10万部を突破したベストセラー『鬼速PDCA』(クロスメディア・パブリッシング)の発売から2年弱が経った。鬼速PDCAもこの2年でさらにPDCAが回ってきたはずだ。発売からのアップデート部分やよくある疑問・質問、ZUUの文化でもある「なるほどシート」から代表冨田のコメントをピックアップして質問をぶつけていく。全7回の特集を通じて、深掘りした鬼速PDCAをお届けしよう。(聞き手:押田裕太)

冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。

「達成欲求の罠」多くの人たちは「緊急重要領域」に時間を使っている

――鬼速PDCAについて全6回に渡ってお話しいただきましたが、「鬼速PDCA」をより加速させるために意識すべきことはありますか?

まずは、時間の使い方ですね。これは本当に難しいことですが、多くのタスクに追われている状態を「達成欲求の罠」と呼んでいます。

人間は多かれ少なかれ達成欲求がありますから、
「多くのタスクに追われていて状態が楽しい!」
「自分は多くのタスク処理出来ている!」
「金曜日までに終わらないといけない業務が時間5分前にギリギリ間に合った。今週も頑張ったぞ!」
こんな風に思ってしまうわけです。

「達成欲求の罠」というのは、達成する事象が間違ってとまでは言えないけど優先度が低かったり、重要度が低かったりするものだと気をつけないといけません。仕事の成果へのインパクトは少ないにも関わらず、それでも達成感、やりがいを感じられてしまいますからね。もしかしたら、「達成中毒」「緊急ドラッグ」みたいに言い換えても良いのかもしれません。

もちろん、重要性が高いものを達成することに向かっている時間であれば良いのですがね。さらには、非緊急重要領域に取り組んでいるときであれば最高です。やっていればどんどんスイッチが入ってワクワクしてきますので。それが本質的な時間だと思います。

ただ残念ながら、緊急非重要領域に追われてしまっていることが多いと感じます。色々なものに追われるとタイムリミットがありますから、達成感を感じやすいのです。ちょっと間違った、ある種「変な達成感」が出てしまうというわけです。これは非常に起こりがちです。あとはギリギリでスイッチが入って達成感を感じてしまうケースもありますね。常に緊急非重要状態に追われていて、それが足りなくなってくると「あれ、ちょっと緊急性が足りないな……」と思ってしまっているような状態です。

――その状態から脱却するためにはどうすればよいのでしょうか?