東京株式市場が波乱となっています。10/11(木)に日経平均株価は前日比915円18銭安となり、約8ヵ月ぶりの大きな下げを記録しました。10/12(金)は103円80銭高で終わりましたが、終値は9/12(水)頃の水準に近く、9月中・下旬の上昇をほぼ打ち消した形になっています。貿易摩擦問題や米長期金利上昇が懸念され、米国等の海外株が下げ、円安一服となったことが要因と考えられます。
しかし、日経平均株価はおおむね、「節目」となるような株価に到達してきたと見受けられ、今後は反発場面が本格化しても不思議ではないと考えられます。仮に反発場面が本格化すると予想する場合、どのような銘柄に投資チャンスが訪れたと考えるべきでしょうか。「日本株投資戦略」では、スクリーニングを行ってみました。
日経平均株価が反発局面入りした場合、「投資チャンス到来」の銘柄はコチラ!?
東京株式市場が波乱となっています。10/11(木)に日経平均株価は前日比915円18銭安となり、2/6(火)の1,071円84銭安以来の大きな下げを記録しました。10/12(金)は103円80銭高で終りましたが、終値は9/12(水)頃の水準に近く、9月中・下旬の上昇をほぼ打ち消した形になっています。
米国市場でNYダウが10/10(水)に831.83ドル安となり、2/8(木)以来の下げ幅を記録するなど、同国の株価が全面安となったことが影響しています。特に「FANG」と称される主力IT株の下落が目立ちました。10/11(木)も545.91ドル安と続落。米中貿易摩擦の激化や長期金利の上昇傾向等を警戒する向きが増えているようです。中国株を含むアジア株や欧州株なども下げが目立っており、世界同時株安の傾向が強まっています。
世界的な株安と同時進行する形で円高・ドル安が進んだことも、日本株にはマイナス材料になっているとみられます。また、日経平均株価そのものも、9/7(金)安値22,172円90銭から10/2(火)高値24,448円07銭まで10.3%上昇し、上昇ピッチの速さに対する警戒感が強まっていました。足元の株価急落はそれに対する「調整」という側面もあったと考えられます。
しかし、日経平均株価はおおむね、「節目」となるような株価に到達してきたと見受けられます。10/12(金)の日経平均株価は一時22,323円まで下げたものの、終値は22,694円で、下記の「節目」到達を意識した格好となりました。
(A)一目均衡表のクモの上限に相当する22,600円前後
(B)200日移動平均線22,510円
(C)心理的な節目である22,500円
(D)22,264円・・・予想EPS1,734円×予想PER12.84倍(9/3の低水準)
日経平均株価はこのまま、反発場面に転じても不思議ではないと「日本株投資戦略」では考えています。仮に反発場面が続くと予想する場合、どのような銘柄に投資チャンスが訪れたと考えるべきでしょうか。「日本株投資戦略」では、スクリーニングを行ってみました。
(1)東証上場銘柄であること
(2)時価総額1千億円以上であること
(3)業績予想を公表しているアナリストが2名以上いること
(4)過去4週間で、市場予想EPSが下がっていないこと
(5)昨年末から10/2(火)(日経平均株価が年初来高値を記録した日)まで株価が6.6%(日経平均株価の同期間の上昇率)超上昇していること
(6)売買規制等の特殊要因が株価変動に影響を与えていないこと
上記のすべての条件を満たす銘柄を、日経平均株価が年初来高値を付けた10/2(火)から10/12(金)までの株価下落率が大きい順に10銘柄並べたものが表1です。「日本株投資戦略」では、これらの銘柄は投資チャンスが訪れている可能性が大きいと考えています。
表1:日経平均株価が反発局面入りした場合、「投資チャンス到来」の銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄名 / 株価(10/12) / 株価下落率(10/2~) / 株価上昇率(昨年末~10/2) / 予想EPS過去4週変化率
<6432> / 竹内製作所 / 2,479 / -18.7% / 13.9% / 0.9%
<4612> / 日本ペイントホールディングス / 3,680 / -15.4% / 22.0% / 0.7%
<8174> / 日本瓦斯 / 4,865 / -14.0% / 38.2% / 0.0%
<7296> / エフ・シー・シー / 2,950 / -13.5% / 15.1% / 1.3%
<7864> / フジシールインターナショナル / 3,510 / -13.0% / 9.5% / 0.0%
<6371> / 椿本チエイン / 4,715 / -12.7% / 18.7% / 0.0%
<4911> / 資生堂 / 7,583 / -12.7% / 59.4% / 1.0%
<6136> / オーエスジー / 2,316 / -12.6% / 8.6% / 0.0%
<6762> / TDK / 10,690 / -12.6% / 36.0% / 0.3%
<6920> / レーザーテック / 3,275 / -12.6% / 31.6% / 1.6%
※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
日経平均株価は反発局面を迎えられるのか?
今後、日経平均株価を含め、世界株式市場の先行きを予想する上で重要なのは、米中貿易摩擦問題であると考えられます。
米中貿易摩擦については、中国からの輸入に関税賦課で対応する米国が攻勢をかけているとの印象がありますが、米国企業にも痛みを伴うと予想され、その株価への織り込みは不十分なように思われます。米国企業の多くが中国で生産し、米国に輸出をしているためです。今後、企業経営者の発言等を通じ、米国企業へも影響が出てくると予想されるので注意が必要です。
ただ、米国から中国への技術流出が深刻化し、国防上の脅威が強まっていたことは確かです。仮に、トランプ政権の問題提起がなくとも、将来のどこかで米中対立が激化していた可能性は大きいと考えられます。すなわち、トランプ政権の対応は長期的には米国企業の競争力維持や防衛力強化につながる側面も多そうです。
第2次世界大戦後の「冷戦」が日本に高度経済成長をもたらしたように、米中間の「新冷戦」は世界の政治・経済における日本の相対的位置付けを高める側面があります。日本企業にとっても。短期的な悪材料への織り込みが一巡すれば、追い風が目立ってくる可能性も大きそうです。
10/12(金)から、米国では2018年7~9月期の決算発表が予定されております。主要企業のEPS(一株利益)は19%超増える見通し(市場コンセンサス)で、今後は米企業業績の好調が明らかになってくる可能性があります。それとともに、米国株も落ち着きを取り戻すと期待されます。
図1:日経平均株価(日足)
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之 SBI証券 投資調査部
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