(本記事は、安井元康氏の著書『会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン』すばる舎、2018年5月28日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン』】
(1) 自己投資を始める良いタイミングとは?
(2) 1000円で超一流の頭脳に触れられる身近なものとは?
(3) 「スクールに通う=自己投資」の3つの落とし穴
(4) 株を始める前に考えたい「効率の良い投資対象」とは

会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

メリットとデメリットを十分に吟味する

自己投資の王道である、予備校などのスクール通い。実際に、「スクールに通う=自己投資」と考えている人も多いかと思います。

たしかに、スクールに通うことによって、安心感が生まれるのも事実です。

カリキュラムもスケジュールも決まっていますから、ある意味、任せておけば自分がたどり着きたい場所に連れて行ってもらえる感覚になります。

しかし、スクール通いには気をつけたいことがいくつかあります。

(1)お金がかかる
(2)時間が指定される
(3)安心してしまい、それ以外をやらなくなる

まず、お金がかかるの部分については、わかりやすいと思います。

当然、授業料やテキスト代がかかるわけですが、そこには交渉の余地はなく、決まったプランに申し込むケースが大半です。

身銭を切ることで、目標への強い覚悟が生まれるというメリットもありますが、多くの場合で非常に高額ですから、ここでハードルが高くなってしまって尻込みすることがあります。

本業に響いたら本末転倒

会社では教えてもらえない 一気に伸びる人の自己投資のキホン
(画像=g-stockstudio/Shutterstock.com)

2点目は、時間帯が指定されることについて。

たしかに、どんなに気が乗らなくても、「今日は授業の日」と予定に組み込まれたら、行かざるを得ません。強制的に勉強する時間をつくる、という意味では良いかもしれません。

しかし、スクール通いはあくまでも実務(仕事)の補完であると考えると、スクールに予定を振り回されるのは本末転倒です。

「仕事が残っているけれど、お金も払っているしスクールに行かなきゃ」と本業そっちのけにしたり、「今日は残業があるから行けない」と、続かなくなったりするのは、どちらも考えものです。

自分の人生の一部である自己投資の時間確保は、他人に押しつけられるのではなく、自主的に確保したいものです。

カリキュラムをこなすことが目的に

最後は安心についてです。

お金に対する痛みは、正直払ってしまえばそれっきりの面もある一方で、スクールに通っていることへの安心感は、ずっとついて回るものです。

一見、この安心感は良いものに見えますが、弊害があります。

スクールのカリキュラムをこなすことが、自己投資のすべてであるという勘違いをしてしまうことです。

スクールとは最短距離、最低限の労力で試験に受かることを念頭に、カリキュラムを組んでいます。それで十分というものではなく、最低限のものしかやっていない、という状態です。

しかし、合格後に、その分野で活躍できるかは、むしろ試験範囲の外にある知識、プラスアルファの部分が重要なのです。

スクールに通うのであれば、その位置づけをきちんと理解し、スクールに通う自分に満足しないようにしましょう。

物足りなくなったら有料に切り替える

私も20代前半の頃は、いかにお金をかけずに自己投資するかに腐心していました。

当時でさえ、無料のセミナーや講演会、ワークショップ、体験授業、さらにはネット上の無料のインタビュー記事や各種投稿記事などがたくさんありました。

現在であれば、YouTube等で無料の動画があふれていますし、MBAや専門大学院でも授業の一部を公開しているところがあります。

転職エージェントが主催する、転職やキャリアにフォーカスした講演会などに参加するのもいいでしょう。キャリアに関しての知識を深められます。

質の高いセミナーを開いている場所や、役に立つウェブサイトなどは、常にチェックするようにしましょう。

そうした体制を整えておけば、自分のスケジュールに応じて、興味の向くままに参加できるようになります。

ほかにも、仕事で出会う各分野のスペシャリストたちに、打合せ時間や雑談時間を活用して話を聞く、ということもできます。

実際に私は、監査法人や投資銀行の専門家、コンサルタント、機関投資家など、仕事で触れ合う方たちに、それとなく自分が知りたい分野の話を聞いて、「現場の生の声」の収集に努めていたものです。

また、社外で学ぶのはもちろんのこと、上司や先輩など、どんどんそういった「無料」の人脈を活用し、学びを深めていきます。

そうして、物足りなくなってきたら、有料に切り替える。それが、自分のレベルに合わせた、無理のない自己投資です。いろいろな情報を自ら探して集めていくうちに、視野が広がるというメリットもあります。

最初からお金をかけるのではなく、身の丈にあった費用感で実施していくのも、自己投資を習慣化するコツです。

安井元康(やすい・もとやす)
株式会社MCJ取締役社長兼COO。明治学院大学を卒業、GDH(現株式会社ゴンゾ)に入社。翌2002年株式会社エムシージェイ(現MCJ)に転職。同社のIPO実務責任者として、2004年東証マザーズへ上場達成後、26歳で執行役員・経営企画室長(グループCFO)に。その後、ケンブリッジ大学大学院でMBAを取得。2007年、株式会社経営共創基盤に入社、2008~2010年には、ぴあ株式会社の財務担当執行役員、2013年に金融庁検査局専門調査官に就任。2017年より現職。著書に、『非学歴エリート』『下剋上転職』(いずれも飛鳥新社)、『99.9%の人間関係はいらない』(中央公論新社)がある。