建売住宅でも注文住宅でも、土地や住居を購入する際に支払う必要があるのが、税金です。しかし、「できるだけ節税したい」と考える人がほとんどではないでしょうか。今回は、住宅購入時にかかる税金の種類や優遇制度についてまとめてみました。

住宅購入時に支払う税金の種類

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(写真=ImageFlow/Shutterstock.com)

まずは、住宅を新たに購入する際にかかる基本的な税金を見ていきましょう。

1.消費税

通常の買い物同様、住宅の購入金額には消費税がかかります。ただし、消費税の対象となるのは建物の価格のみで、土地価格は課税対象にはなりません。住宅以外にも、不動産会社に支払う仲介手数料などが消費税の課税対象に該当します。

2.印紙税

印紙税は、住宅の購入契約を結ぶときに支払いが必要となる税金です。住宅の売買契約(注文住宅の場合は請求契約)と金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)がその対象となっています。契約書それぞれに収入印紙を貼付し、押印すると納税完了です。印紙税額は1,000万円超5,000万円以下の額なら1万円、5,000万円超1億円以下なら3万円と、契約金額によって異なります。(2018年時点、軽減措置後の金額)

3.不動産取得税

「取得した不動産の価格(課税標準額)×税率」で算出される不動産取得税の税率は4%が原則です。2018年時点で、2021年3月31日までに取得した土地や、住宅用の建物に関しては3%になります。入居後、住宅の所在地となる都道府県から送付された納税通知書で納めます。

4.登録免許税

住宅購入時の所有権登記と住宅ローンの借入時には、それぞれに登録免許税がかかります。住宅の保存登記時は0.4%を、住宅と土地の移転登記には2%を固定資産税評価額にかけて算出される額を納付しなければなりません。また、住宅ローンであれば借入額に0.4%の税率をかけた額の納付が必要です。

覚えておきたい、税の優遇措置

次に、それぞれの税が優遇される条件とその措置についてご紹介します。

1.消費税

2019年10月1日には、消費税が8%から10%へと引き上げられる予定です。2%とはいえ、住宅を購入するとなると、その差は大きなものです。住宅の引き渡しを2019年9月30日までに終えることができれば、消費税は8%のまま据え置きです。ただし注文住宅の場合は、請負契約を2019年3月31日以前に締結すれば、10月1日以降の引き渡しとなっても消費税8%のままとなります。

2.印紙税

印紙税の優遇措置は、2020年3月31日までに作成される契約書が対象です。優遇措置が適用されると、1,000万円超5,000万円以下の物件の場合は従来の2万円から1万円に印紙税額が変更されます。優遇制度を利用するための手続きは必要ありません。ただし、注意したいのが、「この優遇制度は印紙税すべてに該当するわけではない」という点です。国税庁によれば、軽減対象となる契約書は、不動産の譲渡契約書および不動産の建設請負契約書の2種類のみとなっています。条件を満たさない契約書にかかる印紙税は優遇されません。

3.不動産取得税

不動産取得税の優遇措置は、2021年3月31日までに住宅引き渡しが完了する場合に適用される制度です。本来4%である税率が3%となるほか、購入した宅地の課税標準額が通常の半分になります。適用条件として、多くの自治体が住宅のある都道府県の税事務所へ申請することと定めています。

なお、床面積が50~240平方メートル以下の新築住宅を購入する場合、課税標準は固定資産評価額から1,200万円を控除した額です。購入する物件が長期優良住宅であれば控除額が1,300万円にアップしますが、2020年3月31日までに引き渡しを完了することが必須条件になります。

4.登録免許税

登録免許税の優遇制度では、住宅所有権の保存登記にかかる税率が0.4%から0.15%に、移転登記時の税率が2%から0.3%に大幅に軽減されます。さらに認定長期優良住宅および認定低炭素住宅に該当する住宅ならば、保存・移転登記ともに税率が0.1%まで軽減。認定長期優良住宅のみ該当する住宅は、移転登記の税率が0.2%まで抑えられます。

住宅ローンの借入時に必要な抵当権の登記についても優遇制度は適用対象となり、原則0.4%の税率となるところが、0.1%で済みます。登録免許税の優遇制度が適用されるのは、登記対象となる住宅が50平方メートル以上の床面積を有する場合です。2020年3月31日までに登記を申請することも条件となっています。

消費税が上がると何が変わる?

消費税の増税後は消費者の負担が大きくなってしまう一方で、「すまい給付金」の額が増えるといううれしいニュースもあります。すまい給付金とは、住宅購入時に条件付きで現金が給付される仕組みで、年収の目安で決まる給付基礎額と、登記事項に記載された住宅の権利を示す持分割合をかけて算出される給付額とがあります。

消費税率8%の場合は、すまい給付金の対象となる人は年収510万円以下が目安でした。しかし、今回の消費税率引き上げで必要条件が緩和され、年収の目安が775万円以下に変更されています。対象者が拡充されるとともに、給付額の決定に重要な給付基礎額も10万~30万円から最大50万円にまで引き上げられています。

住宅購入時には節税を意識しよう

大きな買い物である住宅購入時には、土地や住宅そのものの額だけでなく対象となる税の種類とその優遇措置をよく確認することが大切です。せっかくの優遇制度ですから、「少しの差で条件を満たさなかった」「期間を過ぎていた」などもったいないことがないよう、しっかりと確認して賢く利用しましょう。(提供:MORIZOU online

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