マイホームを新築した際や、中古住宅の取得、増改築の際に住宅ローンを利用した場合、「住宅借入金等特別控除」を受けられる可能性があります。これは通称「住宅ローン減税」または「住宅ローン控除」と呼ばれているもので、この税制度を利用すると所得税と一部住民税を軽減できます。
マイホームの新築を検討しているのであれば、節税効果の高い住宅ローン控除についての理解を深めておきたいところです。ここでは、住宅ローン控除とは何か詳しく解説します。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、個人がマイホーム購入のために住宅ローンを利用した際に利用できる税額控除の制度です。毎年12月31日時点のローン残高をもとに計算した金額が所得税と一部住民税から控除されます。期間は最大で10年間、2014年1月1日から2021年12月31日までに取得・居住した一般住宅では年末の住宅ローン残高の1%(年最大40万円)、認定長期優良住宅または認定低炭素住宅では年最大50万円の控除が受けられます。
住宅ローン控除の概要
・毎年、12月31日時点の住宅ローン残高の1%が所得税から控除される ・控除期間は10年間、控除額は一般住宅で年最大40万円まで、認定長期優良住宅などで年最大50万円まで ・所得税で控除しきれない場合、住民税からも一部控除可能 |
住宅ローン控除を利用するためには、確定申告が必要です。住宅を取得した翌年の2月16日から3月15日の間に、管轄の税務署で手続きを行いましょう。給与所得者の場合、確定申告は控除を受ける最初の年だけとなります。残りの期間は年末調整の際に会社側が計算を行います。ただし、自営業者は毎年確定申告が必要です。
年末調整の時期には各申告書と一緒に、借り入れした金融機関から送付される「ローンの年末残高証明書」と、税務署から送付される「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を提出しましょう。
住宅ローン控除を受けるための要件
節税に大きな効果を発揮する住宅ローン控除ですが、すべての人が受けられるわけではありません。住宅やローンの内容、所得によっては控除を受けられないこともあるため注意しましょう。
●適用要件(新築住宅の場合)
・個人がマイホーム用に建築した住宅のためのローンであること ・新築から6ヵ月以内に住み始め、毎年12月31日まで住み続けていること ・年間の所得が3,000万円以下であること ・住宅の床面積が50平方メートル以上かつ、その2分の1以上が住居になっていること ・対象となるローンの借入期間が10年以上であること ・控除を受ける住宅に住み始めた年とその前後2年、計5年間で「長期譲渡所得の課税の特例」などを受けていないこと |
●確定申告に必要な書類
確定申告時には次の書類が必要です。忘れず用意しておきましょう。
必要書類 | 入手先 |
---|---|
確定申告書 | 税務署 |
住宅借入金等特別控除の計算明細書 | |
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明 | 借り入れしている金融機関 |
土地・家屋の登記簿謄本 | 法務局 |
工事請負契約書の写し | 住宅の建設を依頼した会社 |
長期優良住宅・低炭素住宅の認定通知 | 所管の行政庁 |
源泉徴収票 | 勤務先 |
住民票 | 自治体窓口 |
税金はどのくらい安くなる?
ここからは、住宅ローン控除によって所得税はいくら節税できるのかシミュレーションしてみましょう。
●2017年1月に新築したAさん
・2017年の所得税は186万円 ・2017年12月31日時点のローン残高は6,000万円 ・認定長期優良住宅 |
住宅ローン控除額は、年末時点でのローン残高の1%が対象となります。Aさんの残高の1%は60万円ですから、一般住宅の場合には限度額である40万円が、認定長期優良住宅または認定低炭素住宅の場合には50万円が所得税から控除されます。Aさんのマイホームは認定長期優良住宅であったため、控除額は50万円となりました。2017年の所得税186万円から税額控除50万円を引いた136万円が実際の納税額になります。
●控除後はどうなる?
住宅取得の初年度に住宅ローン控除を受けるための確定申告を行うと、後日還付金が受け取れます。上記Aさんの場合、還付金は50万円です。還付金の受取時期は確定申告から1ヵ月以上あとになりますので、すぐには受け取れない点に注意しましょう。
手続きの流れと控除額を再チェック
住宅ローンによる所得税の控除額は、年末時点でのローン残高によって異なります。住宅ローンの残高は毎年減少していきますので、それに比例して控除額も減少します。控除2年目からの金額に注意しましょう。また、初回の申請ではすべての該当する方で確定申告が必須となります。必要書類を持参のうえ、管轄の税務署で確定申告を行いましょう。(提供:MORIZOU online)
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