iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)などの自助努力で資産を形成する制度が充実しつつあります。いずれも対象商品に投資信託が含まれていますが、それぞれ仕組みが異なります。iDeCoやつみたてNISAを始めるにあたり、制度の特徴や投資信託を活用するポイントをみていきます。

iDeCoとつみたてNISAの概要

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(写真=Billion Photos/Shutterstock.com)

まずは、iDeCoとつみたてNISAの2つの制度について確認しましょう。

iDeCoはもともと自営業者や企業年金制度がない会社員向けの制度でした。しかし、2017年からは加入対象が広がり、老後に向けて広く注目を集める私的年金制度となりました。

掛金がすべて所得控除になる、運用益が非課税になる、60歳以降の受給時に退職所得控除または公的年金等控除が受けられるなど、iDeCoにはさまざまな税制優遇があります。一方で、60歳までは原則として引き出すことができないため、資産の流動性は高くないことには注意が必要です。

一方、つみたてNISAは2018年から始まった、投資方法を積立方式に限定した新しい少額投資非課税制度です。対象商品が厳選されており、また運用益が非課税になるのが特徴です。iDeCoと比べると、掛金が所得控除にならないので税制優遇の面では劣りますが、20歳以上であれば年齢による制約がないことや、いざというときの換金性など、資金の自由度では優位性があります。

iDeCoとつみたてNISAを合わせると

iDeCoとつみたてNISAは併用することができます。併用する場合、どのような効果があるのでしょう。現在40歳のAさんが年率3%の商品を毎月4万円ずつ60歳まで積み立てを行い、60歳で受け取る場合で考えてみます。60歳時点の積立金額は960万円とします。

毎月2万円をiDeCo、2万円をつみたてNISAで積み立てをする場合、「大和証券つみたてシミュレーション ~税制メリット版~」のシミュレーション(http://www.daiwa.jp/tsumitate/simulation/) で計算してみると、

運用評価額:13,106,422円
投資元本:9,600,000円
運用益:+3,506,422円

となりました。その一方、運用益に対する非課税措置がない通常の口座(特定口座など)で運用した場合、

運用評価額:12,405,138円
投資元本:9,600,000円
運用益:+2,805,138円

となりました。運用益非課税によるメリットは、

3,506,422円-2,805,138円=701,284円

と70万円以上です。さらに、iDeCoの場合は、掛金が全額所得税控除になるというメリットもあります。上の例では、毎月2万円、年間24万円の掛金を拠出すると、所得税が10%、住民税が10%の人で、毎年約4万8,000円の税金が減額されることになります。

それが20年間ずっと続くので、結果として約70万円得することに加え、4万8,000円×20年=96万円の税金が減額され、実質約160万円も得することになります。

※上記の税務上のメリットは、所得水準などにより金額が変わります。実際の会計・税務処理につきましては、税理士など専門家へお問い合わせください。

iDeCoやつみたてNISAで投資信託を選ぶ。どのように運用するのがよいのか

運用益が非課税になるメリットは、当然運用益が増えれば増えるほど大きくなります。また、長期的に運用するiDeCoとつみたてNISAは大きな複利効果が期待できます。そのため、これらの制度を利用するときには、高いリターンが期待できる投資信託を選びたいところです。ただし、高いリターンが期待できる投資信託は、リスクも大きくなりますので、自分がどのくらいリスクをとれるのかをよく考えておくことが大切です。

複利効果というのは、次のようなことを指しています。例えば、100万円を年率10%で運用すると、1年後には110万円になります。2年後には110万円に10%の利益が上乗せされ121万円になります。つまり、1年目の利益が10万円だったのに対し、2年目の利益は11万円になります。これが複利効果です。

もちろん、投資信託が良いといっても偏りすぎると資産のバランスが悪くなるおそれがあります。その場合は、これらの制度とは別に、例えば預貯金や債券などのリスクの低い商品を保有してバランスを取るのがよいでしょう。自身の資産全体を俯瞰して考えることが大切です。

iDeCoとつみたてNISAを効果的に活用しよう

iDeCo、つみたてNISAともに非常に優れた制度ですが、これらの税制優遇は、自分で申し込まなければ利用することはできません。今後はますます自己責任・自助努力での老後の資産形成が求められることになります。将来に不安がある人は、これら2つの制度をうまく利用することを考えてみてはいかがでしょうか。(提供:マネーLife Style


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