(本記事は、藤本壱氏の著書『株初心者も資産が増やせる高配当株投資』自由国民社、2018年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

高配当株が多い業種と少ない業種

株初心者も資産が増やせる高配当株投資
(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)

実績配当利回りが高く、高配当株が多い業種の特徴をまとめておきます。

●証券

3年連続で、証券が圧倒的に業種のトップになっています。

証券会社の収益は主に株式の売買手数料や投資信託の手数料なので、株式市場が好調になると業績が良くなり、配当が増えます。

過去3年間の株式市場は比較的好調で増配企業も多く、配当利回りが高くなりました。

中でも、丸三証券(8613)、極東証券(8706)、岩井コスモHD(8707)などが高配当利回りとなっています。

ただ、丸三証券は特別配当によって利回りが上がっているので、株価が今の水準を保つと仮定すれば、今後は配当利回りが下がる局面もありそうです。

●商社

商社も高配当を出している銘柄があります。2016年と2017年は2位、2018年は4位と、上位をキープしています。

商社は業績と比べて株価があまり上がらない傾向があり、相対的に配当利回りが高くなりやすくなっています。

伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、住友商事(8053)、三井物産(8031)など、大手商社の実績配当利回りが3年連続で3%を超えています。

また、2019年3月期の予想配当利回りも、本書執筆時点(2018年6月19日)で右の4社はいずれも3.7~4.4%と高く、連結予想PERも6~8%台とかなり割安な水準といえます。

●保険

保険は2018年に2位になっています。2016年は5位、2017年は8位で、比較的上位で安定しています。

中でも、MS&ADインシュアランスHD(8725)、ソニーフィナンシャルHD(8729)、東京海上ホールディングス(8766)の配当利回りが高くなってきています。

各社とも、2016年3月期~2018年3月期は売上や利益が伸びて、株価上昇とともに増配してきており、高利回りの状態を維持できています。

MS&ADインシュアランスHDと東京海上ホールディングスは0.67倍、0.92倍と、PBRが1倍を割っています(2018年3月期実績)。

●銀行

銀行株は2016年に4位、2018年に6位に入っています。あおぞら銀行(8304)が、3年連続で4%超えの高い配当利回りを維持しました。

また、大手都市銀行株も、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を除いて、おおむね3%台の配当利回りを維持しています。

ただ、保険とは異なり、あまり増配はしていません。

日銀のマイナス金利政策の影響で、銀行株は2016年の春から秋にかけて低迷しましたが、それ以外の期間では株価にあまり大きな動きはありませんでした。

そのために、配当利回りが安定する結果になっています。

●石油

石油は以前から配当利回りが高い業種で、現在もその流れを引き継いでいます。合併が進んで銘柄数は少なくなっていますが、各銘柄とも配当利回りが比較的良いです。

中でも、JXTGホールディングス(5020)は株価の動きが比較的安定していて大きく下がることが少なく、高配当株投資に向いています。

配当利回りが低く、高配当株が少ない業種もあります。全体的に見て、ディフェンシブな業種の方がその傾向があります。

●鉄道・バス

鉄道・バスは3年連続で実績配当利回りが最下位になっています。

鉄道やバスはディフェンシブ株の代表的な存在で、景気の影響は受けにくく、業績は比較的安定しています。

配当は最近でこそ徐々に引き上げてはいますが、安定した配当を出す傾向があり、配当性向は全体的にやや低い水準です。

一方で、株価は2013年から2015年にかけて大きく上昇し、その後は高値圏で推移しています。そのため、株価が高い割に配当が少なく、配当利回りが低い状態になっています。

●食品

食品株は、2016年と2018年が下から3番目、2017年が4番目と、低い順位が定位置になっています。また、ディフェンシブ株の代表的な存在でもあります。

以前は株価があまり変動しない業種でしたが、2015年から2017年にかけて、全体的に大きく上昇しています。一方で、配当はさほど増えておらず、配当利回りが平均的に低い状況になっています。

●サービス

サービス業は、銘柄数が圧倒的に多い業種です。範囲が広いためですが、ソフトウェア系やインターネット系の企業が多くなっています。

成長中の企業も多く、それらの企業では利益を配当にあまり回さず、今後のための投資に使っているところが多いです。

そのため、サービス業全体で配当利回りを平均すると、低くなります。

したがって、サービス業は高配当株投資にはあまり考えられません。ただ、成長して売上や利益が伸びてくれば、株価も上がるので、対象に入ってきます。

●電力

電力株は、かつてはディフェンシブ株の代表といえる存在でした。

株価も高値安定という感じで毎年安定した配当を出していて、利回りも2%程度はありました。

しかし、東日本大震災の影響で業績が悪化し、配当も引き下げられたため、現在では配当利回りはあまり高くない状態になっています。

特に、福島第1原発の事故を起こした東京電力は事故直後から株価が約75%も急落し、ダメージが大きく、2012年3月期以降は無配に転落しています。

ただ、原子力発電所の再稼働が進んだ場合は、コストが下がって利益が増え、配当が増えるかもしれません。本書執筆時点では株価も下がっていますので、将来の高配当株候補として頭に入れておくと良さそうです。

●高配当株投資に適した業種

ここまでで、業種による配当利回りの傾向について述べてきました。

では、高配当株投資に向いている業種は何だといえるでしょうか?

高配当株投資をする上で、配当利回りが高いことは重要ですが、業績の変動が大きすぎて状況によって株価や配当の急落があり得るような業種は、避ける必要があります。

証券株は株式市場の動向に大きく左右される景気敏感株であり、株価の変動が激しく、業績が悪化すれば配当も大きく減る恐れがあります。

したがって、短期的な波にうまく乗ることができれば良いですが、中長期的な高配当株投資にはあまり適していません。

一方、銀行株はここ数年は株価変動があまりなく、安定しています。現状はマイナス金利の影響を受けていますが、将来的に市場金利が上昇すれば、業績が上がり、株価や配当が上がることが予想されます。

したがって、長い目で見た高配当株投資であれば、銀行株は適していると考えられます。

保険株も銀行と似た状況にあります。全体的に銀行よりはPERが高めですが、極端に高いというレベルではないので、高配当株投資に比較的向いていると考えられます。

ただし、リーマンショックのように金融業界に大打撃となるような事態になると、銀行株や保険株は大きく下がる恐れがあります。この点は頭に入れておく必要があります。

●高配当株投資に適していない業種

ディフェンシブ株は全般的に配当利回りが低く、高配当株投資に向かない状態になっています。

また、景気敏感株の中で、配当利回りが高い銘柄も避けるべきだと思われます。景気敏感株は業績の変動が大きく、株価や配当も大きく上下しやすいです。

今の配当利回りが高くても、株価が大幅に下落すると元も子もありません。

また、株価が大きく下がるということは、業績も悪化しているはずで、配当も大きく減る恐れがあります。

株初心者も資産が増やせる高配当株投資
藤本壱(ふじもとはじめ)
1969年兵庫県伊丹市生まれ。神戸大学工学部電子工学科を卒業後、パッケージソフトメーカーの開発職を経て、現在はパソコンおよびマネー関係の執筆活動のほか、ファイナンシャルプランナー(CFPR認定者)としても活動している。著書に「新興市場・2部銘柄で儲ける株」「上手に稼ぐカラ売りテクニック」「個人投資家が勝てる低位株投資」「実戦相場で勝つ!株価チャート攻略ガイド」「FXはチャートで勝つ!」「Excelでできるらくらく統計解析」(以上、自由国民社)、「プロが教える!金融商品の数値・計算メカニズム」(近代セールス社)などがある。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます