日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン』】
(1) 自己投資を始める良いタイミングとは?
(2) 1000円で超一流の頭脳に触れられる身近なものとは?
(3) 「スクールに通う=自己投資」の3つの落とし穴
(4) 株を始める前に考えたい「効率の良い投資対象」とは
1000円前後で一流の頭脳に触れられる
普段本を読む習慣はありますか?
社会人になってから、本を読むことから遠ざかってしまった人も多いかもしれませんが、これは非常にもったいないことです。
本を読まない理由は、時間や余裕がないなど様々だと思いますが、自己投資をする上では、読書が何よりも効率的で、かつコスパも良い勉強方法なのです。
一般的に、本を出す著者はそれぞれの分野で実績のある人が多いものです。そうした著者の頭脳の一部が開示されている書籍を、フルに活用しない手はありません。
著名人や実力のある人と直接的に知り合いになったり、話をしたりする機会はそう多くはないかもしれません。
しかし、本に関しては、著者とまったく接点がなかったとしても、直接著者と対峙することができるのです。
しかも、1冊たった1000円前後からで、一流の知識や知恵に触れられるわけですから、こんな効率の良い投資対象はないでしょう。
ボロボロになるまで読み倒す
なお、先ほどあえて「対峙」という、ちょっと大げさな言葉を使いました。
それは、自己投資の一環として本を読むのなら、すべてのエッセンスを頭脳に叩き込むくらいの勢いで臨むべきであり、まさに著者との「知的格闘技」と認識しているからです。
著者の主張で、自分と合う部分、合わない部分はどこか。自分の生活や仕事に応用できる箇所はどこか。
そのような視点で読んでいくと、かなり頭が疲れます。
疲れるのは脳を駆使しているためですから、成長しているということとイコールなのです。
私自身も、まったくの異業種・未経験分野である戦略コンサル会社に転職をした際に、読書が非常に強力な武器を与えてくれました。
当時、戦略コンサル業界の第一人者である方数名の著書を、それこそ全部読み込みました。様々な視点や業界で成功する考え方を、とことん頭の中に叩き込み、著者の方たちと“格闘”させていただいたものです。
これを、現役戦略コンサルタントの方を見つけて話を聞こう、などとやっていると、時間も労力もかかり、結局得るものがなかった、ということにもなりかねません。
本はネットでも本屋でも、すぐに手に入れることができます。「身近な知り合い」である本を活用しない手はありません。
一度買った本は、ボロボロになるまで使い倒す覚悟で、エッセンスをすべて吸収してしまいましょう。
線を引く、書き込む、付箋を貼る...
買った本はきれいに読む必要はありません。参考に、私の本の読み方をお伝えします。
・重要部分に線を引く。そのときに思ったことを空白にメモしておき、読み返すことで、自分の考え方の変化を見る目安にもする
・異なる色の付箋を使う。たとえば色別に、知識として覚えたいこと、著者の意見に賛成の部分、反対の部分、熟慮したい部分などに分類し、思考整理に役立てる
・知人と同じ本を同時に読み、考えをぶつけ合う
こういったやり方をしていくと、本を読むという行為をさらに昇華させ、「本から学ぶ」レベルに持っていけるものです。
なお、本を読む行為自体が集中力を要する作業ですから、読む時間や場所にも気を配りましょう。
たとえば、一番集中できる早朝に、自宅で線を引きながらじっくり読む。
考える・読み返す場面では、通勤時間を活用するなど、自分にとって何が効率的かを模索してみてください。
そうすることで、たったの1000円ちょっとで、予備校に通う以上の効果を発揮する可能性もあります。
いかに本と格闘するかで、成長が決まるようなものなのです。
安井元康(やすい・もとやす)
株式会社MCJ取締役社長兼COO。明治学院大学を卒業、GDH(現株式会社ゴンゾ)に入社。翌2002年株式会社エムシージェイ(現MCJ)に転職。同社のIPO実務責任者として、2004年東証マザーズへ上場達成後、26歳で執行役員・経営企画室長(グループCFO)に。その後、ケンブリッジ大学大学院でMBAを取得。2007年、株式会社経営共創基盤に入社、2008~2010年には、ぴあ株式会社の財務担当執行役員、2013年に金融庁検査局専門調査官に就任。2017年より現職。著書に、『非学歴エリート』『下剋上転職』(いずれも飛鳥新社)、『99.9%の人間関係はいらない』(中央公論新社)がある。