(本記事は、山﨑拓巳氏の著書『お金のポケットが増える スゴイ! 稼ぎ方』かんき出版、2018年6月11日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『お金のポケットが増える スゴイ! 稼ぎ方』シリーズ】
(1)数値目標は設定しない お金を生むためのうまくいく考え方とは?
(2)自分を騙して自信を付ける方法とは
(3)仕組みづくりはトイレのスリッパを揃えて出ることから
(4)稼ぐ人と儲かる人の違いとは?
(5)世の中には「失敗」に対して2種類の反応をする人がいる あなたはどっち?
成功からも失敗からも学ぶ
学校ではカンニングはダメだと教えられる。
しかし、社会に出ると、うまくいっている人から学びなさいと言われる。その人のうまくいっている理由を見つけて、要はカンニングしろと教えられます。
うまくいっている人には必ず、うまくいっている理由があります。
それを学び抜くチカラが求められます。
「学ぶ」の原語は「真似ぶ」です。真似ることによって学ぶのです。たくさん稼いでいる人は、たくさん世の中の役に立っています。
どう動き、何が機能し、誰を喜ばせているのか?
また、それらのことをどんな仕組みに落とし込んで動かしているかを考察することも大切です。
コンテンツの素晴らしさだけではなく、なぜ、効果的にその仕組みが動いているか、という成功の裏側にある「人」の存在にも興味を持って欲しいです。
違う人が、同じことを、同じようにやったら、違う結果が出るのです。
仕組みだけでなく人という要素にも興味を持つと、仕事の深みが見えてきます。
かつて億万長者だった親戚の叔父さんに、「人の失敗した後を歩いてみろ」と教えられました。失敗した人は「アイデアを行動に移した人だ」と話は続きます。
「世の中の普通の人たちは、失敗した人を指さして笑っている。しかし、その人は行動に移すべく魅力的な何かをそこに見たからトライしたのだ。失敗した人の後を歩くと、その人がなぜそれをやろうとしたのか見つけられることがある。失敗例を『本来、凄い成功を遂げる予定だった』と仮定し、検証する方法がある。『それがチャンス』だ」
と教えられました。叔父の話を聞いて、お金を稼ぐということが非常に哲学的で、美しく感じました。
「ここを丁寧にやっていたら成功していた」
「時代に対して少し早すぎた」
「ライバルの存在に対する配慮が甘すぎた」
など、たくさんの学びがあるのです。
「自分だったらそうはしなかった」
「ここは踏みとどまるべきだった」
と失敗を反面教師にして、新たなる作戦を入手することもできるのです。
あるコンサルタントの言葉に「世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている。だからそれを分析しろ」というのがあります。
成功事例以外からも、学ぶことはたくさんあるのです。
他人の事例に学ぶ一方で、自分自身に降ってくるアイデアを軽く見てはいけません。すぐさまメモを取り、録音するのもいい方法です。
その瞬間のヒラメキを、今という時の隙間に封じ込めるのです。
後で確認すると色褪せて感じるかもしれませんが、消すことなく積み重ねておくといいでしょう。それらのカケラが、いつかキラキラと輝き始めることがあるのです。
今の時代、アイデアも方法もネットや書物の中にいくらでも書いてあります。SNSで知りたいとつぶやけば、たくさんの人が教えてくれる時代でもあります。
「HOW TOはグーグル先生に聞いてください。今日はそれ以外をお伝えします」という言葉をアチコチで聞きます。
ただ、「これだ!」と思ったことを、行動に移すことができるのか?
