長期優良住宅とは、「作って壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを長く大切に使う」ストック型社会への転換を目的とした「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて認定される住宅を指します。安全面維持性に配慮することで、住宅寿命を延ばし、資産価値を維持する狙いもあります。政府も普及を推進する長期優良住宅について、その基準やメリットをご紹介します。
長期優良住宅とは
長期優良住宅は、良質な家を作り手入れを続け、長期にわたり大切に使っていくことを目的とした住居です。国土交通省は、長期優良住宅の認定には以下の基準に適合していることを条件としています。
・住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること
・住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
・地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること
・維持保全計画が適切なものであること
上記の基準を満たし、所管行政庁の自治体に申請を行うことで長期優良住宅として認定を受けることができます。新築だけでなく、増改築を行うことによっても認定の取得が可能です。また、戸建ての場合は以下の7つの措置に適合していることが認定の基準となります。
・劣化対策:数世代にわたり安心して暮らせる構造
・耐震性:地震に強く、損傷を低減できる
・維持管理・更新の容易性:内装や設備のメンテナンスがしやすい
・省エネルギー対策:地球・暮らし・家計にやさしい断熱性能等を確保
・住戸面積:良好な生活のために必要な規模を確保
・居住環境への配慮:地域の景観を維持し向上に配慮
・維持保全計画:将来を見据えた定期的な点検・補修計画
長期優良住宅として認定されるメリットとは
長期優良住宅の認定を受けると、主に3つのメリットを享受することが可能です。これらは新築だけでなく、建築済みの住宅を申請し認定を受けることでも対象となります。
1.国が認定
長期優良住宅を取得するということは、国が認定する技術基準をクリアした住まいということです。居住環境から省エネ、耐震性や維持管理性など、日本の住居としてその品質が認められます。
2.税制面の優遇
・住宅ローン減税
10年間、所得税から控除を受けることができる措置です。一般住宅の場合には10年間で最大400万円の控除となりますが、長期優良住宅の場合には控除期間は10年間で最大500万円となっています。 ※2021年12月末までに入居することが条件
・固定資産税
減額率が50%である点は一般住宅と変わりませんが、その適用期間が戸建てでは3年から5年に延長されます。 ※2020年3月末まで
・登録免許税
新築の際に法務局に対して行う所有権保存登記のために必要な登録免許税も優遇されます。一般住宅では不動産価格の0.15%がその額ですが、長期優良住宅の場合には0.1%となり、所有権移転登記も軽減されます。 ※2020年3月末まで
また、住宅ローンをフラット35にする場合、住宅性能評価書を提示することにより、フラット35S(金利Aプラン)が適用され、通常のフラット35に比べて当初10年間の金利が0.25%引き下げとなります。
※2019年3月末まで
3.手放す際に有利
長期優良住宅は、万が一売却することになった際もプラスに働きます。長期優良住宅の認定を受けていることで、その技術や耐久性、長寿命が国に保障されているということになり、中古市場でも有利になるためです。また、メンテナンスの履歴も記録されているため、信頼できる物件としてアピールすることができます。
そのほか、「認定基準をクリアするためには建築のコストが高くなる場合があること」「仕様や間取りによっては長期優良住宅に対応できない場合もあること」について理解しておきましょう。
自宅を長期優良住宅として申請するための手続き
長期優良住宅として認定申請を行う際には、まず登録住宅性能評価機関による技術的審査が必要です。技術的審査を受けると適合証が交付され、これを認定申請書に添付し所管行政庁に提出するのが、長期優良住宅認定申請の基本的な流れです。
・手続きの流れ
依頼者
↓住宅性能等の技術的審査依頼
登録住宅性能評価機関
↓適合証交付
依頼者
↓認定申請
所管行政庁
(居住環境等の審査)
↓認定通知書交付
依頼者
また、増改築後の認定申請には上記申請前に現況検査を行う必要があります。建築士に依頼し劣化状況を記録した状況調査書を作成しましょう。長期優良住宅の認定を受ける注意点としては、「申請に手間がかかること」「費用が必要になること」が挙げられます。申請額は自治体によって異なります。
ずっと安心、そしてお得な長期優良住宅
長期にわたり良好な住環境で使用でき、大切に使うための措置が講じられた長期優良住宅。現在の住みやすさや安心はもちろん、将来を見据えたメンテナンスも基準に入っており、注文住宅を建てる際の指針としても役立ちます。認定を受けた後にも維持保全の実施が求められ、リフォームや増築の際には変更の手続きも必要です。
認定条件を満たすためにはさまざまな基準をクリアする必要がありますが、税制優遇と合わせて検討してみてはいかがでしょうか。(提供:MORIZOU online)
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