たった「1℃」の変化で目が回復する!?

即効セルフケア,森岡清史
(画像=The 21 online)

頭痛がする、かすんでよく見えない、目の奥が痛い──。私たちは、目の疲れを感じながらも忙しさにかまけてケアを怠り、今日もパソコンやスマホで目を酷使する。しかし、疲れ目を放置すれば目が回復しにくくなると、眼精疲労の専門家である森岡清史氏は警鐘を鳴らす。そうならないためにはどうすべきか。手軽で即効性のあるセルフケアをうかがった。

なぜ、温めるだけで目が回復するのか?

私たちは、水晶体と呼ばれるレンズの厚さを変えながらものを見ています。水晶体を厚くしたり薄くしたりすることで、ピントを調整しているのです。この調整する役割を担っているのが毛様体筋という小さな筋肉。毛様体筋は、遠くを見るときは緩くなり、近くを見るときに緊張して収縮するのですが、緊張した状態が続くと、カチカチに固まってしまいます。とくに現代人は、スマホなどから「光る情報」を目にとても近い距離で吸収し続けていますので、毛様体筋が固まりがちです。

毛様体筋がカチカチになると、目がしょぼしょぼする、ピントが合わない、目の奥が痛むといった症状が現われます。さらに、目の周りまで固くなると、血流が悪くなって筋肉が冷えていきます。その状態では、交感神経が過剰に働いて、顔から首の筋肉が緊張し、脳への血流が制限されてしまいます。それが、頭痛や肩こり、吐き気やイライラ、不眠といった不調の原因になるのです。

よく目が疲れたら遠くの景色を見ろと言われますが、一度カチカチになった毛様体筋は、遠くを見ても簡単には緩みません。

では、どうすべきか。最善の方法は、温熱タオルなどで目を温めることです。目を温めることで、毛様体筋がほぐれて血流が良くなり、疲労物質が取り除かれていくのです。すると、それまで崩れていた副交感神経と交換神経のバランスが良くなるので、全身までリラックスできます。

温熱タオルは、わざわざ電子レンジで温める必要はありません。温かいお湯にひたし絞ったタオルを目にのせるだけでOK。体温が一度上がるだけで、さまざまな身体の不調が改善するといわれますが、実は目も同じ。長時間温めれば、目の疲れをより効果的に取ることができるでしょう。

一方で、目薬や洗浄液を使うのはあまりお勧めしません。使用した瞬間は爽快感がありますが、汚れなどと一緒に涙まで洗い流されてしまうからです。

涙は、目の疲労を回復させる特効薬。栄養素も豊富で殺菌作用もある。さらに、涙の脂層が眼球の潤いを保ちます。ドライアイで悩む方々は、目を温めてみましょう。

森岡清史(もりおか・きよし)吉祥寺森岡眼科院長
名古屋市生まれ。都内病院勤務を経て吉祥寺森岡眼科を開設。1998年、眼精疲労治療室を併設。専門的治療が行なえる数少ない眼科には、全国各地から来院がある。『目を温めると身体が自然によみがえる!』(サンクチュアリ出版)など著書多数。バイオラバー素材のアイマスクなど眼精疲労を回復させる製品の開発・研究にも積極的。(取材構成:吉川ゆこ)(『The 21 online』2017年12月号より)http://shuchi.php.co.jp/the21/

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