損益分岐点は数字上のものではなく、あなたが行動に移せるか否かの上に引かれている時代かもしれません。
まず、大前提の「心の初期設定」を開いてみてください。
「うまくいっている人から学ぶ!真似る!」「失敗例からも学ぶ!」そして、「自分のヒラメキを大切にする」に「レ点」が入っているか確認してください。
絶対に損をしないという発想を持つ
いくつかの事業を走らせ、トータルで黒字だったらいいという考え方の人もいます。
「10個のうち、1つが成功すればいい」
「9個失敗しても、次の1つで大成功すれば逆転できる」
という考え方です。
僕はどこかでこの考え方を否定しています。
すべてを黒字にしたい。
少額の利益だとしても、すべてを黒字にしたいと考えるクセがあるのです。
子どもの頃、両親が親しい人に騙されて、一文無しになった経験がそうさせているのかと思うときもあります。
僕は常に、「赤字」が怖いんです。
だから、世の中の経営者はネガティブな人が成功しているのでは、と思っているんです。
「もしもそうなったらどうしよう?」
「あれもダメになったらどうしよう?」
と恐怖心が働き、「もしも対策」を考えます。
もしも対策を万全にすると、気分は反転し、ポジティブに動き出す。
自分の力で何とかなることは何とかして、何ともならないことには身を委ねるのが本来のポジティブシンキングだと思うのです。
プロジェクトを運営していく上で「損益分岐点」と呼ばれる、「ここを超えると黒字ですよ、ここを下回ると赤字ですよ」という売上のラインを知ることは大切なことです。
たとえば、イベントを運営するとしましょう。
(1) お客さんが200名来ないと赤字になってしまう
(2)◯月◯日までに100名のオーダーが来てなかったら問題だ
(3)だから、それを第1ステップにして、進めていこう
そんな具合で、スケジュールと計画とリマインド、チェッキングを大切にやっていって欲しいと思います。
さらに言うと、お金を産んでいくキャッシュポイントと、信用を獲得していくトラストポイントの違いをハッキリさせることも重要です。
お金を産む前に、なにより信用を獲得することが大切です。
信用という畑で育て、収穫できるのがお金です。信用はトーナメント戦的に、がっついて培うものではないのです。
下心なく、その人と向き合い、お付き合いが始まるからこそ、人間関係はうまくいきます。なので、わざと下心を持たない姿勢を大切にしています。
下心がないほうがうまくいくってことで、持たずに人と接する......。
これを「下心がないのが下心」と呼んでいます(笑)。
本来は、誠意を誠意のまま持てるほうが好ましいのですが、偽善から生まれる善もあるのです。
スポーツの世界でよく使われる言葉ですが、自分のピークパフォーマンスを超えるプレーができる状態を「フロー」とか「ゾーン」と呼びます。
どうすればフローに入れるのか?ゾーンの再現性はあるのか?とさまざまな研究がされているのです。
人間は「数値目標」を目指している限りは、「フロー」とか「ゾーン」と呼ばれる状態に入るのはむずかしい、と聞いたことがあります。
売上目標とか、「今月、200万円を達成する」という数値目標では意欲がしぼんでしまうと。
では、数値目標でないなら、何を目標にしたらいいのか?
「テーマ目標」がゾーンに入りやすいらしいです。
テーマ目標とは「こうあろう」というあり方の目標です。
「毎日、発見がある自分!」「昨日の自分を超える!」「目の前のお客さんを笑顔に!」というテーマを軸に行動する。
「その人に好かれる前に、自分がその人を好きになる」「その人が少し驚くコミュニケーション」といったテーマ目標を決めると、何かが変わる。
その変化が必ず「数値目標」に影響を与え、それをも達成できるという考え方です。
では、テーマ目標はどのようにして設定するのでしょうか。
まず、どうすれば目標が達成できるのか、何をやればいいのかという「TO DO=タスク」を書き出し、リスト化する。
次に、それらをどんな自分でやっていけばいいのかという「TO BE=あり方」を確認する。
ここで大事なのは、「自分は何のために働くのか?」「何のために稼ぐのか?」「上がった利益は何に使っていくのか?」といった「なぜ、この仕事をやるのか?」という理由を明らかにすること。
さらに突っ込んで、「誰を喜ばせたいのか?」「その収益は、誰を笑顔に変えていくのか?」まで考えると、頑張る軸が安定します。
山﨑拓巳(やまざき・たくみ)
1965年三重県生まれ。広島大学教育学部中退。20歳で起業。22歳で「有限会社たく」を設立。以来30年間、多岐にわたり事業を同時進行に展開中。現在まで40冊以上を上梓し、累計140万部のベストセラー作家でもある。主な著書に、『さりげなく人を動かすスゴイ!話し方』(かんき出版)、『やる気のスイッチ!』『人生のプロジェクト』『気くばりのツボ』(いずれもサンクチュアリ出版)などがある。講演も大人気を博しており、「凄いことはアッサリ起きる」‐夢‐実現プロデューサーとして、コミュニケーション術、リーダーシップ論、メンタルマネジメントなど多ジャンルにわたり行い、世界でのべ200万人以上に向けてスピーチ。